やがて訪れる中国の衰退と混乱 ジャック・アタリ氏 習政権 米中衝突 中沢 克二 Think! 中国・台湾 編集委員 3月29日 中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席はロシアのウクライナ侵攻に対する仲裁案を提示した。自国が直接関与しない国際的な政治問題に中国が口出しするのは異例で、中国の懸念の表れだろう。中国にとって今回の事態は自国の中期的な利益を自問する機会となった。 中国は米国に世界のリーダーと主張するため「弱いロシア」を望んでいるかもしれない。豊富な天然資源が眠るシベリア全土を掌握するためにロシアの崩壊を願っている やがて訪れる中国の衰退と混乱 ジャック・アタリ氏
日英伊連携、アジアに安定を グリエルモ・マビリア氏 小林 明 自動車・機械 ヨーロッパ 編集委員 3月22日 昨年12月、日英イタリア政府が次期戦闘機を共同開発すると発表した。3カ国がグローバル戦闘航空プログラム(GCAP)を発足させ、2035年を目標に日本の主力戦闘機F2、英伊の主力戦闘機ユーロファイターの後継機を共同開発しようという計画だ。 日本の次期戦闘機構想と英伊が取り組んでいた戦闘機テンペストの開発計画を統合する形で開発作業を進める。日本から三菱重工業、IHI、三菱電機、英国からBAEシステム 日英伊連携、アジアに安定を グリエルモ・マビリア氏
難路続くロシア事業の撤退 サイモン・エベネット氏/ニッコロ・ピサニ氏 坂井 光 ウクライナ侵攻 編集委員 3月15日 ロシアによるウクライナ侵攻は世界中の企業の役員室に波紋を広げている。もはや平和と地政学的安定の継続を前提にできなくなり、多くの企業の国際戦略を支えてきた柱に亀裂が入り始めている。国家安全保障担当の高官が影響力を強める西側政府は、国内企業に対し権威主義政権からのデカップリング(切り離し)を求めている。 ロシアによる戦争は(1989年の)ベルリンの壁崩壊以降深まってきた国際的な絆を解消する動きに、企 難路続くロシア事業の撤退 サイモン・エベネット氏/ニッコロ・ピサニ氏
世界経済に望ましい「弱いドル」 ジーン・フリーダ氏 小栗 太 編集委員 3月8日 投資家は通常、米連邦準備理事会(FRB)を中心にしたレンズを通して為替相場を見ている。昨年はFRBの積極的な利上げがドルに有利に働いたが、ドルの25%もの上昇は、主にインフレや地政学的ショックに起因するものだった。このため、インフレと、ロシアによるウクライナ侵攻による軍事衝突が際限なく拡大する懸念とが和らぐにつれ、ドルは下落に転じ、新興国経済は一息つき、他の中央銀行に対する金融引き締め圧力も弱ま 世界経済に望ましい「弱いドル」 ジーン・フリーダ氏
地球規模の危機、日欧で協力を シグネ・ラッツォ氏 カーボンゼロ 3月1日 気候変動、生物多様性の喪失、ルールにのっとった国際秩序への新たな脅威、エネルギー安全保障への脅威、健康危機など地球規模の課題が山積している。研究とイノベーションはその解決に大きな役割を果たす。 多くの国や地域が共通の課題を抱えている。単独での解決は難しく、国際的なパートナーシップによる取り組みの重要性が高まった。同じ分野に重複投資するよりも分担した方が効率もよい。 だからこそ、欧州連合(EU)が 地球規模の危機、日欧で協力を シグネ・ラッツォ氏
ならず者ロシア、イラン化の道 イアン・ブレマー氏 池田 元博 ウクライナ侵攻1年 編集委員 2月22日 英政府高官は1月、郵便事業を担う機関への大規模なサイバー攻撃を明らかにした。ロシア政府から許可を得た同国のハッカー集団の仕業だとの見方をすぐに示した。2月上旬には英デリバティブ(金融派生商品)取引の運営業者がハッキングされたほか、フランスとイタリアのサイバーセキュリティー当局が両国と米国、カナダのコンピューターシステムがランサムウエア(身代金要求型ウイルス)被害に遭ったと報告した。欧米はロシアと ならず者ロシア、イラン化の道 イアン・ブレマー氏
インド「人口世界一」の光と影 ゴータム・クムラ氏 高橋 徹 南西ア・オセアニア 編集委員 2月15日 国連の推計によればインドの人口は今年中に中国を追い抜く。これはプラスとマイナスの両面で、かなり深い意味を持っている。 中国の平均年齢が38歳程度なのに対し、インドは28歳前後と若い。労働人口は2075年ごろまで増え続け、人口ボーナスを非常に長期間にわたり享受できる。ただし経済の持続的発展を考えれば、人口増は課題でもある。今後10年間で約9千万人の雇用創出が求められ、そのためには国内総生産(GDP インド「人口世界一」の光と影 ゴータム・クムラ氏
米中ハイテク戦争、劣勢の米国 スティーブン・ローチ氏 米中衝突 太田 泰彦 半導体 編集委員 2月8日 米中対立におけるハイテク分野は「グラウンド・ゼロ(爆心地)」だ。2つの超大国のハイテク戦争は、21世紀を決定づける闘争になる可能性がある。 華為技術(ファーウェイ)はたちまち、この闘争の避雷針になった。米通信インフラへの究極の脅威として恐れられる同社は、現代版「トロイの木馬」とされ、高速通信規格「5G」を裏口から攻撃する可能性を指摘されていた。裏口の疑惑とは無関係なスパイ容疑や、創業者のはるか昔 米中ハイテク戦争、劣勢の米国 スティーブン・ローチ氏
次世代に「新しい資本主義」を フランツ・ホイカンプ氏 下田 敏 編集委員 2月1日 世界経済は資本主義やそのシステムの特性を重視しながら、いくつかの異なる波を乗り越えてきた。今日、私たちが向き合っているのはステークホルダー資本主義という考え方だ。企業にとって株主は大切だが、それ以外の(取引先や顧客、従業員、社会などの)ステークホルダーについても考慮する必要がある。株主以外でも企業がどんな行動を取っているのかに関心を持つ人は実は多い。 10〜20年前に比べるとマーケットに対して懐 次世代に「新しい資本主義」を フランツ・ホイカンプ氏
習近平氏一極、中国にもたらす災禍 イアン・ブレマー氏 中沢 克二 新型コロナ 中国ゼロコロナ 編集委員 1月25日 中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は2022年10月の第20回共産党大会を経て、与党・共産党、ひいては国全体への支配を強め、毛沢東以来で最も強力な指導者となった。習氏が集権化に向けて動き出した10年前に比べ、内部の抵抗はさらに弱まった。 その結果、10億人を超える国民の生活を左右することも可能になり、絶大な権限を手中にした。世界経済の安定と地政学的な権力均衡への中国の重要性は毛沢東時代より格 習近平氏一極、中国にもたらす災禍 イアン・ブレマー氏