[FT]ロシア、勝利維持の道なし 消耗戦と孤立で地位低下 ギデオン・ラックマン Think! FT FT commentators 1月27日 「ロシアがこの戦争でだめになるなどと見くびってはならない」。モスクワに長い駐在経験を持つ欧州のある外交官はぼそっとこんな警告を発した。もっともな指摘だろう。ロシアのプーチン大統領のウクライナ侵攻は確かに極めてまずい事態に至っている。それでもロシアは依然、豊富な資源と冷酷で残忍な政府を抱える巨大な国だ。 ウクライナの情報機関はロシアが今年、ウクライナに新たな攻撃をしかけるために、さらに兵を動員し軍 [FT]ロシア、勝利維持の道なし 消耗戦と孤立で地位低下
[FT]朝鮮戦争の休戦が参考に ウクライナにもプラス面あり ギデオン・ラックマン Think! FT FT commentators 12月16日更新 一部の保守派の人にとっては外交政策の危機といえば「ミュンヘン」(編集注、ナチスドイツとの戦いを含む戦争)を意味するし、一部の左派の人はいかなる戦争も「ベトナム」(戦う意味のない戦争)と化す恐れがあるとみている。 だが、ロシアとウクライナの戦争の2年目突入が避けられそうにない今、あまり耳慣れない言葉が聞かれるようになった。「朝鮮」だ。 なぜ朝鮮戦争が比較に出てくるかと言えば、同戦争はいまだに正式 [FT]朝鮮戦争の休戦が参考に ウクライナにもプラス面あり
[FT]習氏の「ゼロコロナ」、窮地に 試される個人崇拝の権威 ギデオン・ラックマン 新型コロナ FT FT commentators 12月2日 中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は2021年の新年の演説で、新型コロナウイルス感染を徹底して封じ込める中国の「ゼロコロナ」政策の成功ぶりを誇らしげに語った。 国外では数百万人に上る死者が出ていたのに中国は「国民とその命を最優先し、(中略)連帯感と強靱(きょうじん)性を発揮してコロナとの戦いに勝利する偉業を成し遂げた」と。 だが以来2年近くたち、コロナ禍への対応を自らの実績であり、かつ組織 [FT]習氏の「ゼロコロナ」、窮地に 試される個人崇拝の権威
[FT]核兵器、最悪シナリオ3つ 指導者は冷静さ失うな ギデオン・ラックマン ウクライナ侵攻 Think! FT 11月9日 「核戦争に勝者はなく、決して戦ってはならない」。核拡散防止条約(NPT)が核の保有を認めた中国、フランス、ロシア、英国、米国の5カ国は2022年1月、核軍縮の推進に向けて共同声明を発表した。 ロシアがウクライナに侵攻したのは、その翌月だった。以来、世界のリーダーたちは核戦争がすぐにも現実になる脅威と向き合っている。 ロシアのプーチン大統領は初めから自国の存続を懸けた戦いだと位置付け、勝つためには [FT]核兵器、最悪シナリオ3つ 指導者は冷静さ失うな
[FT]ロシアの極右思想、世界へ プーチン氏の侵攻を支持 ギデオン・ラックマン FT FT commentators 8月26日 長いひげと過激な発言をもってすれば、簡単に注目を集められることにロシアの極右の思想家アレクサンドル・ドゥーギン氏は気づいた。彼を「プーチン大統領の頭脳」、あるいはロシア帝政末期の怪僧になぞらえ「ラスプーチン」と呼ぶ人までいる。だが、2014年にモスクワ国立大学教授の職を失った事実から、ロシア政府に対し、特に影響力を持つわけではないとする向きもある。 それでも今月20日、ドゥーギン氏の娘で国家主義 [FT]ロシアの極右思想、世界へ プーチン氏の侵攻を支持
[FT]トルコ、NATOに不可欠 黒海掌握で価値証明 ギデオン・ラックマン FT FT commentators 7月8日 トルコなど北大西洋条約機構(NATO)から追い出したらどうか。それは名案だ――。6月30日に閉幕したNATO首脳会議に参加した人たちは会議後、お酒を片手にこんな会話をしたかもしれない。 NATO加盟国にとってトルコは同盟国だが、エルドアン大統領が頭に来る存在であることは確かだ。同氏は今回の首脳会議でフィンランドとスウェーデンのNATO加盟反対を取り下げたものの、その直後に新たな疑念を巻き起こした [FT]トルコ、NATOに不可欠 黒海掌握で価値証明
