[FT]保護主義、西側の敗北招く 中ロと同じ土俵でよいか ジャナン・ガネシュ ヨーロッパ 北米 FT FT commentators 2月1日 ここ数十年間、ドイツがロシア産の天然ガスを受け入れてきたことは二重の悲劇となった。1つ目は、ロシア政府が欧州に対して優位に立ち、影響力を行使できるようになったことだ。 さらに、西側諸国で保護主義への支持を高めるきっかけをもたらした。戦略的な産業を自由貿易に任せているからこのようなことになる、というわけだ。 最初の悲劇は解決可能だ。ロシアの化石燃料は代替できる。だが、2つ目の悲劇は変えられない。ロ [FT]保護主義、西側の敗北招く 中ロと同じ土俵でよいか
[FT]攻めに転じたバイデン氏 米国の分断認め共和党批判 ジャナン・ガネシュ FT FT commentators 9月16日 年を重ねれば体は弱るが、口は達者になる。バイデン米大統領はこの両方を証明している。11月に80歳を迎えるにふさわしくみえる彼は、高齢者にありがちな歯に衣(きぬ)着せぬ物言いをするようになった。 バイデン氏は、トランプ前大統領の主張は「ファシズムと呼べるようなものだ」と非難し、共和党の大半は今や「米国の根幹」への脅威だと糾弾した。かつては党派を超えた友好を重視し、意見が激しく二分するような事態を招 [FT]攻めに転じたバイデン氏 米国の分断認め共和党批判
[FT]独裁国家の間にくさびを 米、勝利へ弱みにつけ込め ジャナン・ガネシュ Think! 北米 FT FT commentators 8月31日 冷戦中の中ソ対立の一番よかったことは、西側諸国の冷戦勝利に寄与したことだ。二番目によかったことは、共産主義国家の「同志」討ちにつながったことだ。中国と旧ソ連の間では、マルクス・レーニン主義の著書の解釈について学術的な論争があった。 事実かどうか分からないが、本当であってほしい逸話もある。官吏の息子の周恩来首相が肉体労働者の息子のフルシチョフ首相から上流階級だと揶揄(やゆ)された時、周氏は「お互い [FT]独裁国家の間にくさびを 米、勝利へ弱みにつけ込め
[FT]ポピュリズム強まる逆風 独裁者の失敗、侵攻で露呈 ジャナン・ガネシュ ウクライナ侵攻 Think! FT FT commentators 3月18日 2012年の米大統領選討論会でオバマ大統領(当時)が、共和党候補のロムニー氏が地政学上注視すべきはアルカイダではなくロシアだとしたことを「そんな古い見方をしていたら1980年代の亡霊が現れて、それは私たちの政策だと言われますよ」と皮肉った。そのオバマ氏の冗談は、冷戦終結から20年以上たっていた当時ですらあまりに古い冗談とみられた。 だが歴代英首相らも冷戦後、どうやって財をなしたか怪しげなロシア人 [FT]ポピュリズム強まる逆風 独裁者の失敗、侵攻で露呈
[FT]米英豪を「英語圏」とくくるな 価値観に違い ジャナン・ガネシュ Think! FT 南西ア・オセアニア ヨーロッパ 北米 FT commentators 1月26日 筆者のように米国に住む英国人は今、隣人や友人、タクシーの運転手にすら説明を求められる。退廃的だったことで知られる古代ローマ皇帝カリグラならいざ知らず、自分の職場で開催されたパーティーに出席したことで現職の英国の首相が辞任に追い込まれそうになっているのはなぜか、と聞かれるのだ。 米国の人が当惑しているのは英国人より倫理基準が低いからではない。 新型コロナウイルス禍の中、2020年の大半を通して英国 [FT]米英豪を「英語圏」とくくるな 価値観に違い
[FT]中国台頭、米の責任ではない 再浮上は必然 ジャナン・ガネシュ FT FT commentators 12月31日 読者はこんなニュースは何度も見聞きしているだろう。大切な人を失った人物が、その命を奪った病気か犯罪、公共の危険に対して大儀を掲げて戦いに乗り出す。するとキャンペーンが立ち上がり、寄付金が集まる――。 彼らを突き動かすのは、ほかの人が同じ悲しみを味わうことのないようにという純粋な願いだ。だがその根底には、自らが物事を決める力を取り戻したいという心理的要求もある。人のことなど知らん顔という世界でも、 [FT]中国台頭、米の責任ではない 再浮上は必然
