変化 劇作家 平田オリザ エッセー 11月21日 世間では、本当にいろいろなことが次々に起こるので、つい1カ月前のことでも忘れてしまっている。 10月末から、この11月にかけて、起こらないと思っていたことが起こり、なくならないと思っていたものがなくなった。 オリンピックのマラソン、競歩の会場が東京から札幌に移った。来年から行われるはずの共通テストへの民間英語試験の導入が延期となった。そして、「桜を見る会」も、とりあえず来年は中止となった。 あく 変化 劇作家 平田オリザ
悔しさをバネに 幸田真音 エッセー 11月20日 先週末は、「将棋日本シリーズJTプロ公式戦」の決勝戦前夜祭に行き、話題のプロ棋士たちとお会いしてきた。 JT杯は、日本将棋連盟と地方新聞各社の主催、JT(日本たばこ産業)協賛で毎年開催される公式戦。その年のタイトル保持者や賞金ランキング上位の棋士12名が対局するが、今年で40回目を迎えた。 大盛況の会場では、日本将棋連盟会長の佐藤康光九段や、森内俊之九段とも久しぶりにお会いしたが、そのとき加藤桃 悔しさをバネに 幸田真音
消えゆく道産子 動物学者 今泉忠明 エッセー 11月15日 富士山吉田口五合目あたりに観光用のウマが10頭前後いるのに気付いた。この中に道産子が混ざっていると聞いた。道産子は在来馬の一つ、北海道和種である。30年近く前、ある出版社から道産子の記事を頼まれ、北海道へ出かけて行ったのを思い出した。十勝農協連で帯広の南、湧洞沼(ゆうどうぬま)の畔(ほとり)に広がる牧場を紹介され、そこに放牧されていた道産子を取材したのである。 道産子のルーツは一般的には明治時代 消えゆく道産子 動物学者 今泉忠明
演劇教育 劇作家 平田オリザ エッセー 11月15日 この秋はほぼ毎週、どこかの小学校で演劇の授業を行っている。北海道から九州まで、本当に各地に呼んでいただいて子供たちと実際に演劇を創る授業をする。 ここ数年、年間20校ほどは回ってきたが、今年はさらに、これが加速している感がある。コミュニケーション教育への関心の高まりを肌で感じる。 ちなみに多くの先進国では、少なくとも高校の選択必修に「演劇」が入っている。日本では「音楽・美術・書道(時に工芸)」が 演劇教育 劇作家 平田オリザ
酉の市に祈る 幸田真音 エッセー 11月13日 十一月の酉(とり)の日には「お酉さま」に行き、縁起物の熊手をいただくようになって、もうどのぐらいになるだろうか。 いまの住まいに引っ越したとき、仕事で前を通りかかり、思い立って行ってみたのが最初だったので、かれこれ16、7年ほどは欠かさず通っているはずだ。 暮れなずむ都会の片隅が、そこだけ別の時代にワープしたような心浮き立つ年中行事。参拝客で大混雑の境内の一角には、通路の両脇に熊手屋がずらりと軒 酉の市に祈る 幸田真音
大黒島のオオセグロカモメ 動物学者 今泉忠明 エッセー 11月8日 40年ほど前、北海道大学の動物行動学の先生から厚岸沖の大黒島でオオセグロカモメを観察することを聞いた。同行の許可をもらいカモメの繁殖期の6月に大黒島へ渡った。島は南北に細長く、北にコンブ漁の番屋が並び、南の標高105メートルの最高地点に灯台があった。カモメはその下に広がる急斜面に集団で営巣していたから、毎日超望遠レンズを担いで番屋から通った。 カモメで興味深いのは親子のコミュニケーションである。 大黒島のオオセグロカモメ 動物学者 今泉忠明
渋谷 劇作家 平田オリザ エッセー 11月7日 今年のハロウィンは、昨年ほどの大きな混乱はなく終わったようだ。 私は東京の駒場という町で生まれ育った。駒場は渋谷から歩いて10分ほどのところにあり、子供のころから私には渋谷が遊び場だった。いまでこそ修学旅行生が自由行動で必ず立ち寄る街、若者のあこがれの街となっているが、渋谷は元来、ごちゃごちゃとした小さな街だった。「渋い谷」という名前の通り、道玄坂と宮益坂に挟まれた谷底の町なのだ。 かつては国木 渋谷 劇作家 平田オリザ
One for all,All for one! 作家 幸田真音 エッセー 11月6日 まさに「にわかファン」の一人なのだが、今年の秋はなんといってもラグビーW杯。そして先週金曜日、ついにニュージーランド対ウェールズによる3位決定戦を観に、東京スタジアムに行ってきた。 なにせ5万人近くが集まるのだ。ラッシュアワー並みの電車内はもちろん、最寄り駅から会場に向かう道路の混雑には物凄(すご)いものがあった。OBなのか応援団なのか、縦にも横にもケタ違いに体格の良い外国人の集団に囲まれ、まる One for all,All for one! 作家 幸田真音
ラグビー「ケルト民族と日本」 芸術文明史家 鶴岡真弓 エッセー 11月5日 9月28日静岡。ラグビーW杯、対アイルランド戦は、「桜」を胸に飾った日本チームが逆転勝利。緑の巨人を倒したジャイアント・キリングだった。 ラグビーの起源のイングランド、アングロサクソンが上位なのは当然としても、世界ランキング・トップ組にアイルランド、スコットランド、ウェールズという「ケルト民族」が、常にいる。祖先は中世以来イングランド、アングロサクソン系に支配されてきた人々で、米国大統領ケネディ ラグビー「ケルト民族と日本」 芸術文明史家 鶴岡真弓
サロベツ原野の小動物たち 動物学者 今泉忠明 エッセー 11月1日 世界最小の哺乳類の一つ、トウキョウトガリネズミを北海道北部のサロベツ原野で捕獲したことがある。そこに体長4.5センチ、体重2グラムほどの小獣が棲息(せいそく)していることを聞いたのは、国立科学博物館の日高山脈調査の折で、昆虫の先生がサロベツで仕掛けたオサムシ用のワナに稀(まれ)にかかると言ったのである。以来15年ほど、私は数年おきに、時には毎月のようにサロベツへ出かけた。 サロベツ原野は広大な湿 サロベツ原野の小動物たち 動物学者 今泉忠明