女性像へのまなざし(2) 原田直次郎「少女(ドイツの少女)」 美の十選 4月22日 艶やかな栗色の髪、少し頬に赤みのさした若々しい女性が、振り向くような姿勢でこちらを見ている。きらりと光る瞳や前髪は精緻に描写されている一方、ふわりと肩にかけた布はすばやい筆で描かれている。暗褐色の下塗り、髪やドレスの質感描写からは、画家が留学中に正統な油彩画技法を身につけたことをよく示している。 原田直次郎は1884年に渡欧。ミュンヘンの美術学校で学び、この地で森鴎外と出会う。帰国後原田は大作「 女性像へのまなざし(2) 原田直次郎「少女(ドイツの少女)」
ナチス・ドイツと〈帝国〉日本美術 安松みゆき著 4月22日 日本美術のなかでは、江戸期の浮世絵や工芸品が、西洋人の興味をそそってきた。より古い仏像や水墨画などが、人気をあつめてきたとは言いがたい。 近世の版画などにかたよらず、日本美術の総体を西洋でも紹介したいものである。関係者たちは、日欧の別を問わずそうねがってきた。そして、その想(おも)いはようやく1939年になって実現する。ナチス体制が開催させたベルリン日本美術展で。 展覧会をおとずれたヒトラーは、 ナチス・ドイツと〈帝国〉日本美術 安松みゆき著