野球場1つ分ほどの広さの土地を黒い土のうが埋め尽くしていた。真夏の太陽が照りつける田園地帯。マスクにヘルメット姿の作業員がクレーンを使い、横へ縦へ整然と土のうを並べていく。
福島県楢葉町にある汚染土壌の仮置き場の1つ。町は東京電力福島第1原子力発電所の20キロ圏内にあり全住民が避難した。
国は今年度中の完了を目標に町内の除染を進める。放射性物質に汚染された土壌をはぎ取ったり、家の屋根や壁、道路を洗浄したり。庭木の枝を落とすこともある。取り除かれた土壌や枝葉は容量1立方メートルの大型土のうに詰められ、仮置き場へと運び込まれる。
土のうを並べる作業はまず、汚染されていない通常の土の入った土のうをロの字型に置き、その中に汚染物の土のうを並べていく。積み方は中身が土なら最高5段。枝葉など可燃物だと縮んで不安定になったり、発酵して熱を持ったりすることがあるので3段まで。最上段は全部を通常の土の土のうにする。
仮置き場を管理する環境省福島環境再生事務所・浜通り南支所の荒井博之支所長(60)が積み方の理由を教えてくれた。「汚染物の土のうを通常の土の土のうで覆い、放射線が漏れないようにしているのです」
町内の仮置き場は約半分まで搬入が進んだ。満杯になれば全体を防水シートで覆い、周辺を立ち入り禁止にする。「作業員の安全確保や熱中症対策、それに土などが外にこぼれないよう気をつけている」と荒井支所長。
場内の空間放射線量は毎日測り、地下水の放射性セシウム濃度などは月1回調べている。
ただ、仮置き場は通過点にすぎない。国は汚染土などを今後県内に建設する「中間貯蔵施設」に集め、さらにその後30年以内に県外の最終処分場に移すとしている。
産業技術総合研究所の研究グループは7月、福島県内の除染費用が最大5兆1300億円に上るとの試算を発表した。福島大の吉田樹准教授(交通計画)の予測では、最大2800万立方メートルに及ぶ汚染土などを仮置き場から中間貯蔵施設に輸送するだけで2年以上かかる。原発事故処理の道のりは長く、要する労力は膨大だ。(おわり)


