社会課題の解決、休眠預金で 大機小機 8月6日 「骨太の方針2022」や「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画」などを通じて、岸田文雄政権の目指す新しい資本主義の形がみえてきた。成長戦略として人への投資や科学技術・イノベーションへの投資の方針が打ち出されたが、もう一つ見逃せないのが、社会課題の解決に向けた取り組みである。 資本主義の下では、貧困や教育問題など社会課題の解決にまず求められるのは自助努力である。この自助を支援するのが行政、 社会課題の解決、休眠預金で
非常時型対応、3つの教訓 大機小機 8月5日 デフレへの対応、アジア通貨危機、リーマン・ショック、東日本大震災、新型コロナウイルス、ロシアのウクライナ侵攻など、日本経済は何度も想定外の環境変化に翻弄されてきた。こうした動きに対しては、非常時的な政策対応で立ち向かうことになる。これまでの非常時型対応を振り返ってみると、次のような教訓が浮かび上がってくる。 第1は、できるだけ早く平時型に戻すことだ。非常時型対応では、平時ではありえない政策を採用 非常時型対応、3つの教訓
過激化の誘惑、広がる世界 大機小機 8月4日 3カ月後に迫った米中間選挙をめぐり民主・共和両党が拮抗、火花を散らしている。争点は40年ぶりの高インフレといわれ、バイデン政権はインフレ制圧に必死である。 だが、もう一つ見落としてはならないのがトランプ前大統領の影だろう。中間選挙に向けた予備選でトランプ氏が応援会場に姿を現すと歓声に包まれる。歯切れのよい強硬論、過激な言動には人を酔わせる蜜の味がある。優等生的発言を排しバイデン氏を「寝ぼけたジョ 過激化の誘惑、広がる世界
老後資産問題、政治の本気度は 大機小機 8月3日 老後の経済問題は、多くの国民にとって最大の関心事の一つだ。終身雇用と年功序列の時代なら、定年まで勤めあげれば公的年金と退職金で老後生活を送ることができた。 しかし、時代とともに状況は変わった。今から3年前、金融審議会市場ワーキング・グループが、高齢夫婦無職世帯では平均月約5万円の赤字で、金融資産の取り崩しでしのいでいるとリポートした。老後30年では約2千万円の金融資産が必要とし、「老後2千万円問 老後資産問題、政治の本気度は
長期投資に絶好の買い場 大機小機 8月2日 世界的インフレは、新型コロナウイルス禍に続くウクライナ戦争で勢いを増した。多くの主要国中央銀行は、景気後退を甘受してでもインフレを抑える決意で金融引き締めに臨んでいる。だが、景気後退シグナルといわれる米国長短金利の逆転が起こり、金融市場を中心に、インフレよりも景気後退懸念が強まった。 米WTI原油先物市場では3月の高値である1バレル=130ドル台から7月中旬には90ドル台まで下落した。エネルギー 長期投資に絶好の買い場
日本の賃金はやがて上がる 大機小機 7月30日 「失われた30年」ともいう。バブル崩壊以降の日本経済の長期停滞を表現したものだ。この間、賃金も増えていない。岸田文雄政権は経営者に賃上げを強く要請しているが、果たして実現可能なのか。 内閣官房がまとめた「賃金・人的資本に関するデータ集」によると、新型コロナウイルス禍前の2019年の雇用者の実質賃金は、1991年を5%しか上回っていない。同期間に英国は48%、米国は41%も増えている。 賃金が上が 日本の賃金はやがて上がる
きな臭いシン・国家資本主義 大機小機 7月29日 資本主義の下では、企業は市場原理の下で競争する主体、国家は公共財を提供する主体であり、外部性などで市場の失敗が生じる場合以外は市場には介入しないとの役割分担がなされてきた。ところが新型コロナウイルス禍、気候変動問題、ロシアのウクライナ侵攻、中国の台湾への脅威など、わが国経済を取り巻く環境が激変し、双方の役割や関係に変化が生じてきた。 台湾積体電路製造(TSMC)の工場建設には巨額の補助金が提供さ きな臭いシン・国家資本主義
岸田政権、法人増税の予感 大機小機 7月28日 安倍晋三元首相の急逝は日本の経済財政政策にどんな影響を与えるだろうか。参院選で勝利した岸田文雄首相は、足元の財政拡大を容認しつつ、中長期的には財政規律に目配りするスタンスを強めようとするだろう。痛みを伴う財政健全化の行方は、政権の求心力も左右する。 「首相はこだわりを捨ててませんよ」。ある官邸官僚は話す。6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)のことだ。2025年度の基礎的財 岸田政権、法人増税の予感
通貨の評価は経済力の評価 大機小機 7月27日 円安が大きく進み、「悪い円安」との論調が目立つようになった。では逆に、「良い円安」なんてあるのか。 海外旅行を考えれば簡単である。旅行した国の通貨に比べて円が高ければ、いい旅行だったと思える。反対に円安であれば、惨めになる。日本の旅行者にとっては円高歓迎に決まっている。 自国通貨の評価は、自国の経済力の評価でもある。その象徴が国内総生産(GDP)の比較だろう。かつて米国に追いつく勢いだった日本は 通貨の評価は経済力の評価
企業の価格転嫁、着々と 大機小機 7月26日 日銀の黒田東彦総裁が6月初めに「家計の値上げ許容度が高まっている」と発言したことは、厳しく批判された。だが、発言の是非はともかく、データを冷静に眺めれば、企業の価格転嫁は比較的順調に進んでいることが分かる。 第1は物価上昇のスピードだ。「異次元緩和」開始から10年目の4月、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比伸び率は初めて日銀が目標とする2%を超えたが、これは予想を上回るスピードだった。 民間エコ 企業の価格転嫁、着々と