日本ダウン症協会代表理事 玉井邦夫さん(4) 向き合う 1月25日 ダウン症は染色体異常という特性上、胎児の遺伝学的診断技術の進展とともに、つねに「生命の選択」の事例として俎上(そじょう)に載ってきた。 早期に実用化された羊水診断のほか、絨毛(じゅうもう)診断、母体血清マーカー検査、最近ではNIPT(新型出生前診断)などだ。技術の進歩自体には異論もないし、医療技術の進展は究極的には「治療」を目指す。その過程で「発見できるが治療できない」という状況は必ず生じる。た 日本ダウン症協会代表理事 玉井邦夫さん(4)
日本ダウン症協会代表理事 玉井邦夫さん(3) 向き合う 1月18日 昨年秋、日本ダウン症協会と日本ダウン症学会は共同で1500人超のダウン症のある方たちの生活実態調査を実施した。その結果、学校教育を終えた成人期に最低賃金法の適用を受ける「雇用」(一般事業所への就労だけではなく、特例子会社や就労継続A型事業所を含む)に到達している人が8人に1人の割合に上ることがわかった。調査した我々にとっても驚きであり、改めてこれほどまでに社会参加が進んでいるのかと思わされた。 日本ダウン症協会代表理事 玉井邦夫さん(3)
日本ダウン症協会代表理事 玉井邦夫さん(2) 向き合う 1月11日 乳幼児のころからダウン症の特性に応じた発達支援を行う「早期療育」は半世紀以上前から始まった。障害名を冠した早期療育プログラムの導入は、他の障害と比べても最古かもしれない。方法論は変遷してきたが、早期療育の枠組みはほぼ全国的に定着しているだろう。 早くから早期療育プログラムが開始された理由は2つ考えられる。一つは症状の共通性・類型性が高く、プログラムが考案しやすかったことだ。もう一つは知的障害の中 日本ダウン症協会代表理事 玉井邦夫さん(2)
日本ダウン症協会代表理事 玉井邦夫さん(1) 向き合う 1月4日 ダウン症は、先天性染色体異常と呼ばれる生物学的特性だ。ヒトの染色体は23対46本ある。性染色体を除く22対を大きい方から順番に数えていった21番目の染色体が3本(三倍体=トリソミー)になるパターンが最も多く、別名「21トリソミー」とも呼ばれる。19世紀半ばごろに初めて体系的な報告がされ、染色体のトリソミーが原因と発見されたのは1959年だ。 以前は「蒙古症」という多分に人種差別的な偏見が関係する 日本ダウン症協会代表理事 玉井邦夫さん(1)
レット症候群支援機構代表理事 谷岡哲次さん(4) 向き合う 12月28日 私たちのNPO法人は累計で1200万円の研究支援を行ってきた。論文で発表されるような研究や、医師主導治験を目指す研究もある。2017年にはレット症候群の研究で世界トップ5カ国の研究者を招き、2日間でのべ400人が参加する国際シンポジウムも開催した。研究者との共同プロジェクトもいくつか進行中だ。 今年度から新しい取り組みとして、自治医科大学と遺伝子治療研究を推進する協定を締結した。遺伝子治療の可能 レット症候群支援機構代表理事 谷岡哲次さん(4)
レット症候群支援機構代表理事 谷岡哲次さん(3) 向き合う 12月21日 2011年にNPOを設立したものの、右も左もわからないままのスタートだった。そんな私ができる唯一のことは、レット症候群に関係する日本中の研究者に連絡してお会いすることだった。患者側も研究を支援したい、との考えを伝え、関係を築いていった。 活動を共にする仲間も資金も必要だった。当初は知名度も活動実績も乏しく、企業や著名人にイベント共催などをお願いしても相手にされないこともあった。WEBサイトを開設 レット症候群支援機構代表理事 谷岡哲次さん(3)
レット症候群支援機構代表理事 谷岡哲次さん(2) 向き合う 12月7日 娘の紗帆が2歳になる頃、複雑な思いを抱えながら療育手帳と障がい者手帳を取得した。身体機能の維持または回復を期待して療育は始まった。私はレット症候群についてネットで調べる日々。この病気を研究する大学の小児科の先生や研究者が国内にも何人もいることが分かってきた。 妻と娘の3人でそのうちの1人に会いに九州の病院に向かった。お会いした先生は本当に優しい笑顔の気さくな先生だった。娘を診てもらい症状を伝える レット症候群支援機構代表理事 谷岡哲次さん(2)
レット症候群支援機構代表理事 谷岡哲次さん(1) 向き合う 11月30日 2008年の寒い冬の日に私たち家族のもとへ、元気いっぱいに泣きながら、寒さが一瞬で吹き飛ぶほどの暖かい女の子の命が産まれた。父親としてこの子を何があっても守ってあげようと心に誓った。 私は大阪市の中心部から少し離れた自然豊かな場所で暮らしている。04年に長男が誕生し、08年1月に特に難産という事もなく、待望の女の子も産まれた。笑顔がすてきなかわいらしいこの子に、心清らかに大きく成長してほしいと願 レット症候群支援機構代表理事 谷岡哲次さん(1)
日本てんかん協会事務局長 田所裕二さん(4) 向き合う 11月23日 私たちの活動は1973年に始まり、まもなく50周年を迎える。世界でも珍しいてんかんのある人と家族を中心に、専門職や一般市民も参加した自主運営の活動だ。当事者の利益を優先した全員参加の市民・ボランティア活動を基本としている。 私が参加した約40年前は全国に活動拠点を築き、会員1万人を目標に、情報発信、相談援護、調査研究、施策推進を柱としていた。当時の先達からは「この協会が必要なくなるような社会をめ 日本てんかん協会事務局長 田所裕二さん(4)
日本てんかん協会事務局長 田所裕二さん(3) 向き合う 11月16日 日本書紀、ハンムラビ法典、皆さんも歴史の授業で一度は耳にしたことがある古典資料。洋の東西で最古ともいえる文献に、てんかん発作の記述がある。これほど古くから私たちの近くにあったが、病気として医学的に確立したのは19世紀の中ごろのことだ。それまで、その異様な症状(いわゆる大発作の症状)から「悪魔つき」「キツネが憑(つ)いた」と言われ、魔女狩りの犠牲や「座敷牢(ろう)」への隔離など医療とはかけ離れた闇 日本てんかん協会事務局長 田所裕二さん(3)