コロナ禍で問い直された距離 回顧2020 詩 読書 12月26日 (1)ベージュ 谷川俊太郎著(新潮社・1500円)(2)深きより 高橋睦郎著(思潮社・3800円)(3)花冠日乗 野村喜和夫著(白水社・3300円) コロナ禍が、人と人との距離感に影響を及ぼしている。見慣れたものが見知らぬものとなり、新たに捉え直されることもある。だが、詩についていえば、距離感を考えることはいまに始まったことではない。 谷川俊太郎の詩集『ベージュ』は、軽味を感じさせるさらりとした造 コロナ禍で問い直された距離 回顧2020 詩
外国人の日本語短歌・俳句が映すもの カバーストーリー 5月31日 外国人の歌人・俳人が日本語で書いた短詩型作品を発表する動きが広がっている。その作品と創作観からは、短歌・俳句の世界の潮流変化が浮かびあがる。 ソウル出身のカン・ハンナ(38)が昨年12月に刊行した第1歌集「まだまだです」(KADOKAWA)が歌壇の話題を集めた。カンは角川短歌賞佳作や次席に入選するなど、その実力が評価されている歌人だ。 〈大阪のたこ焼きの出汁が東京と違うと言い張る私がうれしい〉〈 外国人の日本語短歌・俳句が映すもの
光の軌跡に見る虚構 ロバート キャンベル プロムナード エッセー 8月28日 小高い丘から見下ろす鏡池はまさに銀盤の上に水を張ったごとく静かで、夜の闇に人を吸い込む深さと暗さを湛(たた)えている。1匹の錦鯉(にしきごい)が水の下を滑っている。柔らかなライトに照らされ、ぼんやりとした輪郭を描く魚影だ。浮かんでは消え、悠々と進む。「出游(しゅつゆう)して従容(しょうよう)たる、是(こ)れ魚(うお)の楽しみなり」という古(いにしえ)の荘周の言葉にぴったり重なるように見える(『荘 光の軌跡に見る虚構 ロバート キャンベル
沙弥島の作品 瀬戸内国際芸術祭2019 中国 四国 5月7日更新 (1)ターニャ・プレミンガー「階層・地層・層」(春のみ)★★★★ 瀬戸大橋記念公園内に設置され、芝で覆われた高さ6メートルの小高い丘。らせん状のなだらかな道をのぼると絶好の展望スポットに。海上を一直線に伸びる瀬戸大橋の橋脚や自然豊かな公園の風景が見渡せる。 (2)Yotta「ヨタの漂う鬼の家」(新作、春のみ)★★★ 世の中の境界線からはみ出し排除されたものを題材に制作してきた作家たちが、明治ごろまで 沙弥島の作品 瀬戸内国際芸術祭2019
響き合うことばと絵(10) 「三十六歌仙色紙貼交・四季草花図屏風」(部分) 美の十選 6月22日 ことばと絵の美の系譜を探究してきたこの連載も最終回。トリには江戸後期を代表する画家の酒井抱一(1761~1828年)に登場してもらおう。 琳派の巨匠として知られる抱一だが、俳諧や古典文学に造詣が深く、書にも優れた文人であった。晩年に近づくにつれ、書も画も執筆する「抱一書画」といった署名が散見されるようになる。 柿本人麻呂から中務まで、代表的な歌人36人を選んだ「三十六歌仙」の色紙を散らす『三十六 響き合うことばと絵(10) 「三十六歌仙色紙貼交・四季草花図屏風」(部分)
「ひとりの豊かさ」を大切にする(高原豪久氏) 経営者ブログ コラム(ビジネス) 2月8日 寒さが厳しい冬ですが、空気が澄んでおり、よく晴れた日は空の高さを感じます。また、日が落ちるのも早く、夜長を楽しむこともできます。日々雑事に忙殺され、自分のための時間をもつことが難しいビジネス・パーソンにとって、冬の夜はじっくりと物事を考えるのにぴったりかもしれません。 ひとりで過ごし、物事を深く考え、感受性や思考を研ぎ澄ますことは、良い仕事をする上で欠かせないものだと思います。 我が国で1年間に 「ひとりの豊かさ」を大切にする
ぎゅうぎゅう詰めの説明会 日本企業、研修制度に魅力 1月24日 皆さん、初めまして。中国から来た曹志遠です。2012年に来日し、日本語学校を出て日本の大学に進学、そして今は日本での就職が決まっています。この連載では、日本での大学生活や就職活動などの経験を皆さんに伝えていきたいです。 ぎゅうぎゅう詰めの説明会 日本企業、研修制度に魅力
変革の光明 岐路の2018年 菅野 幹雄 Deep Insight 本社コメンテーター 11月17日 景気の好調を示す数字の枕ことばが並ぶ。22年ぶりの低失業率に、有効求人倍率は43年ぶりの高水準だ。株価は一時26年ぶりの高値に乗せ、7~9月期の国内総生産(GDP)は16年ぶりに7四半期連続でプラス成長だった。9月で58カ月と戦後2番目の長さになった今の景気回復は、21世紀初めにあった「73カ月」を抜き、最長になるとの見方が定着してきた。 割り引いてみる必要はある。企業は内外で稼いだ利益を現金や 変革の光明 岐路の2018年
三十一文字 世界に響け カバーストーリー 10月2日 世界各地で短歌の朗読をおこなってきた。今年で13年目。米国、カナダ、フランス、オーストラリア、スイス、タンザニア、インドの33都市を訪問し、公演は132回に及ぶ。世界中に短歌の美しさ、日本語の響きの玄妙さを伝えたいと思ってきたが、同時にそれは私なりの「短歌への恩返し」でもある。 私が取り組んできた「短歌の朗読パフォーマンス」は、20首ないし30首の短歌をゆっくりと、時には歌の言葉をリフレイン(繰 三十一文字 世界に響け