熱狂の軌跡、証言で回顧(書評) 関西タイムライン 大阪 関西 8月28日 約50年前、ザ・フォーク・クルセダーズをはじめ個性的なミュージシャンが活躍した「関西フォーク」シーンを起点に生まれた日本初の本格的なインディーズ(独立系)レーベル「URCレコード」。わずか数年の活動で数多の名盤を送り出した歩みを振り返る一冊。 URC=アングラ・レコード・クラブは大手レコード会社が扱わない強烈な反戦・プロテストソングを歌う岡林信康や高田渡らの初期作品から出発し、音楽性を広げながら 熱狂の軌跡、証言で回顧(書評)
スタァミナ~ 前野健太 プロムナード エッセー 12月27日 「スタァミナ~」 東京に出てきて、初めて一人暮らしをした20歳の頃。 その声を聞くと元気になれる気がした。 渋谷にも新宿にもすぐに出られる便利な駅の近くのアパートに住んでいた。 ただ、風呂がない。 銭湯に通い、銭湯が休みの日はコインシャワーに行った。100円入れると1分間シャワーが出る。最初の100円で体を全部濡らし、次の100円を入れるまでに体をごしごし洗う。 200円で済むのはありがたかった スタァミナ~ 前野健太
美しい村 前野健太 プロムナード エッセー 12月20日 ラジオ収録の帰りに、虎ノ門の喫茶店に行くのを楽しみにしている。 ラジオ局は東京タワーの麓にあり、そこから虎ノ門へ寄って新宿方面に帰るのは遠回りなのだが、店主が淹(い)れてくれるコーヒーで仕事の頭をリセットし、ぼーっとするのがとても大切な時間になっている。 私は詳しくないが、店主はグレン・グールドが好きなのか。グールドのピアノの音がスピーカーから静かに降ってくる。 その静かな時間を求めて過日、私は 美しい村 前野健太
否、走りつづける血 前野健太 プロムナード エッセー 12月13日 〈焦らない、闘わない、無理しない、恋したい……〉 このフレーズを目にしたとき、久しぶりに、うわーやられた、と思った。 ホン・サンス監督の「夜の浜辺でひとり」という映画の紹介文の冒頭にあった言葉だ。〈現代女性の心の機微を描いた傑作。〉と結ばれていた。うむ、すごい。 バーなんかで真夜中、一人でウイスキーを飲んでいる女の人をこの秋よく見かけた。以前よりも増えた気がする。まあ自分がバーなんぞに通うように 否、走りつづける血 前野健太
いざ赤坂! 前野健太 プロムナード エッセー 12月6日 先日、このプロムナード欄に「100メートルに100軒の喫茶店」というエッセーを書いた。 群馬の赤城という駅の近くにある喫茶店のママから得た情報で、昔群馬の赤坂という駅に喫茶店の学校があり、その周辺には喫茶店がわんさかあふれていたそうだ。その伝聞を記した。 ママは確かに「100軒」と言った。そんなすごいところ日本中探してもなかなかないだろう。その時ママは、今はもう数が減っちゃったけどね、と話してい いざ赤坂! 前野健太
歌の土産 前野健太 プロムナード エッセー 11月29日 徳島に着いて、ライブ会場の周辺をぶらついた。さっそく喫茶店を見つけた。びざん、という名の店だった。 店内はモダンだ。広い。窓ガラスの向こうに小さな中庭がある。メニューを見る。ん? ウイスキーコーヒー? ブランデーコーヒーなら飲んだことがあるが、ウイスキーとは。すいません、ウイスキーコーヒーってどのくらいウイスキーが入ってるんですか。そんなに入っていませんよ。酔いますか? いやそんなに入れてません 歌の土産 前野健太
加速する海沿い 前野健太 プロムナード エッセー 11月22日 スーパーで刺し身を買ってホテルで食べる。実はこれが安く、しかもウマい刺し身にありつけるコツなんです。 東京のバーで隣り合わせた人からそんなことを聞いた。来週から四国に行くんです、と言う私に、スーツを着たナイスガイの男性が教えてくれた。よく四国に出張するらしい。松山にフジという地場のスーパーがあるのでそこで買ってみてください。そんなこと言われたら買うしかないじゃないか。 残念ながら宿泊先のそばにフ 加速する海沿い 前野健太
舞台 前野健太 プロムナード エッセー 11月15日 愛媛のライブ会場は、どうごやという旅館だった。松山の道後温泉である。20歳の頃、寝袋の旅で訪れた時は温泉には入らなかった。興味がなかったわけではないけれど、どこか遠慮があったというか、勝手がよくわからなかったのかもしれない。 リハーサル時、外に夕焼け空が広がり、ちあきなおみの「夕焼け」という歌を思い出した。昔の空はもっと赤かった。そんなフレーズがぴったりの懐かしい赤さ。周囲のホテルや飲食店にも明 舞台 前野健太
月の砂漠に 前野健太 プロムナード エッセー 11月8日 念願の高知競馬場に行くことができた。 高知でライブをしたのが土曜の夜。その翌日のことだ。本来、ライブツアーは日曜が稼ぎ時。お客さんが集まりやすい日というべきか。なのにその日をオフにして競馬参戦を決めた。 それには理由がある。地方競馬場はチャンスのある時に行っておかないと、なくなってしまいかねないからだ。それでレコード会社とプロモーターに無理を言って土、月、火曜がライブで、日曜はオフという無茶(む 月の砂漠に 前野健太
甘酒の夜 前野健太 プロムナード エッセー 11月1日 いま、四国3県を弾き語りで回っている。 高知、愛媛、徳島。どの県もはじめてのライブだが、来たことはあった。記憶はかすんでいるが、断片はなんとなく覚えていて、ひとつ思い出すとまたひとつ、シーンが呼び起こされる。 へんな旅だった。 ボブ・ディランになる旅。20歳ぐらいの頃、勝手にそんな名前をつけて旅に出た。チェック柄の布製のギターケースにアコギを入れて。どのギターだったか、もう思い出せない。 青春1 甘酒の夜 前野健太