現代版「閻魔大王」は誰だ コロナ対応、銀行に岐路 上杉 素直 1月3日 一斉休校や緊急事態宣言という不穏な出来事が続いた2020年春ごろ、「経済はこれからさらにひどくなる」と先行きを危ぶむ声であふれていた。あのとき漂った悲壮感を思えば、多少のデコボコはあっても日本経済はわりと順調に新しい年を迎えたといえるのではないか。 巨額の債務をいとわず大盤振る舞いした政府部門と並んで、20年の日本経済をなんとか支えたのは金融部門の踏ん張りだった。コロナ禍で事業者が厳しい環境に追 現代版「閻魔大王」は誰だ コロナ対応、銀行に岐路
地方で輝け元バンカー 「東京卒業」成功の条件は 上杉 素直 Deep Insight 本社コメンテーター 12月31日 自分の体臭はどれほどなのか。大事な商談やデートを控えて気になる人は多いだろう。そんなニーズに応えようと、臭いを目に見える数値にするのがコニカミノルタの測定器「クンクンボディ」だ。2020年には歯科医が患者の口臭を測るツールを発表するなど、同社は嗅ぎ分け技術を応用して新しい市場の開拓を狙っている。 同社はもともと、臭いにまつわるビジネスの経験が乏しかった。そこで、開発に際して臭気判定士や調香師とい 地方で輝け元バンカー 「東京卒業」成功の条件は
「外の人」が導く地域の革新 飛騨高山、逆風で守る志 上杉 素直 Deep Insight 本社コメンテーター 11月24日 情緒あふれる街並みや美しい山々の風景で知られる岐阜県北部の高山市が不名誉な形で脚光を浴びた。3年ぶりにマイナスとなった9月公表の2020年の基準地価で、全国の商業地で最大の9.3%という下げを記録したのが同市の奥飛騨温泉郷平湯だった。新型コロナウイルス感染拡大で訪日客が激減した影響を強く受けたためで、負債2億円超の老舗旅館の破産も起きた。 新型コロナでがらりと変わった世界と人の流れにどう向き合っ 「外の人」が導く地域の革新 飛騨高山、逆風で守る志
日本経済4つのハードル 日本の論点2021 上杉 素直 コラム(経済・金融) 経済 本社コメンテーター 11月13日 新型コロナウイルスの感染拡大で2021年は非常に不透明感が強い。日本の経済・政治はどう変化するのか。世界情勢の行方は。日本経済新聞の編集委員、コメンテーターらの見通しを、このほど出版した『これからの日本の論点2021 日経大予測』(日本経済新聞出版)から紹介する。 新型コロナウイルスの感染拡大で世界全体の経済活動が滞り、2020年の主要国の景気は、戦前の世界恐慌以来といわれる厳しい落ち込みに見舞わ 日本経済4つのハードル 日本の論点2021
ゆうちょが危険を冒す訳 地銀の明日も占う葛藤 上杉 素直 Deep Insight 本社コメンテーター 10月31日 口座は日本の人口並みの1億2千万を数え、家計の預貯金の2割を抱えるゆうちょ銀行。その幹部たちが肝を冷やす出来事があったと聞いた。新型コロナウイルスの感染拡大に世界のマーケットが揺れた3月のことだ。企業の信用度に基づく金融商品が取引されるクレジット市場の急落が、ゆうちょ銀を直撃したという。 関係者によると、ゆうちょ銀がそのときの相場の変調で瞬間的に失った含み益はおおむね5兆円規模に達したそうだ。含 ゆうちょが危険を冒す訳 地銀の明日も占う葛藤
もう一つの働き方改革 あなたの使命は何ですか 上杉 素直 Deep Insight 本社コメンテーター 10月3日 新型コロナウイルスの感染拡大は痛ましい出来事だが、日本社会に前向きな変化ももたらした。会社員の働き方は最たるものだ。政府が4月に緊急事態宣言を発令すると、多くの企業は社員に自宅での就業を求めた。満員電車の苦痛に耐えながら毎朝オフィスに向かう人は格段に減った。オフィスの外でも仕事ができるという緊急時の成功体験が社会に共有され、リモートワークが就労のひとつの形態として定着した。 そして、メンバーが1 もう一つの働き方改革 あなたの使命は何ですか
旅館が挑む脱「負の連鎖」 Go Toの先へ 上杉 素直 Deep Insight 本社コメンテーター 8月27日 直前になって東京発着を対象から外すなど、すったもんだの末に政府の国内旅行喚起策「Go To トラベル」キャンペーンが始まって1カ月余りたった。お盆の帰省を控えるよう促す自治体がある中での官製キャンペーンがちぐはぐな印象を与えたのは周知の通り。社会活動が夏には元に戻るだろうという期待が裏切られた現状を見るにつけ、コロナ禍の深刻さを改めて思い知らされる。 天災で失われた需要を政府が代わりにつくって業 旅館が挑む脱「負の連鎖」 Go Toの先へ
銀行経営、失敗のススメ 今こそビッグバンの精神を 上杉 素直 Deep Insight 本社コメンテーター 7月28日 7月、記録的な豪雨に見舞われた熊本県人吉市の商工会議所の駐車場に、鹿児島銀行のATMを積んだ1台の小型車がやってきた。近隣の銀行は浸水からの復旧にめどがたたないなか、必需品を買うための現金がATMカーで引き出せるようになった。同行を傘下に置く九州フィナンシャルグループ(FG)によると、現金引き出しの利用額は当初の数日で300万円弱に達した。切実なニーズがあったのがわかる。 同じ九州FGの熊本県の 銀行経営、失敗のススメ 今こそビッグバンの精神を
「選ばれる病院」への王道は 経営マインドもっと強く 上杉 素直 Deep Insight 本社コメンテーター 6月30日 消化薬や整腸薬が欲しいとき、自宅や職場の近くにあるコンビニエンスストアで買い求める人は多いだろう。薬局・薬店に限られていた売り場を2004年にコンビニへと広げたのは、当時の小泉純一郎政権が取り組んだ規制緩和の成果の一つといえる。 既得権益に守られた業界を「抵抗勢力」と呼んで改革を迫った小泉政権でも、医療分野では分厚い壁に跳ね返されることが多かった。代表例が株式会社の病院への参入だ。医療法は営利を 「選ばれる病院」への王道は 経営マインドもっと強く
めざすはリクルート 山口FG、50歳新社長の「脱地銀」 上杉 素直 金融コンフィデンシャル コラム(経済・金融) 金融機関 本社コメンテーター 6月4日更新 250年以上続いた江戸時代の末期、行き詰まった藩政をいち早く改め、倒幕を推し進めたのが「薩長土肥」と呼ばれる西日本の有力藩だった。その1つである長州藩は松下村塾で知られる吉田松陰や高杉晋作、伊藤博文らそうそうたる人材を輩出し、明治維新に大きく貢献した。幕府のある江戸と地理的に遠く離れていたことが新たな時代へのうねりを生み出す独立心の土壌になった、という解説も付け加えられる。 そんな土地柄は現代に めざすはリクルート 山口FG、50歳新社長の「脱地銀」
本社コメンテーター
金融・経済政策
金融ビジネスや金融政策、税制・財政をはじめとする経済政策、社会保障の現場を取材してきた。2010年からのロンドン駐在では欧州債務危機に揺れる政治や行政、人々の暮らしをのぞいた。編集委員を経て18年から現職。