大地震時の児童引き渡しルール明確化 震災機に広がる

大地震発生時に、学校が保護者に児童・生徒を引き渡す際のルールを明確にする動きが広がっている。保護者の希望を細かく把握したり、引き取りに来てもらう震度の基準を決めたり。東日本大震災では首都圏でも帰宅させるか悩んだ学校が多かった。混乱を防ぐ狙いだが、一律に線引きするだけでなく、状況に応じた柔軟な対応を求める声も出ている。

さいたま市は8月、震度5弱以上の地震が起きた場合の市立小中学校でのルールを決めた。小学生は引き取り、中学生は引き取りか集団下校を保護者に選んでもらう。

「安全確認後に保護者に引き渡す」とのマニュアルがあったが、震度の基準などはなかった。このため今回の震災では多くの学校が判断に苦慮。市によると、引き渡しは約3割で、残りは教師の引率で下校させるなど対応が分かれた。

震災時に残っていた3年生以上を集団下校させた市立指扇北小の井上均校長は「このまま帰してよいか判断に迷った。目安となる震度がはっきりしているとありがたい」と話す。

東京都板橋区立高島第一小学校も7月、保護者が選択する基準を決めた。震度4以下でも交通機関が乱れる場合があり、自宅で子供が1人になるのを懸念した。引き渡す相手を記入する「引き渡しカード」に、震度4以下で希望する対応を選ぶ欄を設けた。

2年生と4年生の子供がいる原美樹さん(37)は「大きな余震が起こるかもしれないし、学校で預かってもらう方が安心」と待機を選択。2年生を受け持つ大滝幸子教諭も「事前に希望を把握しておくことで迷わなくて済む」と歓迎する。

津波を想定した見直しも始まった。大阪市は津波警報が出た場合、引き取りに来ても帰宅させず津波避難ビルなどに待機させることを検討中だ。現在は「自宅周辺の安全が確認された場合は帰宅させる」と規定するだけだが、震災で子供を自宅に連れ帰り津波の犠牲になったケースもあったことなどを考慮した。

文部科学省によると、地震発生時に保護者に引き渡す方針を明確に示したのは1996年。東京学芸大の渡辺正樹教授(安全教育学)は「子供を安易に帰さないようにする学校が増えるのは良いことだが、震度などで対応を一律に決めると状況が変化したときに危険もあり、柔軟な対応が必要だ」と指摘している。

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