コロナ禍は副業定着につながるか 十字路 1月22日 新型コロナウイルスの流行が所得格差を広げている。慶応義塾大学の大久保敏弘教授とNIRA総合研究開発機構の調査によると、コロナ禍で所得が減った人は低所得者層に集中する傾向がある。 ただ生活保護の申請件数は2020年4月に大きく増えたが、4~10月の累計では前年を下回る。第3波の影響を注視すべきだが、政府の対策もあって人々の生活が破壊されるまでには至っていない。 所得が急減した国民を政策で支える必要 コロナ禍は副業定着につながるか
人口移動の変化は第2段階 十字路 1月21日 新型コロナウイルスの影響で人口移動に大きな変化がみられる。2020年4~5月の緊急事態宣言を機に、全国から東京への移動が大きく減少。その傾向は直近も続いている。東京からみれば転入数の減少になり、その規模は直近8カ月で4万人、前年比では13%の減少に相当する。これに伴い、東京は転出超過という異常事態が続いている。 東京への転入の減少。これを変化の第1段階とすれば、第2段階というべき動きも始まってい 人口移動の変化は第2段階
脱炭素へ「公正な移行」の視点を 十字路 1月20日 政府は2050年に温暖化ガスの排出を実質ゼロにすると宣言した。蓄電池や水素の活用、二酸化炭素(CO2)の回収など次世代技術を日本企業はたくさん持ち、成長戦略になる――。一気に政府がカジをきってきたことで、まずは明るい題目が並ぶ。 ただ大きな経済・社会の変革には痛みが伴う。時代に取り残されがちな層へどう配慮するか。「公正な移行(ジャスト・トランジション)」。日本はこの議論がまだ欠けているのではない 脱炭素へ「公正な移行」の視点を
ビットコインと宇宙の缶詰 十字路 1月19日 ビットコイン、テスラ、SPAC(特別買収目的会社)……。過剰流動性が招く資産価格の過熱ぶりを示す例が、そこかしこで目立ってきた。それらの急騰するチャートを眺めていると、IT(情報技術)バブル真っ盛りの21年前に聞いた、あるファンドマネジャーの話を思い出した。 彼は当時、投資家が競うように買ったソフトバンク株をかたくなに買わなかった。理由を聞くと、ある前衛芸術家の作品を引き合いに出した。赤瀬川原平 ビットコインと宇宙の缶詰
政府投資の拡大を 十字路 1月15日 経済の再生にとって重要なのは、投資を増やし、雇用を増やすことだ。消費はその後からついてくるべきなのである。投資と雇用が消費より先でなくてはならない。消費を守るための財政による刺激政策には持続性がないからだ。 新型コロナウイルス対策が好例だ。米国で言えば2020年3月から11月にかけて、給与所得が2月の水準を下回った額の累計は3300億ドルで、これに対して、失業給付金の上乗せや国民向けの一時金給付 政府投資の拡大を
3つの変革が日本を変える 十字路 1月14日 ここ数年、日本企業の間では事業構造改革の動きが生まれており、コロナ禍という「黒船」によって一気に表面化した。3つの変革、「脱炭素」「デジタル化」「事業再編」への意欲が高まっており、株式市場でも2021年の投資テーマと受け止められるだろう。 まず脱炭素化に向けて世界で号砲が鳴らされた。各国とも競うように野心的な目標を公表、30年ごろを技術的な目標の達成期限に掲げている。今後10年は投資ブームが起こ 3つの変革が日本を変える
寒波で見えた電力市場の構造危機 十字路 1月13日 電力市場が未曽有の危機に直面している。昨年12月初めに5円(キロワット時)程度だった日本卸電力取引所(JEPX)のスポット価格が直近で200円強にまで急騰した。一般家庭の電力料金が20円台なので異常な水準だ。 背景には幾つかの要因が考えられる。年末から日本列島は寒波に襲われ電力需要が急増。しかも液化天然ガス(LNG)などの燃料が極端な品不足になっている。 福島第1原発の事故以来、日本の発電用燃料 寒波で見えた電力市場の構造危機
「投資家層」から「資産形成層」へ 十字路 1月12日 2010年から当研究所が続けている「ビジネスパーソン1万人アンケート」からは、10年代半ばに投資に大きな変化があったことがうかがえる。投資家比率(投資をしていると回答した人の比率)は15年に30.4%で最低になった。それまでの同比率は株価が上昇すると下がり、株価が停滞・下落すると上がっていた。ボックス圏相場にうまく対応する「投資家層」を思い起こさせる動きだ。 しかしそこから投資家比率は上昇に転じ 「投資家層」から「資産形成層」へ
グローバリゼーション2.0 十字路 1月8日 格差や貧困問題、環境破壊、イスラム過激派の台頭などの直接、間接の原因としてグローバリゼーションが批判されることが多い。しかし2021年の課題を見据えたとき、必要なのはその否定ではなくバージョンアップだろう。 過去数世紀にわたって西側諸国の影響力は拡大し続け、ピークが1970年代から2010年前後までの「グローバリゼーション1.0」といえる。自由市場と民主主義を共有する西側、直近では米国が作り出す グローバリゼーション2.0
コーチングとメンタリングの違い 十字路 1月7日 日本企業の社員の能力開発は、職場で上司や先輩、同僚から仕事を教えてもらう「OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)」が主流だ。だが2018年度厚生労働省能力開発基本調査では、職場での指導できる人材の不足を訴える企業は54.4%。大きな課題だ。そうした中で職場の指導方法のあり方として「メンタリング」や「コーチング」に注目が集まる。 メンタリングは若手や配属されて間がない社員に一定の期間、上司や先輩 コーチングとメンタリングの違い