[FT]戦後最大の重責担う大統領 バイデン政権 ジャナン・ガネシュ 北米 FT FT commentators 1月25日 大統領就任式を控え米首都ワシントンに州兵が配置された様子は、世界の強権的指導者に格好のプロパガンダの材料を提供した。物々しい警備が正当化され得たのは全く恐ろしいことだ。 ただ強権国家はすでに評判を得ている。中国は昨年、プラス成長を維持し、新型コロナウイルスのワクチン外交も新興・途上国から歓迎される。欧州連合とは投資協定締結で大筋合意した。 そこへジョー・バイデン氏が米大統領に就任した。新大統領に [FT]戦後最大の重責担う大統領
[FT]教訓得られぬコロナ禍の悲劇 ジャナン・ガネシュ Think! FT FT commentators 1月6日 人類が過去100年ほどで経験した世界的危機のほとんどは、少なくとも我々に教訓を与えてくれた。第1次大戦は帝国主義を失墜させ、植民地での民族自決運動を加速させた。第2次大戦は国連など民族主義に歯止めをかけるための法的な枠組み作りを後押しする結果をもたらした。 その後の流血を伴わない災厄にも学びはあった。1970年代のスタグフレーション(景気悪化時の物価高)はケインズ主義的な経済政策の限界を露呈させ [FT]教訓得られぬコロナ禍の悲劇
[FT]真の格差は支配層の中に ジャナン・ガネシュ 北米 FT 12月7日 米国では再び少数エリートが国を動かそうとしている。大統領選で勝利を確実にしたバイデン前副大統領は、次期財務長官候補に連邦準備理事会(FRB)の前議長を指名した。国務長官にも名門大学出身で、過去の政権で要職を歴任した官僚を起用し、国家経済会議(NEC)委員長には資産運用大手ブラックロックの幹部を選んだ。 彼らは出世階段を上る過程で数多くのライバルを追い落としたはずだ。経営学修士号(MBA)を取得 [FT]真の格差は支配層の中に
[FT]バイデン氏のかなわぬ夢 ジャナン・ガネシュ 米大統領選 北米 FT FT commentators 11月16日 米大統領選で約300人の選挙人を獲得できる見通しとなった勝者が、分断の傷を癒やし全ての国民のために働く方針を掲げた。20世紀半ば、党派が協力し合う様子を目のあたりにして育った人物が、国民の結束を望むのはそう不自然ではない。 トランプ大統領は4年前に共和・民主両党の融和を説きつつ、薄ら笑いをこらえていたかもしれない。オバマ、ブッシュ(第43代)、クリントン各氏も自らの大統領就任時に同じことを口にし [FT]バイデン氏のかなわぬ夢
[FT]潮目変わったか米大統領選 ジャナン・ガネシュ 米大統領選 北米 FT FT commentators 9月7日 多弁で知られる米国のバイデン前副大統領は今回は違った。 「私が急進的な社会主義者で、暴徒に強く出られないと思いますか」。8月31日のペンシルベニア州での演説で口にした問いは、穏健派としての長い政治人生を簡潔に印象付けるものだった。共和党議員とも親交があり、従来型の外交政策を掲げるバイデン氏。暴力犯罪に対する法整備にも尽力し、後に黒人受刑者の急増を招いたと批判もされた。民主党内で急進左派のイメージ [FT]潮目変わったか米大統領選
[FT]強権より無策憂う米国民 ジャナン・ガネシュ 北米 FT FT commentators 8月12日 動詞で始まる3語のスローガンは、ポピュリスト(大衆迎合主義者)の決まり文句だ。「テーク・バック・コントロール(支配権を取り戻せ)」と「ビルド・ザット・ウォール(あの壁を建てろ)」は2016年に、英米両国のポピュリスト運動で見事に奏功した。 指導者はひとたび権力の座に就くと、次第に冗長になりがちだ。取り巻きが辛抱強く耳を傾けてくれるからだ。しかし、最近特に大きな反響を呼んだトランプ米大統領のツイー [FT]強権より無策憂う米国民
[FT]米、対中は「議論なき総意」 ジャナン・ガネシュ 米大統領選 北米 FT FT commentators 7月22日 猛烈な党派対立にも使いどころはある。国が分断されていても、いかなる政府案も検証・反対なしに採用されることはありえないのだ、と言い訳することもできる。検証は、真実を徹底的に追求するためではなく対立による悪意が狙いだと、より厳しくなることもある。米国はマスクを日常的に着用するかどうかが政治問題になるほど分断している。しかし分断の反対である「議論なき総意」という同等に危険な状況は避けている。 ただし、 [FT]米、対中は「議論なき総意」
[FT]米が払う覇権時代の代償 ジャナン・ガネシュ 北米 FT FT commentators 7月6日 2020年は米国にとり平時では際立って暗い年になりつつある。同時にこの国が世界で最も注目される存在であることも示された。2つの主張は矛盾するが相反しない。 最初の主張は一目瞭然だ。米国は新型コロナウイルスによる全世界の死者数の4分の1を占める。国民は不名誉にも多くの同盟国から入国を禁じられている。失業率は数十年ぶりの高さだ。ジョージ・フロイドさんの白人警官による暴行死で人種問題の根深さがあらわに [FT]米が払う覇権時代の代償
[FT]トランプ氏、最悪の1週間 トランプ政権 米中衝突 ジャナン・ガネシュ 北米 FT FT commentators 6月10日 自分のことを棚に上げて他人への批判をツイッターに投稿するリーダーや政府関係者が後を絶たない。イランの最高指導者ハメネイ師を自称するアカウントは米国で抑圧されている人々を気遣い、トルコのエルドアン大統領は「不公平な規律」によって奪われた米国民の命に哀悼の意を表した。香港国家安全法制定に反対する米国務省報道官のツイートに対し、中国外務省の華春瑩報道局長は白人警官に首を押さえ付けられた黒人男性ジョージ [FT]トランプ氏、最悪の1週間
[FT]コロナ危機で露呈、無極化した世界 ジャナン・ガネシュ FT FT commentators 4月10日 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的流行)を巡る地政学的な勝者がどこの国かを決めるのは悪趣味というものだろう。救いは、勝者に値する国など存在しない点だ。 最近、何か行動を起こしたり、何かを成し遂げて尊敬を勝ち得たりした大国は見当たらない。米国からは今回の危機に対し、「ブレトンウッズ体制」や「砂漠の嵐作戦(編集注、1991年の湾岸戦争で集中的な空爆により短期間で停戦に持ち込んだ、米国が策定した [FT]コロナ危機で露呈、無極化した世界
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チーフ・USポリティカル・コメンテーター
チーフ・USポリティカル・コメンテーター
Janan Ganesh 英国生まれ。英誌エコノミストで政治担当記者を5年した後、FTに。主に英政治に関するコラムを執筆してきたが、2018年6月に米ワシントンに移り、米政治についての論評を毎週担当。著書に英元財務大臣ジョージ・オズボーンについて著した「The Austerity Chancellor」などがある。
Janan Ganesh 英国生まれ。英誌エコノミストで政治担当記者を5年した後、FTに。主に英政治に関するコラムを執筆してきたが、2018年6月に米ワシントンに移り、米政治についての論評を毎週担当。著書に英元財務大臣ジョージ・オズボーンについて著した「The Austerity Chancellor」などがある。