日銀短観、景況感弱含み 6月調査

大企業製造業は横ばい 中小悪化、円高響く

日銀が1日発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が全規模全産業でプラス4となり3月の前回調査に比べ3ポイント低下した。注目度が高い大企業製造業が横ばいだったが、中堅・中小の製造業や非製造業は軒並み悪化した。円高が輸出産業や訪日客消費に逆風となっている。

今回の調査は英国の

欧州連合(EU)離脱決定の影響をほとんど織り込んでいない。業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を差し引いた値。全規模全産業の業況判断DIは2四半期連続の悪化で、2014年9月調査以来の低水準となった。

大企業製造業の業況判断DIはプラス6で前回の3月調査と同じだった。QUICKが集計した市場予想の平均(プラス4)を2ポイント上回った。

業種別にみると自動車が7ポイント、店舗向け設備などの業務用機械が4ポイント、生産用機械が2ポイントの悪化だった。6月調査での大企業製造業による16年度の想定為替レートは1ドル=111円41銭で、3月調査より6円ほど円高方向に修正された。足元での一段の円高はこれらの業種の輸出収益を悪化させる。

自動車については4月の熊本地震による生産の滞りや一部メーカーの燃費不正問題による販売急減も響いた。

一方、食料品が9ポイント、紙・パルプは4ポイント改善した。両業種は円高で輸入する原材料費を抑えられるため、景況感が上向いた。このほか中国経済の減速懸念の後退などで原油などの国際商品相場が上昇し、石油・石炭製品が22ポイント、鉄鋼が10ポイント、非鉄金属が3ポイントの改善だった。

ただ製造業の中堅企業の業況判断DIは4ポイント、中小企業は1ポイント悪化した。円高による収益悪化懸念が根強いことを映した。

非製造業をみると、大企業が3ポイント低いプラス19で2四半期連続で悪化した。中堅企業、中小企業でも悪化している。

大企業の業種別では宿泊・飲食サービスが11ポイント悪化するなど、訪日客の消費の恩恵を受けてきた業種が振るわない。

訪日客の増加傾向に鈍化の兆しが出ているなか、為替の円高が日本での購買力を押し下げている。熊本地震が起きた九州はアジアを中心とする訪日客に人気の地域であるため、関連業種の景況感悪化につながっている。

大企業全産業の16年度の設備投資計画は前年度比6.2%増と、前回の3月調査の0.9%減から上方修正となった。ただ昨年6月調査の15年度計画(9.3%増)は下回った。英国のEU離脱問題が世界経済に与える影響が読み切れないこともあり、慎重な投資姿勢に傾く大企業もあるとみられる。

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