小宮山宏(5)アメフト 小宮山宏 私の履歴書 11月5日 東大に入ったらやろうと決めていたことがある。アメリカンフットボールだ。戸山高校にはタッチフットボール部があり、防具をつけたユニホーム姿が格好よかった。新しいスポーツでキラキラと輝いているようにみえた。そんなささいな動機からだったが、東大合格後まもなく、入学式の前に部室を訪ね入部を志願した。気合は十分だった。 毎日、午後3時ごろから日暮れまで、駒場キャンパスの陸上競技場で練習があった。東大アメフト 小宮山宏(5)アメフト
時代超える永遠の若さと危険な魅力放つ純粋さ カバーストーリー 10月23日 三島由紀夫に「禁色(きんじき)」という長編小説がある。1951年から53年にかけて文芸誌に連載したもので、女性に裏切られてきた老作家がハンサムな同性愛者の青年と組み、女性への復讐(ふくしゅう)を企てる。ここでは作家の老醜と対比するように、青年のアポロンのような肉体の美しさが描かれる。 「三島は若さを描き、若い人のための作品を書き続けた。それが常に若い読者を呼び込み、読まれ続けてきた理由だ」。今年 時代超える永遠の若さと危険な魅力放つ純粋さ
ニャンとか続く「ねこ新聞」、夫婦でつなぐ 東京 関東 カバーストーリー 9月21日 "ねこの文学紙"月刊「ねこ新聞」が、この冬250号を迎える。1994年の創刊から四半世紀。お金もないしコネもノウハウもない。そんな中で主人が立ち上げた新聞が、ここまで続くことになるとは思いもしなかった。正直に言えば、当時の私にとって「男のロマンは女の苦しみ」でしかなかったのだが。 フルカラーの表紙を飾るのはねこの絵と詩。まず絵を決め、合う詩を探す。ねこが出てくる詩は、詩集などから探してコピーしフ ニャンとか続く「ねこ新聞」、夫婦でつなぐ
岡井隆さん 安住と闘った戦後短歌の巨人 カバーストーリー 7月11日 「どうして今の歌人は詩や俳句の新しい動きに無関心なのだろう」。岡井隆さんが語ったその言葉が、今も忘れられない。すでに80歳を超え、宮中歌会始の選者を長く務めていたが、この大歌人の知的関心はとどまるところを知らなかった。文学、哲学、自然科学と広がる膨大な読書は80代後半まで執筆が続いた数々の詩歌評論の背骨となった。結社の中に安住する停滞と、身をもって闘い続けた人だった。 斎藤茂吉や土屋文明らが主導 岡井隆さん 安住と闘った戦後短歌の巨人
学徒兵、戦争の意味問う 「新編 特攻体験と戦後」を読む 九州・沖縄 5月17日 本書は、2人の特攻体験者の対談である。 島尾敏雄氏は「死の棘(とげ)」で知られる作家だが、特攻艇「震洋」の隊長として鹿児島・奄美の加計呂麻島で終戦を迎えている。戦後、南の地で図書館長や大学の講師も務めた。吉田満氏は、沖縄特攻作戦を行い撃沈された戦艦大和の士官で、終戦直後に「戦艦大和ノ最期」を著している。戦後は、日銀の銀行マンとして国家中枢の仕事をしている。 この対談が行われたのは1977年、鹿児 学徒兵、戦争の意味問う 「新編 特攻体験と戦後」を読む
「ピノコ哀しや」芹沢俊介さん 読書 2月29日 誰もが見放すような難病やケガの治療に、無免許の天才外科医が挑む漫画『ブラック・ジャック』。手塚治虫の代表作のひとつに挙げられる作品の読み解きに挑んだ。「あっと驚く展開で読者の関心を引く奇譚(きたん)の側面より、人間の、愛の物語として捉え直した」 カギは書名にある「ピノコ」だ。若い女性患者の「畸形(きけい)嚢腫」から取り出した人間の臓器ひとそろいを使い、ブラック・ジャックが作り出した少女。舌足らず 「ピノコ哀しや」芹沢俊介さん
広瀬奈々子監督、装幀家・菊地信義の仕事を撮る 文化往来 12月28日 「夜明け」で今年デビューした広瀬奈々子監督が装幀(そうてい)家・菊地信義を追った新作ドキュメンタリー「つつんで、ひらいて」が公開中だ。五感に訴える本作りに手作業で取り組む菊地の仕事ぶりを通して、紙の本の魅力を伝える。 菊地は40年以上にわたり日本のブックデザインをリードしてきた。手がけた本は俵万智「サラダ記念日」をはじめ、大江健三郎、吉本隆明の著書など1万5千冊以上におよぶ。広瀬は2015年から 広瀬奈々子監督、装幀家・菊地信義の仕事を撮る
ミシェル・オバマ氏、半生語る 日経読書面今週の5冊 11月5日 毎週土曜日付の日本経済新聞の読書面で、評者の署名入り書評を掲載した本を紹介します。書評は日経電子版で読むことができます。 ◇ ◇ ◇ マイ・ストーリー ミシェル・オバマ著 >>日経電子版で書評を読む 「現実を直視 自問自答重ねる」 戦下の淡き光 マイケル・オンダーチェ著 >>日経電子版で書評を読む 「もろくて温かな絆を頼りに」 ミシェル・オバマ氏、半生語る 日経読書面今週の5冊
吉本隆明からはじまる 瀬尾育生著 読書 11月2日 吉本隆明が亡くなってから、7年半、待望の吉本隆明論が、瀬尾育生の手によって出された。著者がもっとも思想的な力を傾けているのは、巻頭に置かれた60頁(ページ)に及ぶ力作論文「エンテレケイアにいたる」だろう。吉本の主要な著作、文学者の戦争責任論、『言語にとって美とはなにか』、『共同幻想論』、スターリン主義批判、『心的現象論』、宗教論などが対象になっているが、ただ、それを論じているわけではない。それぞ 吉本隆明からはじまる 瀬尾育生著