春秋(2月28日) 春秋 2月28日 10年前、東欧から京都に滞在し伝統芸能の「狂言」を学ぶ30代の男性に取材したことがある。さる流派に弟子入りも果たし、はかま姿で舞の稽古に励んでいた。狂言に魅せられた理由を問うと、答えは流ちょうな日本語。「宗教や政治の権威を、やすやすと越えるから」 ▼小学校で先生が「月で宇宙飛行士が旗を持って立つ絵を描こう」というと、みな旧ソ連の国旗にしたという。1989年の東欧革命の時は12歳。「共産党の指導で 春秋(2月28日)
茂山茂、大曲「木六駄」に挑む 関西タイムライン 京都 関西 1月22日 狂言師の茂山千五郎と茂が兄弟会「傅(かしずき)之会」を2月7日に金剛能楽堂(京都市)で行う。当初予定の昨夏から延期していた公演。茂が修業の節目とされる大曲の一つ「木六駄」に挑む。茂は「45分と長く、細やかさも求められる難しい曲。チャレンジの心境」と話す。 太郎冠者(茂)は主人から都に住む伯父に燃料や酒などを届けるよう命じられるが、道中で届けるはずの酒を飲んでしまう。苦労して伯父の家にたどり着き、 茂山茂、大曲「木六駄」に挑む
花形の躍動に希望(歌舞伎評) 関西タイムライン 関西 12月18日 京都の南座は待望の吉例顔見世興行。 第1部は中村鷹之資(たかのすけ)が躍動感たっぷりに踊る「操り三番叟(さんばそう)」から。「傾城反魂香(けいせいはんごんこう)」は中村鴈治郎の又平が死を覚悟して手水(ちょうず)鉢に見入る姿に、朴訥(ぼくとつ)さの中に秘めた絵に対する一途(いちず)な思いを現した。中村扇雀のおとくがしっかり者の女房ぶりで、いいコンビだ。 第2部は「寿二人猩々(ことぶきににんしょうじ 花形の躍動に希望(歌舞伎評)
小さく軽い笑い 作家 西崎憲 エッセー 6月7日 ある日、ふと思ったのだが、なぜ恵まれた者は笑いの対象にならないのだろう? 笑われるのはたいてい持たざる者、あるいは何かを欠いた者である。 もう少し具体的に言おう。アインシュタインやランボーやスティーヴ・ジョブズを笑う者はほぼいない。大企業で要職にある人物を笑う者も見たことがない。たとえばアマゾンの最高経営責任者(CEO)、ユニクロの社長を笑う人間がいるだろうか。そういう人たちの罪のない誤りや癖に 小さく軽い笑い 作家 西崎憲
茂山家「競い合い」テーマに狂言会 関西タイムライン 京都 大阪 関西 2月7日 狂言大蔵流の茂山家による「競い合い」をテーマにした狂言会が16日に金剛能楽堂(京都市)で開かれる。大名が家来候補に相撲を挑む「文相撲」、市の代表者になりたい物売り2人が争う「鍋八撥」、 茂山家「競い合い」テーマに狂言会
仁左衛門、絶品の緩急(歌舞伎評) 関西タイムライン 関西 12月13日 12月の京都南座は顔見世。ベテランの至芸、中堅の充実、花形の清新が揃(そろ)って見応えがある。 丸本時代物が並ぶ昼の部が重厚だ。「輝虎配膳」。越路に片岡秀太郎。武家の老女としての矜持(きょうじ)を描きながらも、最後は申し訳なさの本心を示して盤石。 「戻駕(かご)色相肩」は梅丸改め中村莟玉(かんぎょく)の襲名披露。 「金閣寺」は中村鴈治郎の大膳が国崩しの敵役らしい風格を漂わせ、中村扇雀の東吉は知将 仁左衛門、絶品の緩急(歌舞伎評)
文化勲章の野村萬さん 狂言の地位向上に尽力 10月29日 「令和のみ代の、天皇陛下ご即位の年に、文化芸術最高の章をお受けできるなんて」と感激する。能楽師で、和泉流狂言方。第2次大戦後の狂言の発展、地位の向上に貢献した一人だ。 戦争で多くの能楽堂が焼失。復興の中で狂言の評価が高まった。その魅力を「健康的な明るさ、素朴で単純なものの強さ」と語る。分かりやすい喜劇でありながら、人間洞察も深い。「世の中が複雑になると、狂言が力を持つ」。今や能と共に上演されるだ 文化勲章の野村萬さん 狂言の地位向上に尽力
名人芸を3D映像に 野村万作さんの狂言伝承 10月3日 人間国宝の狂言師、野村万作さん(88)の芸を360度から撮影して最新技術の3D映像でアーカイブ化する取り組みが進み、NTTコミュニケーションズが3日、完成した映像を東京都内で公開した。 映像は約15分間で、演目は「栗焼」。万作さん演じる太郎冠者(たろうかじゃ)が、主人に言われ客に出す栗を焼くうち、誘惑に負けて食べてしまう話。焼けた栗を取り、息を吹き掛けるなど手の動き、顔の表情が鮮明に間近に迫るよ 名人芸を3D映像に 野村万作さんの狂言伝承
野村万作、米寿記念で原点の「三番叟」 文化往来 6月17日 人間国宝の狂言師、野村万作の米寿を祝う会が22日、東京・渋谷の国立能楽堂で開かれる。演じるのは万作が「自身の原点」と語る「三番叟(さんばそう)」だ。 三番叟は能楽の儀礼曲「翁」の中で、五穀豊穣(ほうじょう)をことほぐ舞い。前半は力強い足拍子で躍動的に、後半は鈴を振りながら荘重に演じる。1950年に二世万作襲名で初演してから、数え切れないほど取り組んできた。 「音楽に合わせて舞うのではなくて、対抗 野村万作、米寿記念で原点の「三番叟」
狂言・善竹彌五郎の名跡 53年ぶり復活へ(もっと関西) コラム(地域) 関西 8月17日 狂言師として初めて人間国宝に認定された大蔵流狂言の善竹彌五郎(やごろう)(1883~1965年)の名を孫の忠一郎(77)が継ぐ。11月4日に大槻能楽堂(大阪市)で開く二世彌五郎襲名披露公演は、初世が得意とした「武悪(ぶあく)」を勤める。昭和を代表する狂言師の名跡が53年ぶりに復活する。 ■初舞台から70年 忠一郎は襲名を前に「祖父の名を汚さないようにしたい」と飾らない言葉で語る。大きな名を継ぐが、 狂言・善竹彌五郎の名跡 53年ぶり復活へ(もっと関西)