「石油の時代」支えた巨人 ヤマニ元石油相死去 松尾 博文 編集委員 中東・アフリカ Nikkei Views 環境エネ・素材 2月24日 サウジアラビアの元石油相で、産油国の石油戦略を主導したアハマド・ザキ・ヤマニ氏がロンドンで死去した。 1973年10月、エジプトとシリアがイスラエルを奇襲攻撃して第4次中東戦争が始まった。これにあわせて、サウジなど中東産油国が原油の公式販売価格を引き上げ、アラブの敵対国には禁輸を打ち出したことで、世界中にパニックが広がった。パレスチナを解放する「アラブの大義」のために、石油を武器に使ったのである 「石油の時代」支えた巨人 ヤマニ元石油相死去
OPEC最深部に亀裂、石油減産でUAEがサウジに反旗 松尾 博文 編集委員 中東・アフリカ Nikkei Views 環境エネ・素材 12月11日 石油輸出国機構(OPEC)と、ロシアなどOPECに加盟しない産油国で構成する「OPECプラス」はオンラインで開催した閣僚級会合で、2021年1月から減産量を小幅で減らすことで合意した。 大幅減産の継続を主張するサウジアラビアと、緩和を求めるロシアのせめぎ合いの結果だが、会合ではもうひとつ見逃せない動きがあった。サウジ主導のOPECを番頭格として支えてきたアラブ首長国連邦(UAE)が、サウジに異を OPEC最深部に亀裂、石油減産でUAEがサウジに反旗
石油のたそがれ招く市場崩壊 増産競争のツケ 松尾 博文 新型コロナ 環境エネ・素材 Nikkei Views 編集委員 4月21日 米原油市場で先物価格が史上初めて、買い手がつかない「マイナス取引」となった。5月期近物に限る「瞬間風速」とはいえ、産油国の増産競争は市場の崩壊を招いた。出口の見えない供給過剰は、新型コロナウイルス危機が終息しても、石油の将来に禍根を残すことになりかねない。 米原油市場で起きた前代未聞の投げ売りの原因は、米国内の石油貯蔵能力が限界に近づいていることだ。未曽有の供給過剰が背景にある。 国際エネルギー 石油のたそがれ招く市場崩壊 増産競争のツケ
サウジの原油大増産、戦略なき政策転換の危うさ 松尾 博文 環境エネ・素材 中東・アフリカ Nikkei Views 編集委員 3月12日 サウジアラビアが原油市場の調整役を放棄し、大増産へかじを切った。原油相場は暴落し、衝撃は株式や金融市場にも及ぶ。秩序なき価格競争の引き金を引いたサウジに勝算はあるのか。決断に至る動機が見えにくいことが、市場の不安を一層かき立てている。 暴落の起点となった3月上旬のウィーンでの石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非OPEC産油国による協議。ロシアのノワク・エネルギー相は判断を仰ぐため、モスクワに サウジの原油大増産、戦略なき政策転換の危うさ
アラムコ上場、日本も試す 石油の終わりが始まった 松尾 博文 Deep Insight 編集委員 12月7日 サウジアラビアの国営石油会社、サウジアラムコが上場する。アラムコは米アップルを上回る世界最大の利益を稼ぎ出す。新規株式公開(IPO)により、時価総額でもナンバーワン企業に躍り出る。にもかかわらず、投資家の声が祝福ばかりではないのはなぜか。 中東の地政学リスク、サウジの安定性、情報開示への疑念――。不安の種は尽きない。なによりアマゾン・ドット・コムやグーグルといった、次の時代を切り開くデジタルテッ アラムコ上場、日本も試す 石油の終わりが始まった
因縁の王子、サウジ石油相に 強まる王族関与の余波は 松尾 博文 Nikkei Views 編集委員 9月12日 サウジアラビアのサルマン国王は石油政策を取り仕切るファリハ・エネルギー相を解任し、後任に息子のアブドルアジズ王子を任命した。同国の実権を握るムハンマド皇太子の異母兄にあたる。今回は石油相に王族をつけない慣例を覆す異例の人事だ。石油政策に体制中枢の意向を反映する狙いがあるとすれば、日本にも余波は及ぶ。 石油大国サウジで石油相(ファリハ氏からはエネルギー相)を務めたのは、アブドルアジズ王子を含め、建 因縁の王子、サウジ石油相に 強まる王族関与の余波は
カタール脱退とOPECのたそがれ ニュースこう読む コラム(ビジネス) 環境エネ・素材 中東・アフリカ 12月14日 カタールが石油輸出国機構(OPEC)から脱退する。同国の原油生産量は日量60万バレルと、OPEC全体の生産量に占める比率は2%にすぎない。脱退しても原油の需給に与える影響はわずかだが、OPECの結束に与える打撃は計り知れない。脱退は価格カルテルとしてのOPECの変質を示す証左であり、OPECの「終わりの始まり」でもあるからだ。 「最初で、最後の総会だ」。ウィーンで6日に開かれたOPEC総会にカタ カタール脱退とOPECのたそがれ
米の原油市場介入、世界の貿易戦争に「油」注ぐ ニュースこう読む 環境エネ・素材 中東・アフリカ 北米 7月13日 トランプ米大統領による原油市場への介入が世界経済の新たなリスクとして浮上してきた。イラン原油の禁輸へ同調を求めて日本や欧州、中国などに圧力をかける一方、サウジアラビアへの一方的な増産要請が原油市場を不安定化する危険を秘める。石油をめぐる対立は火がついた米中の貿易戦争に油を注ぐことになりかねない。 「石油輸出国機構(OPEC)は価格をつりあげている。いますぐ下げよ!」。トランプ大統領は4日、ツイッ 米の原油市場介入、世界の貿易戦争に「油」注ぐ
回復基調の原油相場 協調減産で在庫減少(経済教室) 経済教室 コラム(経済・政治) 2月22日 原油価格は2016年1~2月の1バレル26ドル台(WTI=ウエスト・テキサス・インターミディエート)を底に、徐々に回復した。17年にかけて40~50ドルで推移した後、18年に入って70ドルをうかがうところまで上昇した。筆者は現在の基調が持続し、18年は60ドルを軸に推移するとみている。 回復基調の原油相場 協調減産、在庫適正化に寄与