「想定外」へ途上の法整備 政界Zoom 3月5日 東日本大震災から11日で10年を迎える。「想定外」が重なった巨大災害の教訓は日本の防災法制にどういかされたのか。次の危機への備えとして残された課題を探った。 「救援物資は国が東京から送るしかありません。予算は後から理屈をつけます」 2011年3月12日午前0時すぎ。内閣府で防災担当を務める小滝晃総括参事官は松本龍防災相に掛け合った。発災から9時間が経過し、事態は一刻を争う。短い答えが返ってきた。 「想定外」へ途上の法整備
出勤減へ「週休3日」の損得 政界Zoom 2月26日 新型コロナウイルス対策で出勤を減らす措置として週休3日制の導入案が浮上してきた。自民党は柔軟な勤務体系は女性の働きやすさにもつながるとみて検討を始めた。経済効果は消費拡大と所得減少の2つの面があり、経済成長と両立させるには企業の生産性向上が不可欠となる。 自民党の一億総活躍推進本部は1月、週休3日制に関する猪口邦子本部長の試案を公表した。希望者が週休3日制を選択できる仕組みを「広範に導入する」よ 出勤減へ「週休3日」の損得
マキャベリを好む政治家 政界Zoom 2月12日 菅義偉首相は中世フィレンツェの政治思想家マキャベリの言葉を好む。現実主義の古典とされる「君主論」をはじめマキャベリの著書は多くの政治家が引用してきた。500年の時代を超えて残る名言には戦略家としての印象づけや国会論戦での発言に説得力を持たせる効果がある。 最近の国会論戦でマキャベリが登場したのは昨年11月の衆院予算委員会である。立憲民主党の江田憲司代表代行が首相を問いただした。 「首相はマキャベ マキャベリを好む政治家
バイデン政権の対中外交を読む 政界Zoom 2月5日 1月に発足したバイデン米政権の対中政策を世界が注視する。当面はトランプ前政権が進めた強硬路線を維持すると主張するものの、気候変動問題などでは中国との協力も探る。日本の安全保障環境や国際秩序に大きな影響を与える米中関係の変化について有識者に聞いた。 バイデン大統領の民主党は上下両院で多数を押さえた。共和党による歯止めはかからず、民主党が重視する新型コロナウイルス対策や気候変動対策、核不拡散などの推 バイデン政権の対中外交を読む
保守分裂ドミノ、地方反旗 政界Zoom 1月29日 各地の知事選で保守分裂が相次ぐ。一因とされるのは導入から四半世紀を迎えた小選挙区制だ。国政選挙に出るチャンスが減った地方議員の不満が蓄積した一方で、自民党本部や派閥の地方への統制は弱まった。国会議員が推す候補に、地方議員が反旗を翻す土壌ができあがった。 24日に投開票した岐阜県知事選は55年ぶりの保守分裂選となった。現職の古田肇氏に対抗馬を立てたのは当選13回で「岐阜政界のドン」と呼ばれる自民党 保守分裂ドミノ、地方反旗
「お辞儀3人衆」の教え 政界Zoom 1月22日 自民党で菅義偉内閣への不満がくすぶる。政策や日程を巡る重要事項が十分に情報共有されず、主流派の党幹部も「首相官邸の根回しは機能不全だ」と批判する。首相と同じように党内基盤が弱かった三木武夫内閣で調整役を務めた「お辞儀3人衆」を引き合いに改善を求める声がある。 「よく党や派閥に不満を聞きに行ったもんだ」。大島理森衆院議長は2020年12月、都内で会食した坂井学官房副長官に自らの副長官時代の経験を語 「お辞儀3人衆」の教え
湾岸戦争30年のトラウマ 政界Zoom 1月15日 米国を中心とする多国籍軍がイラクを攻撃した湾岸戦争の開戦から17日で30年を迎える。自衛隊を送らず国際社会から批判を受けた日本にとっては海外派遣に道を開く転機となった。それから法整備を進めて防衛予算も1兆円増やしたものの、抑止力強化や国際貢献の課題はなお残る。 「同盟国が協力する決意が重要だ」。開戦2カ月前の1990年11月、来日したクエール米副大統領が海部俊樹首相に迫った。米国は同年8月にイラ 湾岸戦争30年のトラウマ
展望2021年 有識者に聞く 政界Zoom 1月8日 2021年は新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言で幕を開けた。国内は東京五輪開催や衆院解散・総選挙を控え、海外ではバイデン次期米政権の発足による国際情勢の変化が予想される。コロナという不確定要素で見通しがつきにくい年の展望を3人の識者に聞いた。 ――21年の国際情勢をどう見ますか。 「どの国も引き続きコロナの影響を受け、世界の景気回復は遅れる恐れがある。バイデン氏は米国内を立て直して世界でのリ 展望2021年 有識者に聞く
コロナ翻弄、安倍氏退陣が1位 政界Zoom 12月25日 2020年は新型コロナウイルスに翻弄された一年だった。7年8カ月続いた安倍政権が終わり、海外では11月の米大統領選でトランプ政権の交代が決まった。日本経済新聞社の政治記者が選んだ10大ニュースで今年を振り返った。 (肩書は当時) 政治部記者から最も多い票を集めたのは安倍晋三首相の辞任だった。史上最長の政権が幕引きする理由について、安倍氏は持病の再発だと説明した。7月ごろから首相に面会した複数の人が コロナ翻弄、安倍氏退陣が1位