誰が言ったか邪頭 舞踏家 麿赤兒 エッセー 12月10日 昨年12月23日、山下洋輔トリオ結成50周年記念コンサートが「爆裂半世紀!」と銘打って開催された。マロも「をどれ」と招集され、一も二もなく快諾。ロッド・スチュワートの「セイリング」を編曲・演奏してもらった。坂田明のサックス、小山彰太のドラム、山下洋輔のピアノだ。曲への思いと、洋輔トリオと私の50年の来し方を重ね、痺(しび)れ上がって心地よく「をどらせて」もらった。他のゲストとの邂逅(かいこう)も 誰が言ったか邪頭 舞踏家 麿赤兒
沸騰の刻 舞踏家 麿赤兒 エッセー 11月5日 新宿「風月堂」での唐十郎との電撃的な出会いにより「状況劇場」に参加した私は水を得た魚になった。とは言え、唐戯曲の分裂症的イメージの飛躍に対峙するには、私がそれまで培ってきた新劇的リアリズム演技の踏襲だけでは難しい。単に言語の肉体化ではダメだ、むしろ肉体を言語化すると言うアクロバティックな作業が必要だと、自身に課した命題として楽しんだ。それは一見奇態なシロモノだが、唐もそれを面白がった。結果良くも 沸騰の刻 舞踏家 麿赤兒
アバンギャルドな旅 舞踏家 麿赤兒 エッセー 9月24日 1962年に上京し、72年大駱駝艦旗揚げまでの10年余りのアートシーンを振り返って見る。私の中で最初に鎌首をもたげてきたのは「アバンギャルド」なる言葉だ。 大学をやめ、起こした警察沙汰で劇団を追放され、浪浪の身で新宿にあった喫茶店「風月堂」に入り浸るようになった。そこで知り合った画家のFから耳にしたのが最初だ。窓際に座りボンヤリと街路樹などを眺めている私の隣に座るのが、何故かFの日課のようになっ アバンギャルドな旅 舞踏家 麿赤兒
手のない書家 自分の言葉で豪快な作風 カバーストーリー 8月20日 私は両手がない。5歳の時、製材所の事故で失った。肘から先10センチほどの腕で筆を挟んで書くので、しばしば「両手がない書家」といわれる。 事実だから仕方ない。両手がない人が書いたという評価しかないのかと悩んだ時もあったが、手をなくした運命とその後の人生は、私しか持つことができないものだ。これを「書」で表現し続けたいと思ってきた。 始めたきっかけは中学入学を控えた春休み、遊びに行った小学校の先生の家 手のない書家 自分の言葉で豪快な作風
論理と美しさを胸に 清水博さん The STYLE 8月14日 デジタル時代に金融界で存在感を高める「理系経営者」の代表格だ。国内外で混沌とする市場環境下で、この国最大の保有契約高(顧客に約束した保険金総額)179兆円分の重責を担う。日本生命保険の清水博さんが憧れ、大切にしてきた「ステージ」とは。 ■野田秀樹さんの舞台に強い衝撃 「私にとってあの方は憧れや尊敬を超越した、そんな存在なんです」。清水さんは、野田秀樹さんの話になるととたんに目を輝かせ、身を乗り出す 論理と美しさを胸に 清水博さん
舞台芸術、日常的なものに 岡山の大森誠一さん 岡山 中国 7月10日 岡山市の文化芸術活動の拠点となる新市民会館「岡山芸術創造劇場」(仮称)に向け、舞台芸術など市民の活動を盛り上げるプロデューサーがいる。NPO法人アートファーム(岡山市)理事長の大森誠一(69)だ。「地元の人々が劇場への活動にとても協力的になった」と声を弾ませる。 新会館に向けて市の委託を受けて2017年度からプレ事業を企画、市民が主役の「わが町」シリーズを続けてきた。舞台は千日前地区と呼ばれる新 舞台芸術、日常的なものに 岡山の大森誠一さん
安藤忠雄 建築を生きる 三宅理一著 読書 2月22日 安藤忠雄の本格的な評伝であり、作品論である。もちろん、これまでにも多くの安藤に関する本が出版されているし、本人が語った自伝的な書籍もすでに刊行されている。では、何が新しいのか。それは国内外の事情に詳しい建築史家の三宅理一が、書き下ろしで執筆していることだ。 なるほど、あとがきで述べているように、そもそも世界中に存在する膨大な全作品を訪れ、未整理の資料をすべて参照することは大変である。宗教空間、「 安藤忠雄 建築を生きる 三宅理一著
池井戸潤氏と親交 葛藤や挫折を描く銀行小説から刺激 11月16日 中学時代は陸上部だった。体育会系の少年だったが、高校で演劇と出合った。 幼い頃から世話になった先輩に、演劇部に誘われました。男子が足りなかったんですよ。この部活の仲間に誘われて、初めて演劇を見ました。劇団四季の「コーラスライン」です。「ジーザス・クライスト=スーパースター」「エレファント・マン」も覚えています。舞台美術は金森馨さん。どれも美しくて、作品集『舞台装置の姿勢』は繰り返し読みました。 い 池井戸潤氏と親交 葛藤や挫折を描く銀行小説から刺激
美学校の美学は入試なし、資格なしでも出会いの場 カバーストーリー 10月29日 古本屋が集まる東京・神保町の路地裏の雑居ビル3階に美学校はある。学校といっても入学試験や資格は一切なし。1969年の開校以来、美術を学ぶ私塾として、約4000人の生徒が巣立っていった。私は第1期生として美学校に入学し、2000年からは代表を務めている。 美学校は出版社、現代思潮社の当時の社主だった石井恭二によって構想され、設立された。大学紛争が盛んな時期で、ドロップアウトした学生に美術についての 美学校の美学は入試なし、資格なしでも出会いの場
新作演劇「マダム・ボルジア」上演 宮城聡芸術総監督に聞く 静岡 4月26日 静岡県舞台芸術センター(SPAC)が5月2日から、新作演劇「マダム・ボルジア」を上演する。ヴィクトル・ユゴーの戯曲でルネサンス後期のイタリアを描いた作品だが、それを戦国時代の日本に置き換える。SPACの宮城聡芸術総監督は「恋愛感情という人間の最も美しい感情を舞台上で復権させたい」と語る。 ――ユゴーの原作は「ルクレツィア・ボルジア」。これを現代に舞台化する意義はどこにあるのでしょう。 「常に殺し 新作演劇「マダム・ボルジア」上演 宮城聡芸術総監督に聞く