コロナ対策、職場監視の皮肉 FINANCIAL TIMES 1月18日 まさに最適なタイミングだった。新型コロナウイルスの猛威が続くなか、米アマゾン・ドット・コムのクラウド子会社AWSが年末、職場の感染対策用に新装置「AWSパノラマ」を発表した。監視カメラの映像をコンピューターの視覚技術で分析し、従業員同士が一定の距離を取る決まりを守っていない場面などを見つけ出せるという。 AWSは油漏れの有無やヘルメット着用の順守なども確認できるので、職場の安全性向上に役立つとみ コロナ対策、職場監視の皮肉
馬氏が姿を消した意味 FINANCIAL TIMES 1月15日 中国アリババ集団の創業者、馬雲(ジャック・マー)氏は2020年10月24日、上海で開かれた金融フォーラムで講演した際、中国の金融規制当局を批判し、国有銀行には「質屋の考え方」が残るなどとこき下ろした。馬氏に破滅的ともいえる事態をもたらすことになったこの講演には特筆すべき点が多くあるが、中でも次の3点が際立つ。 第1は、馬氏は紙に書いてある原稿を読みながら批判を展開したことだ。第2はこの発言以降、 馬氏が姿を消した意味
米の州・自治体、コロナで財政難 FINANCIAL TIMES 1月14日 米民主党が5日の上院決選投票を経て上院の多数派を握ったことで、新型コロナウイルスの猛威に打撃を受けている地域への連邦政府の支援への道が開けつつある。 米シンクタンク、アーバン・インスティテュートによると、2020年3~11月の全米の州レベルの税収総額は前年同期から3.2%落ち込んだ。状況が深刻なのは大都市を抱えるニューヨークやカリフォルニアなどの州だ。 ハワイ、ネバダなどの州でもホテルやリゾート 米の州・自治体、コロナで財政難
コロナバブル 過去と相似 FINANCIAL TIMES 1月13日 読者の皆さんは、1000億ドル(約10兆円)が大金だった時代を覚えておいでだろうか。20年前のドットコムバブルの絶頂期に1年間でベンチャーキャピタル(VC)投資に流れ込んだ金額が、その程度だった。1000億ドルというのは、その2年前に投じられた額の5倍、そしてその2年後に投じられた額の5倍にのぼる。 ふたを開けてみると、ビジネスモデルのないスタートアップ企業にこれほどの大金を無理やり押し込むのは コロナバブル 過去と相似
コロナ禍が問う優先順位 FINANCIAL TIMES 1月11日 英中銀イングランド銀行総裁を務めたマーク・カーニー氏は2020年12月、英BBCのラジオ番組で、われわれはなぜ道徳や倫理より金銭的価値の方を重視するのだろうと問うた。 例えば気候変動問題では、地球環境を守る重要性への理解不足もあって人々の関心は目先のことに向かいがちで、同じアマゾンでも米ネット通販企業とは違い、南米の熱帯雨林の価値はきちんと捉えられていないという。 効率と利益の最大化だけを求め、 コロナ禍が問う優先順位
中国に擦り寄るEUの危険 FINANCIAL TIMES 1月8日 欧州連合(EU)のフォンデアライエン委員長は、就任に先立つ2019年11月、「地政学的な責任を果たす欧州委員会」を率いたいと抱負を語った。 しかし、EUが20年12月30日に中国と投資協定締結に向け大筋合意したことで、フォンデアライエン氏は地政学的に極めてまずいメッセージを世界に発して20年を終えることとなった。 中国はこの1年、香港の自由を奪い去り、新疆ウイグル自治区でのウイグル人弾圧を強め、 中国に擦り寄るEUの危険
トルコ、職に就けない若者 FINANCIAL TIMES 1月7日 物流管理の学位は就職に直結するはずだ――。イスタンブールに住むオザン・ユルマズさん(23)は思っていた。ところが卒業から1年以上たつのにまだ就職活動中だ。 「応募はずっと続けている。面接に呼ばれることもある。でも何も得られない」。新型コロナウイルスの感染拡大が加わり、職探しはさらに難しくなっている。 トルコの若年層失業率は2020年9月時点で24%。コロナ禍で悪化した雇用危機の中、15~24歳の トルコ、職に就けない若者
コロナ禍 教訓得られぬ悲劇 FINANCIAL TIMES 1月6日 人類が過去100年ほどで経験した世界的危機のほとんどは、少なくとも我々に教訓を与えてくれた。第1次大戦は帝国主義を失墜させ、植民地での民族自決運動を加速させた。第2次大戦は国連など民族主義に歯止めをかけるための法的な枠組み作りを後押しする結果をもたらした。 その後の流血を伴わない災厄にも学びはあった。1970年代のスタグフレーション(景気悪化時の物価高)はケインズ主義的な経済政策の限界を露呈させ コロナ禍 教訓得られぬ悲劇
米追加策でも効果は限定的 FINANCIAL TIMES 1月5日 米カリフォルニア州サンフランシスコに住むチェース・コプリッジさんはバンの中で眠り、それから1日16時間、その車で仕事をする。食品雑貨店のそばに止め、インスタカートかドアダッシュ、アマゾンフレックスのアプリを通じ仕事が来るのを待つ。 だが、配達代行の依頼はまばらだ。新型コロナウイルスの感染拡大でいくつかの州が新たにロックダウン(都市封鎖)を導入するなか、アプリ経由の仕事は争奪戦になっている。以前は 米追加策でも効果は限定的
弱まる自由民主主義の光 FINANCIAL TIMES 1月4日 「21世紀に入って初めて人口100万人超の国で民主主義国を非民主主義国が上回った」。歴史学者のT・G・アッシュ氏は「自由主義の未来」と題した小論でこう断じた。米スタンフォード大学のL・ダイアモンド氏のいう「民主主義の後退」のことだ。幸い米国でバイデン前副大統領が次期大統領に選ばれたが、それで話は終わらない。 今起きていることを理解するには、政治と経済の関係を明らかにする必要がある。米経済学者のブ 弱まる自由民主主義の光