無用の複数コーチ制 悠々球論 権藤博 2月18日 立浪和義臨時コーチが、中日・根尾昂らに打撃を教え、ヤクルトでは古田敦也元監督が、臨時コーチを務めている。実績も指導力も十分なOBが、外野からみているのももったいないし、ファンも喜ぶだろう。 だが、ひっかかるのが「臨時」の肩書だ。パートタイムみたいなポジションで、思い切った指導ができるだろうか。 それぞれの担当分野に、もともとコーチがいる。遠慮もあるだろう。何をどう教えるかは選手の将来にかかわる。 無用の複数コーチ制
キャンプの働き方改革 悠々球論 権藤博 2月4日 通常、2月半ばから始まるメジャーのキャンプに比べ、2月1日解禁の日本のキャンプは長い。一日の練習も長いから、集中力が続かず、惰性の練習になりがちだ。 チーム全体でやる練習は結局横並びで、個々の選手がライバルに差をつけるための練習にはならない。差がつくのはみえないところでの個人の練習だ。 イチローは若いころ、全体練習のあと室内にこもり、人にみせずに打ち込んだ。どんなふうにして世界のイチローが生まれ キャンプの働き方改革
難しい野球の足し算 悠々球論 権藤博 1月21日 セ・リーグはまた、巨人の一人勝ちになるのでは……。DeNAからフリーエージェント(FA)となった梶谷隆幸、井納翔一の2人とも、巨人が獲得したものだから、そう見られるのも無理はない。 だが、野球はそう単純ではない。まず、両選手が重圧をはねのけられるか。トレードを含め、巨人に移籍してすぐ実力を発揮したのは張本勲、落合博満ら、海千山千の人に限られていた。勝って当たり前の巨人でなくなった今「優勝請負人」 難しい野球の足し算
人生10勝10敗の哲学 悠々球論 権藤博 1月7日 横浜(現DeNA)の監督になった1998年、私は開幕戦でベンチ入りした投手全員に「kill or be killed」(やるかやられるか)と書いたボールを手渡した。投手の勝負は常にのるかそるか。とにかく必死でやるしかないんだぞ、という意味だった。 この言葉通り、激しく戦い抜いたのが、今年からチームを率いる三浦大輔監督だった。直球は140キロに届くかどうか。変化球も並。それでも通用したのは真っすぐ 人生10勝10敗の哲学
DH 格差の原因ならず 悠々球論 権藤博 12月24日 セ・リーグでも指名打者(DH)制を採用しよう、と巨人が提案したものの、通らなかったという。日本シリーズなどでパ・リーグに対して旗色が悪いので、なんとかしたいというのはわかるが、そもそも私はDHが格差の原因だとは思わない。 球宴で私がセ・リーグの指揮を執ったのは1999年。この年の3連勝を挟んで、セが8連勝した。巨人・松井秀喜、上原浩治の両輪を含め、強力なメンバーがいたセの時代だった。75年にパ・ DH 格差の原因ならず
菅野メジャー挑戦の意義 悠々球論 権藤博 12月10日 よそから選手をかき集めるのが得意な巨人が、人材を出すという。菅野智之のメジャー行きを認めたのだ。この決断は偉い。菅野個人にも、球界にとってもいいことだ。 巨人の屋台骨を背負ってきた菅野。チームを連覇に導き、タイトルも手にした。こういう時期に心配されるのが燃え尽き症候群だ。菅野といえども例外ではなく、心機一転にはいいタイミングだ。 菅野が今の投球スタイルで行ったら、やられるだろう、と思う。投球が上 菅野メジャー挑戦の意義