韓国・イラン、4兆円事業 石油・鉄道建設など合意

【ソウル=加藤宏一】韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領は3日、イランのロウハニ大統領との会談などイラン訪問の日程を終えた。両政府はインフラや石油、医療分野などでの経済協力を盛り込んだ共同声明を発表。鉄道建設など総額4兆円規模のプロジェクトを共同で推進する方針も示した。ロウハニ氏は名指しを避けながら北朝鮮の核開発に反対の姿勢を表明した。

「イランが速やかに経済を再建し、経済成長が正常な軌道に乗るように両国間の貿易と投資を元に戻し、相互に協力していく」。2日の首脳会談後の記者会見で朴大統領はイランの経済成長に積極的に関わる姿勢を示した。ロウハニ大統領は「エネルギーや工業など様々な分野で韓国企業がイランで活動することを望んでいる」と応じた。

朴大統領は2日、最高指導者ハメネイ師とも会談した。

首脳会談を機に発表した共同声明で、両国は外相会談のほか、閣僚級が参加して両国の経済協力を話し合う経済共同委員会をそれぞれ毎年開催することで合意。さらに石油やガスなどエネルギー貿易の拡大や、韓国側がイランの道路や港湾などのインフラ開発、医療分野の発展に向けて協力する方針も確認した。

核問題に伴うイランに対する経済制裁が解除されたのを受けて、両国は経済活動を活発化させる考えだ。2011年に174億ドル(約1兆8千億円)だった両国間の貿易額は15年には61億ドルまで落ち込んだ。韓国大統領府によると、ロウハニ氏は5年以内に貿易額を300億ドル以上に増やす意欲を示した。両政府は、韓国とイランを結ぶ直行便の開設でも合意した。

1962年の国交樹立以来、韓国大統領のイラン訪問は初めて。朴大統領の訪問にはサムスンをはじめとする大企業や経済団体など、韓国史上最大規模の236人の経済使節団が同行した。イランにはすでに中国の習近平国家主席が訪れ、安倍晋三首相も年内の訪問を検討中だ。韓国は日本に先駆けてセールス外交を展開しインフラ需要を取り込む考えだ。

首脳会談を機に両政府は鉄道や道路、石油やガス、医療分野など30の共同プロジェクトを推進する方針で合意した。進捗状況は仮契約や交渉の初期段階に当たる覚書締結など幅があるが、プロジェクト規模は総額で371億ドル(約4兆円)に達する。

イラン中部のイスファハンとアワーズを結ぶ541キロの鉄道プロジェクトでは路盤建設や車両供給などで設計や調達、施工を一括で担う「EPC方式」の仮契約を結び、鉄道車両メーカーの現代ロテムなどの参加が見込まれている。さらにイランのテヘラン医科大学など6カ所の病院建設の推進で韓国企業を指定することや政府系の韓国輸出入銀行による金融支援を利用する内容などを盛り込んだ覚書を結んだ。

朴大統領は会見で、北朝鮮の核実験に対する国連安全保障理事会の制裁決議の実行でイランの協力を要請したことを明らかにした。

ロウハニ大統領は「我々は原則的にいかなる核開発にも反対だ」と述べ、北朝鮮の核開発に反対する姿勢を示した。国際社会との関係改善を重視する姿勢をにじませたが、イランと北朝鮮はこれまで核・ミサイル開発で協力してきたとの疑惑もある。イランと韓国の今回の関係強化が抑止力につながるかは不透明な部分も残る。

アプリで開く
日経電子版に登録すると、
有料会員限定の記事が月10本無料で読めます。