[FT]「ロシア弱体化」掲げる危険 和平交渉の実現困難に ギデオン・ラックマン ウクライナ侵攻 FT FT commentators 5月13日 ロシアのプーチン大統領にとって、9日の第2次世界大戦の対ドイツ戦勝記念日に祝うべき勝利はなかった。それどころか過酷で終わりが見えない、ますます屈辱的な戦争にはまり込みつつある。 モスクワの「赤の広場」での演説に先立ち、プーチン氏には選択肢が3つあった(どれも望ましいものではない)。第1はウクライナでの戦争を終結させ始めると表明することだが、それには今回の侵攻で達成させるはずの目標の多くを諦める [FT]「ロシア弱体化」掲げる危険 和平交渉の実現困難に
[FT]マクロン氏、EU変えるか 安保自立論に加盟国懸念 ギデオン・ラックマン FT FT commentators 4月29日 フランス大統領再選を果たしたマクロン氏は今や欧州で最も影響力を持つ政治家だ。同氏は今後5年間、この影響力を使ってフランスのみならず欧州全体の変革に挑むだろう。 もしマクロン氏がその変革で真の成功を収めれば、仏大統領として2期目にして最後の任期中に欧州連合(EU)を中国、米国に並ぶ地政学的存在に押し上げることになる。EUを米中に匹敵させるなど達成が極めて難しい目標にみえるかもしれない。それどころか [FT]マクロン氏、EU変えるか 安保自立論に加盟国懸念
[FT]「非自由」加速のハンガリー EU加盟でも中ロに秋波 ギデオン・ラックマン FT ヨーロッパ 4月8日 ハンガリーで3日に投開票された議会選挙でオルバン首相が率いる右派の与党が勝利した。 ロシアのプーチン大統領や中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席、米フロリダ州の別荘「マール・ア・ラーゴ」にいるトランプ米前大統領は快哉(かいさい)を叫び、欧州連合(EU)指導部とウクライナ政府は頭を抱えていることだろう。 ロシアが侵攻したウクライナのゼレンスキー大統領はハンガリー議会選を前にオルバン氏について「プ [FT]「非自由」加速のハンガリー EU加盟でも中ロに秋波
[FT]EUは中国の圧力からリトアニア守れ ギデオン・ラックマン FT FT commentators 1月21日 欧州は21世紀、欧州以外の超大国に振り回される運命にあるのか――。 欧州連合(EU)本部は、EUの結束した力のみがそうしたひどい運命から欧州大陸を救えると主張する。EUには1カ国だけで米国や中国と対等に渡り合える国はないが、EUとして捉えれば世界3大経済勢力の一つとなる。 だが、EUの経済力を背景にすれば地政学的な力も容易に発揮できるのではないかという考えは今、残酷なまでの現実を突きつけられてい [FT]EUは中国の圧力からリトアニア守れ
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チーフ・フォーリン・アフェアーズ・コメンテーター
チーフ・フォーリン・アフェアーズ・コメンテーター
Gideon Rachman 英国生まれ。英BBCや英エコノミストなどを経て2006年FTに入社。同年、現在の外交関係の論評責任者に。2016年政治分野のジャーナリストとして英オーウェル賞を受賞。著書に「Easternization」(2016年)などがある。
Gideon Rachman 英国生まれ。英BBCや英エコノミストなどを経て2006年FTに入社。同年、現在の外交関係の論評責任者に。2016年政治分野のジャーナリストとして英オーウェル賞を受賞。著書に「Easternization」(2016年)などがある。