[FT]途上国「失われた10年」危機 支援で中国と競争も マーティン・ウルフ FT FT commentators 1月13日 過去3年間の数々のショックはすべての国に打撃を与えたが、とりわけ新興国と発展途上国には大きな痛手をもたらした。 その結果、世界銀行の「2023年世界経済見通し」によると、貧困国と富裕国の平均所得の差が縮小していく動きが停滞してしまっている。加えて貧困国が受けた打撃やその後遺症が今後も続きそうなことを考えれば、格差縮小の動きはすぐには再開しないかもしれない。 新興国と途上国の国内総生産(GDP)は [FT]途上国「失われた10年」危機 支援で中国と競争も
[FT]ウクライナ支援、西側義務 米欧GDP計はロシアの22倍 マーティン・ウルフ FT FT commentators 12月23日 ウクライナはロシアによる侵攻以来、容赦ない攻撃からどうにか生き延びてきた。ロシア軍に屈辱を与え、失った領土の多くを奪還した。これは偉業だ。だが戦争は終わっていない。ロシア軍は10月10日以降、インフラ設備を標的にした新たな段階の攻撃を開始、その狙いはウクライナ国民の意志をくじくことだが、これも失敗に終わらせなければならない。 欧州が戦後築いた、国境の武力による変更は許されない、市民が指導者を選ぶ [FT]ウクライナ支援、西側義務 米欧GDP計はロシアの22倍
[FT]マーティン・ウルフが選ぶ2022年必読の経済書 マーティン・ウルフ FT 経済 FT commentators 読書 11月25日 The Cashless Revolution: China's Reinvention of Money and the End of America's Domination of Finance and Technology(キャッシュレス革命:中国による貨幣の再発明と米国による金融・技術独占の終わり[邦題は原則仮訳、以下同]) マーティン・コルゼンパ著、パブリックアフェアーズ 中国がいか [FT]マーティン・ウルフが選ぶ2022年必読の経済書
[FT]自由貿易維持へ課題5つ 多国間ルール、中小国こそ マーティン・ウルフ FT FT commentators 7月6日 戦後のグローバルな経済秩序の歴史に第3の時代が訪れた。第1は1940年代後半から70年代までで、冷戦下で米国と足並みをそろえた高所得国を中心とする経済開放が特徴だった。 第2は80年代からで、特にソ連崩壊後は経済的自由を徹底して追求する新自由主義が世界中に広がった。95年に世界貿易機関(WTO)が発足し、2001年に中国が加盟したことで、この時代は頂点を迎える。 われわれが今まさに突入しつつある [FT]自由貿易維持へ課題5つ 多国間ルール、中小国こそ
[FT]迫るスタグフレーション FRB、需要抑制の決意を マーティン・ウルフ Think! FT FT commentators 6月3日 米国とその他の主要先進国は景気後退に陥るのか――。5月に開かれた世界経済フォーラム(WEF)の今年の年次総会(通称ダボス会議)でこの疑問が出たのは当然だ。 だがこの問いは、少なくとも米国に関する限り正しくない。正しい問いはこうだ。米国は1970年代のスタグフレーションによく似た高インフレ低成長時代に向かっているのか、もしそうならばどうなるのか、だ。 50年前と今がよく似ているのは明らかだ。現在の [FT]迫るスタグフレーション FRB、需要抑制の決意を
[FT]米経済の軟着離 今や困難 脆弱な市場に大打撃も マーティン・ウルフ FT FT commentators 5月20日 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は4日の米連邦公開市場委員会(FOMC)終了後の会見でこう述べた。 「インフレ率は高くなり過ぎた。それがもたらす人々の苦難をよく承知しており、迅速に手を打っている。我々は、米国の家庭と企業のために物価安定を取り戻すための必要な手段も決意も持ち合わせている」 この発言はいわばざんげだったといえる。だが2012年7月に当時、欧州中央銀行(ECB)総裁だったドラ [FT]米経済の軟着離 今や困難 脆弱な市場に大打撃も
[FT]侵攻の先に見える大惨事 「力こそ正義」なら核戦争も ウクライナ侵攻 マーティン・ウルフ Think! ヨーロッパ FT FT commentators 3月23日 新しい世界が生まれつつある。平和な国際秩序への望みは薄れている。 かわりにロシアによるウクライナ侵攻や核兵器による世界最終戦争の脅威、西側諸国の結束、専制国家による同盟、かつてない規模の経済制裁、エネルギーや食料品価格の大幅な高騰が世界を襲っている。この先何が起きるかは誰にもわからない。だが、大惨事になりそうなことは誰もが知っている。 ■NATOの曖昧さ、侵攻の要因か そうなると誰かのせいにした [FT]侵攻の先に見える大惨事 「力こそ正義」なら核戦争も
[FT]インフレに後手のFRB 賃金と物価の連鎖上昇必至 マーティン・ウルフ FT FT commentators 2月18日 昨年11月22日にバイデン米大統領は、パウエル氏を米連邦準備理事会(FRB)議長に再指名した。その8日後、パウエル氏は上院で議会証言し「あの言葉を使うのはやめ、インフレについて我々がどう考えているかもっと明確に説明する必要がありそうだ」と述べた。あの言葉とは「一過性(transitory)」だ。 FRBはこの言葉を呪文のように繰り返し、経済が力強く回復する中で物価が上昇しても、超緩和的な金融政策 [FT]インフレに後手のFRB 賃金と物価の連鎖上昇必至
[FT]世界経済、いばらの回復 引き締めで浮上するリスク マーティン・ウルフ FT FT commentators 2月2日 2021年は力強い景気回復の年だったが、世界全域で回復したわけではなく、完全に元にも戻らなかった。残念ながら、現時点の22年の見通しは、昨年10月の国際通貨基金(IMF)の予想より悪くみえる。 IMFは、悪化の主因は新型コロナウイルスの変異型「オミクロン型」と供給不足、予想を超えた高いインフレ率だと論じている。成長予想の下方修正が特に顕著なのは米国と中国だ。不確実性は高く、下押し要因のリスクが集 [FT]世界経済、いばらの回復 引き締めで浮上するリスク
[FT]米、財政出動で民主主義守る マーティン・ウルフ FT FT commentators 5月21日 「米民主主義が長く続くかという問いは古くからあるが、差し迫った問題でもあり、米国が誕生した時から存在する」 バイデン米大統領は4月28日の施政方針演説でこう語り、自分の政権にどれほど重要なことがかかっているかを明確にした。世界の独裁者が、米民主主義は「我々を分断してきた噓や怒り、憎悪、恐怖を克服できない」とみているとも述べた。この認識は正しい。独裁者らの見方が正しい可能性さえある。 米二大政党の [FT]米、財政出動で民主主義守る
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チーフ・エコノミクス・コメンテーター
チーフ・エコノミクス・コメンテーター
Martin Wolf 英国生まれ。経済政策の間違いが第2次世界大戦を招いたとの問題意識から経済に関心を持つ。世界銀行のエコノミストなどを経て87年にFT入社。一貫して経済問題を執筆。現在最も影響力のあるジャーナリストとされ、その論評、発言は各国の財務相や中央銀行総裁も注目するという。
Martin Wolf 英国生まれ。経済政策の間違いが第2次世界大戦を招いたとの問題意識から経済に関心を持つ。世界銀行のエコノミストなどを経て87年にFT入社。一貫して経済問題を執筆。現在最も影響力のあるジャーナリストとされ、その論評、発言は各国の財務相や中央銀行総裁も注目するという。