中国「債務のワナ」 太平洋諸国警戒 Asiaを読む 12月7日 南太平洋の島しょ国、ソロモン諸島のツラギ島を中国企業が長期賃借したと10月、報じられた。(ソロモンの首都ホニアラがあるガダルカナル島の北に位置する)ツラギ島は深い海に囲まれ、良港を持つ。ソロモン諸島政府はそんな賃借契約は違法だとして(撤廃されるべきだとの)声明を出した。ソロモン諸島は台湾と断交し、中国と国交を樹立して間もないため、国際社会は警戒を強めた。 中国は、ソロモン諸島の政策転換を促すため 中国「債務のワナ」 太平洋諸国警戒
多国間の枠組み 対立の解毒剤に Asiaを読む 11月30日 米国のオバマ大統領(当時)は2011年11月、オーストラリア・キャンベラで演説し、アジア太平洋地域を重視することを表明した。オバマ氏の戦略の核心は、地域の多国間主義への関与だった。 現在のトランプ大統領は11月上旬、こうした姿勢にはっきりと終止符を打ったといえる。東アジア首脳会議に大統領補佐官(国家安全保障問題担当)を派遣し、本人は3年連続で欠席した。トランプ氏が声高に叫ぶインド太平洋戦略には、 多国間の枠組み 対立の解毒剤に
途上国の線引き 貿易力学に影響 Asiaを読む 11月23日 韓国政府は10月、世界貿易機関(WTO)での発展途上国の地位を放棄することを決めた。多くの人は、なぜ今まで途上国だったのか不思議に思うかもしれないが、もっともなことだ。 韓国が自らを先進国と分類した直接の引き金は、米国のトランプ大統領が7月、米通商代表部(USTR)に途上国ルールの見直しを求めたことだった。トランプ氏の念頭にあったのは、中国やインドをはじめとする国々が途上国の地位を利用して補助金 途上国の線引き 貿易力学に影響
RCEP離脱 インドは翻意を 小竹 洋之 Asiaを読む Asiaを読む 11月16日 日本など16カ国による東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の締結に向けた首脳会議は4日、交渉の年内妥結を断念した。大幅な関税自由化に反対するインドが、離脱の構えをみせているためだ。インドの離脱姿勢は、歴史的な大失態としか言いようがない。 参加国は2013年に交渉を始め、関税の撤廃・削減などを巡る協議を続けてきた。インド以外の国をいらだたせる結果となったが、本当の敗者はインド自身だろう。 インド RCEP離脱 インドは翻意を
北朝鮮の非核化、対中圧力カギに Asiaを読む 11月2日 中国と北朝鮮は10月6日、国交樹立70年を迎えた。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長は祝電を交わした。それぞれ「両国の長期的で健全な発展を推し進めたい」「朝鮮半島と世界の平和と安定を断固として維持していきたい」といった内容だった。 中朝のやり取りは、米国と北朝鮮の核開発を巡る交渉とは対照的にみえる。中朝の国交樹立70年の前日、スウェーデンのストックホ 北朝鮮の非核化、対中圧力カギに
中国の軍備増強 太平洋揺さぶる Asiaを読む 10月19日 中国の習近平(シー・ジンピン)指導部は1日、北京で建国70年の国慶節(建国記念日)を記念する軍事パレードを実施した。パレードは近年で最大規模で、高い能力を持つ人民解放軍が一層の活性化と近代化を進めていることも示した。米国に次ぐ世界2位の国防予算を持つ中国は、柔軟で高い殺傷能力を備えた軍隊をつくるため、特定分野の能力向上を重視しているようにみえる。 こうした動きは地域のパワーバランスにとって何を意 中国の軍備増強 太平洋揺さぶる
中国の経済成長 米国にもプラス Asiaを読む 10月12日 私が会長を務める研究所で最近、経済と安全保障の面から世界の現状を考える会議が開かれた。米国と中国の経済モデルと、両国の対立の深まりが議論の中心になった。様々な分野の専門家の幅広い合意がただ一つ得られたのは、(2020年の)米大統領選挙が終わるまで、両国の主要な問題について恒久的で前向きな突破口が開かれる可能性は低いというものだった。 米中対立は、主にトランプ米大統領が抱く中国の対米貿易黒字拡大へ 中国の経済成長 米国にもプラス
インドネシア 多様性の確保を Asiaを読む 10月5日 インドネシアの4月の大統領選挙から約半年がたち、20日、再選されたジョコ大統領の2期目の就任式が実施される。ジョコ氏は既に、ジャカルタからの首都移転を打ち出し、自らの歴史的な遺産に磨きをかけようとしている。 4月の選挙で約55.5%の票を獲得したジョコ氏の立場が、いまほど強かったことはないといっていい。大統領の任期は最大で2期10年と決まっているため、ジョコ氏が再選を心配する必要はない。どの大統 インドネシア 多様性の確保を
ソロモンと断交 台湾への影響は Asiaを読む 9月28日 台湾は南太平洋の島しょ国・ソロモン諸島と断交した。中国と国交を樹立する道を選んだソロモン諸島側から断交される前に、断交すると決めた。ソロモン諸島を失うことで、台湾と外交関係を持つ国は16カ国(16日時点)に減った。そのうちいくつかの国は米中の覇権争いが起こっている南太平洋にある。 (南太平洋の島しょ国・キリバスが台湾と断交するなど)他の島しょ国にも「断交ドミノ」がさらに波及するとの見方が広がって ソロモンと断交 台湾への影響は
タイへの訪問客、急増リスク浮上 Asiaを読む 9月21日 タイは「ほほえみの国」として知られるが、今はそれほどにこやかではないはずだ。観光客の急増が、治安への脅威になっているのではないかとの不安が高まっているからだ。 タイを訪れた外国人は2018年、17年比約7.5%増の約3800万人に達した。観光・スポーツ省が今夏提案した「中国人とインド人の査証(ビザ)免除」は、外国人急増への切迫感を増大させた。18年、中国とインドからの訪問客は全体の3分の1程度を タイへの訪問客、急増リスク浮上