名取市の防災態勢に不備 津波で800人犠牲、検証委が最終案

東日本大震災の津波で宮城県名取市閖上地区の住民ら約800人が犠牲となった問題で、第三者の検証委員会(委員長・吉井博明東京経済大教授)は25日までに、市の防災態勢に問題があったとする最終報告書案をまとめた。微修正を加え、4月30日に市に提出する。

防災行政無線の故障で避難を呼び掛けられなかったことも取り上げ「市や機器のメーカーは運用や設計の努力を欠いていた」と指摘した。

報告書案は、地震発生直後に市の災害対策本部が設置されたが、職員のほぼ全員が倒壊を恐れ庁舎から退避するなどしたため、現場との間で情報の収集や伝達が機能していなかったと指摘。地域防災計画や初動対応マニュアルを長期間見直していなかったことが背景にあると分析した。

市は防災行政無線で計8回、閖上地区の住民らに避難を指示しようとしたが、午後7時まで故障に気付かず、放送は流れなかった。機器上部の開口部から金属物が混入したのが原因とし「異物が入る開口部などを存在させていたことは猛省しなくてはならない」と市やメーカーを非難した。

閖上公民館に避難した住民が、再避難の指示を受けて閖上中に向かう途中に津波に巻き込まれ、多くの犠牲者を出したとされる点も検証したが、指示があったとは確認できず、犠牲者が出た原因が再避難にあるとはいえないと結論づけた。

検証委は、多くの犠牲者が出た原因の解明を求める地区住民らの要望で設置された。〔共同〕

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