財務省主計局は目を覚ますか 日経ヴェリタス 日経ヴェリタスセレクト 清水 真人 政治アカデメイア 編集委員 1月31日 国会で2021年度予算案の審議が始まる。新型コロナウイルス感染症対策や経済危機への対応が最優先で、一般会計総額は3年連続で100兆円を突破。財政規律は置き去りになりがちだ。そんな予算編成から、近ごろ珍しい話が聞こえてきた。財務省の責任者である矢野康治主計局長が、菅義偉首相から何度も怒鳴られていたというのだ。 看板政策への予算増、首相が迫る 「そんな話など聞かないぞ!」 暮れの12月上旬の首相官邸 財務省主計局は目を覚ますか
膨らんだ経済対策「論理のかけらもない」 ルポ迫真 経済 政治 12月11日 「菅さんは財政再建派だ」。菅義偉政権が発足した9月中旬、財務省幹部の表情は明るかった。新政権の発足と同時に財務相の麻生太郎の記者会見で「歳出改革」の言葉を復活させ、新型コロナウイルスの感染拡大で始まった財政拡張路線を修正する機会をうかがっていた。 11月中旬、自民党への根回しも順調に進んだ。テーマは防災・減災に向けた2021~25年度の国土強靱(きょうじん)化計画だ。自民党の国土強靱化推進本部( 膨らんだ経済対策「論理のかけらもない」
コロナ第3波、消えた予算の正常化 新型コロナ 税・予算 ルポ迫真 政治 12月8日更新 11月24日、首相官邸。首相の菅義偉のもとを東京都知事の小池百合子が訪れた。「補助金の上限をなくしてほしい」。小池は新型コロナウイルスの感染防止策で、営業時間の短縮要請に伴う国の補助拡大を要請した。 小池が求めたのは政府が拠出を表明した地方創生臨時交付金の制限のこと。政府は都道府県内の店舗数の2割を上限としていた。10分程度の会談の直後、菅は経済財政・再生相の西村康稔らに上限撤廃を指示した。 コロナ第3波、消えた予算の正常化
大学研究、巨額ファンド構想への甘い期待 大学 底流 経済 政治 12月4日 政府・与党が大学の研究基盤整備に充てる費用を確保するために10兆円規模の「官学ファンド」を創設する調整を進めている。国の財政支出を元手に株式や債券で長期的に運用し、利益の一部を政策経費に使う。財務省は国家財政の根本を危うくすると警戒感を強めている。 萩生田光一文部科学相は11月12日の参院文部科学委員会で「大学などの研究力強化を長期的な視野で安定的に支援していくため、ファンド創設などの具体的な検 大学研究、巨額ファンド構想への甘い期待
「甘すぎた」サプライチェーン補助金 後味苦い財務省 底流 経済 11月6日 2021年度予算編成が佳境を迎えつつあるなか、経済産業省が金額を定めない「事項要求」として要望したサプライチェーン強靱(きょうじん)化策が財務省内で議論の的になっている。20年度第1次補正予算で新設された補助金は募集額の10倍以上の応募があった。利用者が殺到する人気政策を継続することの何が問題なのか。 特定の国に生産拠点が集中する品目などについて国内拠点の整備費を助成する「サプライチェーン対策の 「甘すぎた」サプライチェーン補助金 後味苦い財務省
菅官邸の政策会議再編 ちらつく竹中平蔵氏の影 政治アカデメイア 清水 真人 菅内閣発足 編集委員 コラム(政治) 政治 10月29日更新 首相の菅義偉が指揮する政策推進体制が見えてきた。経済財政諮問会議を「司令塔」に首相官邸の政策会議を再編。目玉のデジタル改革の全体像を閣僚級で議論する場が複数あるなどなお試行錯誤も続く。実務者として前内閣で主導権を握った経産官僚グループが失速し、首相補佐官の和泉洋人(国土交通省出身)らが重みを増す。東洋大教授の竹中平蔵の影もちらつく。 ■組閣翌々日の朝食会 「首相がど真ん中の司令塔と位置づけるのは経 菅官邸の政策会議再編 ちらつく竹中平蔵氏の影
菅予算「水面下、財務省と駆け引き」 税・予算 ルポ迫真 経済 政治 10月21日 政府の予算編成をつかさどる財務省主計局。その幹部らが9月25日、省内の講堂に集った。「アンガー(怒り)コントロールできないかもしれない」。ある主計官が不安を漏らすと、苦笑の輪が広がった。 2021年度予算編成が本格的に始まる。この日、意見交換の締めくくりに立った主計局長の矢野康治は「来秋までには衆院解散・総選挙があり、歳出圧力は強まる」と危機感をあらわにした。さらに「悪者になる」と言葉を継いだ。 菅予算「水面下、財務省と駆け引き」
コロナ対策継続へ置き土産 財務省がのんだ10兆円 底流 菅内閣発足 経済 政治 9月4日 新型コロナウイルスの感染拡大後、日本は主要国で初めて政治リーダーが交代する。安倍晋三首相が辞任を決断した背景にはコロナ対策に空白を生まない道筋をつけたことがあった。国会審議を経ずに支出できる約10兆円の予備費が支える。次期政権でも医療や経済への対策を切れ目なく実行する土台となる。 「コロナ対応に障害が生じるようなことは避けなければならない。新体制移行はこのタイミングしかないと判断した」。首相は8 コロナ対策継続へ置き土産 財務省がのんだ10兆円
コロナ予備費、1兆円超の支出を閣議決定 新型コロナ 経済 政治 8月7日更新 政府は7日の閣議で、新型コロナウイルス対策として2度にわたる補正予算を経て2020年度に確保した計12兆円の予備費から1兆1257億円を支出すると決めた。大幅な減収となった中小企業・個人事業主向けの持続化給付金を9150億円積み増す。申請件数が増加し、財源が不足する可能性が出ていた。 このほか生活苦の世帯が最大20万円を無利子で借りられる緊急小口資金に1777億円を支出する。入国者への検疫強化に コロナ予備費、1兆円超の支出を閣議決定
最大のサプライズ人事 財務省主計局長に矢野氏 経済 7月15日更新 麻生太郎財務相が14日発表した幹部人事は、予算編成を仕切り「次の次官」とされる主計局長への矢野康治氏の起用が最大のサプライズとなった。税制を担う主税局長からの横滑りは6年前に消費増税計画を控えて配置された田中一穂氏(現・日本政策金融公庫総裁)を除けば戦後例がない。 「間違っているのではないか」。今春、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて始まった2020年度第1次補正予算編成。矢野氏は経済産業省に 最大のサプライズ人事 財務省主計局長に矢野氏