[FT]風化していく大戦の記憶 切れる平和の「賞味期限」 ジャナン・ガネシュ FT commentators ヨーロッパ 北米 FT 12月15日 その写真が今の時代を象徴するようにみえるのは、写っている銃より、そろった満面の笑みにある。米国のマッシー下院議員は5日、家族7人がクリスマスツリーの前で自動小銃などの武器を抱えて撮った写真に「サンタさん、(編集注、プレゼントに)弾薬を」との言葉を添えてツイッターに投稿した。 ミシガン州の高校で生徒が殺害される銃撃事件からわずか数日後だったこともあり、コメント欄は悪趣味で不謹慎だという批判であふれ [FT]風化していく大戦の記憶 切れる平和の「賞味期限」
[FT]米の対中観、政・財界でズレ ジャナン・ガネシュ FT FT commentators 10月29日 米国の最近の経済界のニュースを見ると、数年前のことを考えるきっかけになりそうだ。 世界最大の米資産運用会社ブラックロックの調査担当者らは投資家に中国のエクスポージャー(投資残高)を3倍に増やすよう助言している。ゴールドマン・サックスは17日、中国で投資銀行業務を手掛ける現地合弁を完全子会社化する認可を中国当局から得たと発表した。アップルは中国政府が不快感を示したため、少なくとも「当面」として中国 [FT]米の対中観、政・財界でズレ
[FT]仏排除、欧州の自立促すか ジャナン・ガネシュ Think! FT ヨーロッパ 北米 FT commentators 9月27日 フランスの外交姿勢は時に冷徹で、視野が狭く、排外的でありながら、的を射ている。欧州連合(EU)の前身である経済共同体への英国の加盟をドゴール元大統領が拒否したことは、現在の状況を先読みするような行為だった。イラク戦争への反対は、もっと短期間で正解だったとわかった。アフガニスタンの首都カブールが陥落する前から状況を見通し、現地の自国民や関係者に警告を出すのも早かった。 米国が英国、オーストラリアと [FT]仏排除、欧州の自立促すか
[FT]米、中国は「望ましい敵」 ジャナン・ガネシュ 北米 FT FT commentators 7月7日 米ワシントンで最も抜け目なくロビー活動を展開しているのはペンタゴン(国防総省)だろう。なので、米軍が机上演習で中国に何度も大敗したとする報道は、話を少しどころか大いに盛っているとみるべきだ。戦争での赤裸々な敗北を示す数々のシミュレーションは、いずれも予算の増額が必要だと訴えているのだ。 ただ、こうした補足説明を念頭に置いたとしても、懸念すべき点は少なくない。太平洋を舞台に戦争が勃発した場合、米軍 [FT]米、中国は「望ましい敵」
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インターナショナル・ポリティックス・コメンテーター
インターナショナル・ポリティックス・コメンテーター
Janan Ganesh 英国生まれ。英誌エコノミストで政治担当記者を5年した後、FTに。主に英政治に関するコラムを執筆してきたが、2018年6月に米ワシントンに移り、米政治についての論評を毎週担当。著書に英元財務大臣ジョージ・オズボーンについて著した「The Austerity Chancellor」などがある。
Janan Ganesh 英国生まれ。英誌エコノミストで政治担当記者を5年した後、FTに。主に英政治に関するコラムを執筆してきたが、2018年6月に米ワシントンに移り、米政治についての論評を毎週担当。著書に英元財務大臣ジョージ・オズボーンについて著した「The Austerity Chancellor」などがある。