王子HD、中国・南通工場を本格稼働へ パルプ設備試運転

王子ホールディングス(HD)は年内にも、地元住民の反対などで遅れていた中国江蘇省南通市の紙パルプ一貫工場を本格稼働させる。紙の原料となるパルプ設備の試運転を6月に始める。年40万トンの南通工場の生産能力はアジアにある王子HDの工場では最大。これまでパルプを外部から調達していたため、工場単体では赤字だった。早期にパルプと紙の一貫生産を軌道に乗せ、中国での需要開拓を進める。

南通工場は同じ敷地内にパルプと紙の生産設備がある。2007年に着工し、これまでに約14億ドル(約1400億円)を投じてきた。当初計画は南通市が整備するパイプ経由で黄海に排水する予定だった。このパイプ建設に地元住民が反対し、パルプ生産設備の操業が遅れていた。排水を中水処理することで現地での法的手続きが完了し、6月からパルプ製造設備の試運転に入る。

パルプの自社調達ができなかったため、生産コストが上昇し、南通工場単体は営業赤字が続いてきた。14年3月期の王子HDの印刷情報メディア部門が26億円の赤字となったのも南通工場の赤字が響いていた。

日本国内で紙需要の減少傾向が続くなか、王子HDは海外での事業展開に力を入れている。4月には産業革新機構と共同でニュージーランドの紙パルプ・段ボール会社を約920億円で買収すると発表。15年にはミャンマーでも段ボール工場を立ち上げる。アジア最大の紙の需要地である中国での生産体制を確立することで、アジアでの事業拡大を加速させる。

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