ビッグデータ活用法でコンテスト 千葉市や福岡市など

千葉市や福岡市などで構成する「ビッグデータ・オープンデータ活用推進協議会」が10日、データの具体的な活用法を募るアイデアコンテストを初めて開催した。応募総数221件の中から、最優秀賞が決まり、2014年度にも共同でアプリとして具体化する。同様のコンテストを今後も開催する方針も決めた。データ活用の動きは本格化するのか。

「惜しい! 千葉市は良いデータを出しているのに皆が使えるようになっていない」

11月10日、コンテスト会場の千葉市内のホテル。スクリーンに映し出したプレゼン資料を示しながら、ユーモアを交えてアイデアを披露していた千葉県松戸市在住の東修作さんの発言が、約200人集まった会場の笑いを誘った。

東さんは、子どもの感染症の流行状況を地図上でリアルタイムに可視化し、注意を促すアプリのアイデアを発表。今回のコンテストで最優秀賞を獲得した。東さんは「あら探しをするわけではないが、既存の千葉市のデータには即時性がなく、見にくい」とばっさり。会場前列に陣取り審査員を務めていた首長たちも苦笑するしかなかった。

感染症、防犯、店舗の配置、保育施設、観光など、自治体が持つ情報は膨大だ。コンテストではこれを整理し活用するアイデアを広く募った。東さんらのアイデアをきっかけに、自治体すら気づかなかった新しい市民サービスや経済活性化策につなげることを狙う。

応募の中から、書類選考を通り当日参加した8の個人・団体が10日のプレゼンに臨んだ。東京大学大学院情報学環の須藤修教授は「自治体や市民がコラボで提案する取り組みは積極的にやってほしい」と取り組みの有用性について指摘する。

同協議会には、ほかに奈良市と佐賀県武雄市が主要メンバーに名を連ね、日本IBMや日本マイクロソフトなどがサポートする。今後、東さんのアイデアを具体化し、アプリとして共同で開発する方針。13年度中に予算措置や役割分担をつめ、14年度中に実用化したい考えだ。

最終選考に残ったり、佳作となったりしたアイデアを公開し、改良したり、組み合わせたりすることで実用化に近づける取り組みも検討する。今回のコンテストはアイデアに焦点を当てたが、14年度以降はプログラマーなどが短期間でアプリ開発を競うイベント「ハッカソン」なども実施する。

ただ課題もある。東日本旅客鉄道がICカード乗車券「Suica(スイカ)」の利用データの外販を中止するなど、自分の行動記録を利用される消費者が、個人情報保護の観点からビッグデータの活用に反発するケースもある。千葉市も「出せる情報は出していこうというスタンス。権利侵害の恐れのあるデータには慎重に対応し、まずできるところから活用したい」としている。

ビッグデータの活用は行政コストの抑制にもつながる可能性があるが、千葉大学法経学部の関谷昇准教授は「都合良くデータが処理され、社会の資源が行政のために使われる懸念もあり、歯止めをかける仕組み作りが必要」と指摘する。今後、課題を解決し、ビッグデータの活用が自治体の間で広がるのかどうか。先陣を切った千葉市などの動きは今後も注目されそうだ。

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