地域活性化、前提を見直せ 大機小機 3月2日 我々はやがてポストコロナの時代に入る。コロナ前から日本の経済社会は多くの難しい課題を抱えていた。諸課題はコロナ後にも続くが、この間に経済・社会環境は相当大きく変化している。多くの分野で、ポストコロナの経済社会環境に沿った政策を再設計する必要が出てくるはずだ。 地域の活性化もその一つだ。多くの自治体は2015年度を初年度とする第1期の活性化戦略に続いて20年度から第2期の活性化策をスタートさせたば 地域活性化、前提を見直せ
日銀、情報発信も正常化を 大機小機 2月27日 日本銀行が3月に公表予定の「金融緩和の点検」と政策対応を巡り、金融市場で様々な憶測が渦巻いている。日銀は「政策の枠組みを見直さない」としているが、それでも市場の観測をあえてあおるような予告をしたのは、熟慮を重ねた末の判断だ、との証拠作りを狙っているのだろう。 このタイミングで公表するのにはコロナ問題が影響している。コロナショック後に物価上昇率が大幅に下振れしたことで、2%の物価目標の達成失敗への 日銀、情報発信も正常化を
金融教育、抜本改革を急げ 大機小機 2月26日 1996年11月、橋本龍太郎首相が大蔵、法務の両大臣に金融制度改革の検討を諮問した。「金融ビッグバン」と呼ばれた金融制度大改革の始まりである。筆者も議論に参加する機会があった。 検討は「規制の少ない自由でフェアな金融市場へ」をスローガンに進められ、97年に答申がまとめられた。その後、各種法改正を経て日本の金融システムは2001年にほぼ現在の姿になった。それから20年、金融をめぐる状況は変わったの 金融教育、抜本改革を急げ
金融政策、果断に出口戦略を 大機小機 2月25日 政府の債務残高は2020年末時点で、対国内総生産(GDP)比238%と世界最悪である。貨幣量も異次元緩和で618兆円にまで膨らんだ。異常な金融緩和でカネがだぶつき、株価はバブル崩壊後30年ぶりの高値で、新型コロナウイルス禍以前よりもはるかに高い。米国株価も同様で史上最高値を更新した。 危機的状況なのは明らかなのに、日銀も政府も出口戦略のシナリオをまったく示さない。政府は成長戦略に必要と言い、日銀 金融政策、果断に出口戦略を
「論語と算盤」で未来創る 大機小機 2月23日 今年のNHK大河ドラマの主人公は日本資本主義の父と言われる渋沢栄一だ。渋沢は「論語と算盤」の著書で知られる。第一国立銀行の創設といった企業活動だけでなく、日本赤十字社などの広範な社会事業活動を行い、経済と道徳の両立、私利ではなく公益を重んじること、それによって広く社会全般が豊かになる事の重要性を説いた。 今日、世界は地球環境問題、貧富の格差拡大、ポピュリズムによる政治の不安定化といった数多くの課 「論語と算盤」で未来創る
産業政策、合成の誤謬避けよ 大機小機 2月20日 個人が貯蓄に励み財産を増やすのは望ましい。しかし、全国民が同じ行動をとるのなら消費減によって経済活動が停滞する。これが合成の誤謬(ごびゅう)の代表例である。つまり部分的、短期的に適切な行動も全体的、長期的には不適切な行動となりうる。 新型コロナは社会に変革を求めている。ワクチンが効果を発揮したとしても、社会生活は元に戻らないだろう。それを先取りしているのが今の株式市場である。もっとも、情報技術( 産業政策、合成の誤謬避けよ
コロナ対策、金融政策と相似形 大機小機 2月19日 新型コロナ対策と金融政策は似ているのかもしれない。日々刻々と変動する情勢に対処し、国民(市場関係者)の信認をつなぎとめながら、政策目標への到達を目指す。 2つの異なる目標を同時に追求しなければならないところも似ている。 コロナ対策で言えば、感染抑制が最優先の目標であるが、同時に経済・社会の安定も重要課題だ。菅義偉政権も、感染拡大の防止と経済活動の両立で悩んでいる。観光支援策「Go To トラベル コロナ対策、金融政策と相似形
米中新冷戦防ぐ日本の役割 大機小機 2月18日 コロナ危機下で覇権にひた走る中国にどう臨むか。関与政策でも封じ込め策でもない。最大の同盟国と最大の貿易相手国のはざまで日本に求められるのは、米中新冷戦を防ぐ複合戦略である。 参考にすべきは、冷戦末期、米ソのはざまにあった西ドイツのシュミット首相が採った北大西洋条約機構(NATO)の「二重決定」だろう。米欧同盟を守り米核ミサイル配備でソ連に対峙しながら、米ソ核軍縮交渉を促し、冷戦終結にこぎつけた。 米中新冷戦防ぐ日本の役割
ジョブ型雇用に「上司の壁」 大機小機 2月17日 ジョブ型雇用を導入する企業の動きが広がっている。職務内容や求められる能力を細かに記した職務定義書を示し、入社年次などに関係なくポストにふさわしい人材をあてる制度だ。内外の優れた人材を登用し、働き手の意欲を引き出して生産性向上につなげる狙いを込める。 日本ではまだ、職務を限定せず、多様な仕事を経験させるメンバーシップ型が主流だ。終身雇用や年功型の賃金制度と相性がよい半面、社員が主体性を発揮しにくく ジョブ型雇用に「上司の壁」
株高、1988年の既視感 大機小機 2月16日 日経平均株価が2月15日、3万円を回復した。初めて3万円をつけたのは1988年。当時は日本が独走した株価バブル、今は米国発の世界的株価高騰の余波である。 88年当時を振り返ると、87年10月のブラックマンデー(世界同時株安)を日本が最初に克服した。そんな自信がやがて過信につながった。 88年1月には当時の大蔵省が特定金銭信託とファンドトラスト(指定金外信託)への低価法適用を一時停止。財テク企業や 株高、1988年の既視感