堤清二=辻井喬展、文化創出に懸けた人生たどる 文化往来 11月13日 セゾングループの元代表で、詩人・小説家としては辻井喬の筆名を用いた堤清二(1927~2013年)の足跡を振り返る「闘争そしてあるいは叙情」展が、長野県軽井沢町のセゾン現代美術館で開かれている(25日まで)。 「堤清二/辻井喬 オマージュ展最終章」と銘打たれた展示は、同館が14年、15年に開催してきたこのオマージュ展の第3弾。西武百貨店、パルコ、無印良品などの企業を率いながら、新たな時代の文化創出 堤清二=辻井喬展、文化創出に懸けた人生たどる
みづゑのかがやき十選(8) 古賀春江「美しき博覧会」 美の十選 7月25日 大正から昭和初期に輝く個性を展開させた古賀春江も、はじめは水彩画を描いた。病弱で鋭い感性を持った古賀は、「間の抜けた大きなものより張りつめた小さなもの」である水彩画を好んだのだ。 やがて水彩画における限界を認識し、油彩画を手がけるようになった後も、水彩画の制作は続けている。 古賀の作品は、初期にはセザンヌやキュビスム、後年にはシュルレアリスムからの影響が色濃い。その間の大正15年(1926年)か みづゑのかがやき十選(8) 古賀春江「美しき博覧会」
日本のグローカルアート十選(8) 柚木沙弥郎「切り絵」 美の十選 7月10日 大阪フィルを率いた指揮者、朝比奈隆は「巧(うま)くじゃなく、真面目に必死にやる」「遅く始めて、長くやれば帳尻は合う」と言った。 民芸運動の中心的な人物、芹沢●(かねへんに圭)介の弟子である染色家柚木沙弥郎は「民芸出身」と言われるのを嫌う。彼の年来の憧れと目標は、モダンアートの巨匠、色彩の魔術師アンリ・マチスであり、叙情的な抽象で知られる、パウル・クレーらであるからだ。 齢(よわい)百近いこの名匠 日本のグローカルアート十選(8) 柚木沙弥郎「切り絵」
日本のグローカルアート十選(3) 亀山全吉「ブルースカイ」 美の十選 7月3日 筆者の故郷は尾道だが、世に流布した観光地のイメージと実態にはズレがある。故郷出奔者には、銘々の身体の記憶にしみ込んだ「幻のふるさと」がある。 そんなふるさとを一人ただぼーっと歩いて、彷徨(さまよ)って、自分の身体で呼吸した町を描いた、全吉さんがいた。下手ウマのなぐり描きにみえるが、清々(すがすが)しい逸品だ。抽象とも具象とも言える。 林芙美子の「放浪記」や志賀直哉の「暗夜行路」、小津安二郎や大林 日本のグローカルアート十選(3) 亀山全吉「ブルースカイ」
石原邦夫(4)東大に現役合格 石原邦夫 私の履歴書 1月5日 この原稿を執筆するため、子どものころの文章を探していて、小学校3年生のときに書いた作文を見つけた。そこには「おぼんなのにおはかまいりもしないので、しんだおねえさんが、さびしいことでしょう」とあった。 「おねえさん」とは、早世した姉の「耀子」のことだ。私が旧満州(現中国東北部)で生まれる前、5歳にならないうちに亡くなっており、私は生まれた時から一人っ子だった。墓があるのは両親の故郷の水戸。東京に住 石原邦夫(4)東大に現役合格
コラージュの挑発(4) クレー「モスクのあるハマメット」 美の十選 4月13日 スイス生まれの画家パウル・クレーは、実は生涯にわたって、いったん完成されたと思われた200以上の作品を、鋏(はさみ)やナイフで切り取っていた。下手をすれば自分の作品を台無しにしかねない行為だが、クレーは分割してできた断片を元の構図とは異なるように再構成して「切断コラージュ」を制作したのだ。 さて、この作品は一体どこがコラージュなのだろうか。上端の細い帯状の部分を見てほしい。クレーは、1914年4 コラージュの挑発(4) クレー「モスクのあるハマメット」
ウェーベルンの現代音楽弾く ピアニスト・瀬川裕美子 3月25日 ピアニストの瀬川裕美子さんが現代音楽の始祖ウェーベルンの作品を弾き続けている。2月に出した最新CDにも唯一の作品番号付きピアノ曲「変奏曲」を収録した。十二音技法で従来の調性感を無くしたわずか6分の前衛作品にこだわる理由を弾き語る。 透き通った静かな空間にくっきりと、ピアノの音色がまばらに浮かび上がる。1音目はファとミの二重音、次が単音のシ、続いて半音高いファとソの二重音、さらに半音高いド。こんな ウェーベルンの現代音楽弾く ピアニスト・瀬川裕美子
「パウル・クレー展」入場者10万人突破 7月24日 東京・竹橋の東京国立近代美術館で開催されている「パウル・クレー―おわらないアトリエ」展(日本経済新聞社など主催)の入場者数が24日、10万人を超えた。10万人目となったのは東京都 「パウル・クレー展」入場者10万人突破
パウル・クレーのバーチャル美術館へようこそ 6月19日 「音楽を絵にした」と一口にいっても、クレーの取り組みは実に多彩だ。オペラなどに想を得た作品の制作はもとより、複数のメロディーの組み合わせ、リズム、音の調和など音楽を形作る様々な要素や、五線譜や音符などの記号を絵画のための素材として、新しい表現を次々に生み出した。それは、バイオリニストとしての実践的な音楽経験にのっとり、美術学校の教師として音楽と美術の関係を探究したゆえの成果だった。 東京国立近代 パウル・クレーのバーチャル美術館へようこそ