マルチスピード経済の罠 コロナ後にちらつく危機の芽 梶原 誠 Deep Insight 本社コメンテーター 12月12日 新型コロナ向けのワクチン実用化を機に、世界同時株高が進む。こんなときこそ細部に目をこらさないと落とし穴に気付かない。 低迷していた日産自動車の株価が急騰している。11月以降の上昇率は51%と日経平均株価の16%を大きく上回る。何が起きたのか。 野村証券が見逃せない裏付け調査をしていた。携帯電話の全地球測位システム(GPS)情報を用いて人の流れを追うと、九州の日産工場内の人員が11月に大幅に増加し マルチスピード経済の罠 コロナ後にちらつく危機の芽
新しい社会契約を描くとき 公益重視、企業が歩む難路 逆境の資本主義 12月4日更新 「株主利益の最大化につながらない行動をとる場合がある」。投資家向けの書類で「株主よりも公益」と異例の宣言をした企業が7月、米株式市場に上場した。環境配慮型の養鶏所を運営する米食品会社、バイタル・ファームズだ。 設備投資や買収提案を判断する際、短期的な株主利益だけではなく協力する農家や従業員の立場も考えると具体的な事例を挙げた。こんな経営方針が投資家の共感を呼び、バイタルは上場時に2億ドル(約21 新しい社会契約を描くとき 公益重視、企業が歩む難路
サマーズ氏、バイデン氏の増税策を擁護 米大統領選ドキュメント 11月6日 元米財務長官のローレンス・サマーズ米ハーバード大教授は5日、エコノミック・クラブのオンラインイベントに登壇し「バイデン氏が増税の対象にしているのは年収40万ドル(約4100万円)以上の高所得者だ。法人税の引き上げも非常にマイルドなものになる。懸念すべき材料ではない」と述べました。共和党は、バイデン氏の政策が国民を苦しませると糾弾していますが、その説を一蹴しました。 サマー サマーズ氏、バイデン氏の増税策を擁護
異次元債務に市場沈黙 カネ余りが促す大衆迎合 パクスなき世界 経済 10月27日 何を物差しに、政府の政策が適切かどうかを判断しますか――。 「小切手1枚では足りない」。米ニューヨークで9月、失業した若者らが所得保障を政府に求めた。米国は新型コロナウイルス対策で1人に最大1200ドル(約13万円)を配った。仮に同額を12カ月配ると、過去最大だった2020会計年度の財政赤字(330兆円)と同規模の財源が要る。 危機に救いを求める声が政府の借金を異次元の領域に押し上げる。国際通貨 異次元債務に市場沈黙 カネ余りが促す大衆迎合
コロナ後の世界、デフレかインフレか? 小竹 洋之 新型コロナ Global Economics Trends 6月21日 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な流行)は、人的のみならず経済的にも甚大な被害をもたらした。このまま収束したとしても、2020年の世界の実質成長率は経済協力開発機構(OECD)の予測でマイナス6.0%、世界銀行の予測ではマイナス5.2%に沈む見通しだ。 今回の不況は08年のリーマン・ショック後より深刻で、1929年からの大恐慌に匹敵するといわれる。コロナ後の世界はもっぱら「デフレ圧力との コロナ後の世界、デフレかインフレか?
米最長景気、コロナで終幕 回復の道筋、前例なし 新型コロナ 北米 6月11日更新 10年8カ月に及んだ米景気最長の拡大局面は、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)という過去に例をみない災厄が降りかかり、突然終わりを迎えた。戦後12回目の後退局面に入り、米当局はコロナ禍がもたらす危機を克服すべく、財政・金融両面で政策を総動員する。代償として国や企業の債務は一段と膨張する。今後も前例のない回復シナリオづくりが迫られる。 米国の景気循環を判定する全米経済研究所(NBER 米最長景気、コロナで終幕 回復の道筋、前例なし
経済の危機、必要な対応は 時論・創論・複眼 4月16日 新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に深刻な打撃を与えている。各国は懸命に大規模な財政出動や流動性供給で対応するが、状況判断と処方箋は正しいのか。そして危機後の世界はどうなるのか。元政策当局者や経済学者に分析してもらい、危機下の経済と政策対応のあり方を考える。 ◇ ◇ ◇ ■国際協調の機運高めよ 元財務官 篠原尚之氏 2008年のリーマン・ショックは金融機関の不良資産の増加が相互不信をもたらし、お 経済の危機、必要な対応は
金融・財政政策の連携強化を 異次元緩和、8年目へ 経済教室 3月26日 マクロ経済政策には、完全雇用および物価の低水準での安定を維持する役割がある。従来の枠組みでは、金融政策と財政政策を厳格に分離し、マクロ経済の安定化は政府から独立した中央銀行に主に委ねられていた。 金融・財政政策の連携強化を 異次元緩和、8年目へ
地方と都市、米国を分かつ憂鬱な格差 米大統領選 小竹 洋之 Global Economics Trends 編集委員 3月8日 11月3日の米大統領選に向けた攻防がいよいよ佳境に入る。再選を目指す共和党のトランプ大統領と、政権奪還をもくろむ民主党の大統領候補が、最後まで接戦を演じるのは確実だ。 それは貧しい地方部と豊かな都市部の戦いともいえる。「オールド・エコノミー」を代表する中西部や南部などの住民は共和党カラーの「赤」、「ニュー・エコノミー」を代表する西海岸や東海岸などの住民は民主党カラーの「青」に染まり、互いに交わる 地方と都市、米国を分かつ憂鬱な格差
格差是正、停滞脱出のカギ 経済教室 コラム(経済・金融) 2月13日 現在の経済政策の課題を「バランスシートの資産と負債の不均衡(=過剰債務)の調整」という観点から展望する。経済学の理論モデルでは「政府のバランスシートは、常に均衡する」という暗黙の仮定を置くことが多い。 格差是正、停滞脱出のカギ