かすむコロナ増税 震災後と異なる議論なき1年 底流 経済 2月12日 10年前の3月11日。金曜日の午後に起きた東日本大震災。直後の土日に財務省2階の事務次官室に集まった幹部らは、その場で内々に増税方針を固めた。「日本売りになりかねない」。国難のなかで海外からの信認を維持し、投資資金の引き揚げを阻止するためには、中長期的な財源を確保したうえでの大規模な財政出動が必要という判断だった。 水面下の調整を経て復興対策本部が増税方針を含む基本方針を公表したのはわずか4カ月 かすむコロナ増税 震災後と異なる議論なき1年
「甘すぎた」サプライチェーン補助金 後味苦い財務省 底流 経済 11月6日 2021年度予算編成が佳境を迎えつつあるなか、経済産業省が金額を定めない「事項要求」として要望したサプライチェーン強靱(きょうじん)化策が財務省内で議論の的になっている。20年度第1次補正予算で新設された補助金は募集額の10倍以上の応募があった。利用者が殺到する人気政策を継続することの何が問題なのか。 特定の国に生産拠点が集中する品目などについて国内拠点の整備費を助成する「サプライチェーン対策の 「甘すぎた」サプライチェーン補助金 後味苦い財務省
終わらぬ「森友」 財務省、覚悟にじむ人事 底流 経済 8月7日 財務省の新体制が7月20日に発足した。注目はトップの事務次官や予算を統括する花形の主計局長だけではない。今回、勇退した岡本薫明前事務次官が最後に主導した人事がある。茶谷栄治官房長の留任だ。 前次官は学校法人「森友学園」を巡る決裁文書改ざんで揺らいだ組織の立て直しを担った。「痛恨の極み」と振り返るのは自身の官房長時代だ。2017年7月までの2年間の任期は、文書の改ざんがあった時期に重なる。 官房長 終わらぬ「森友」 財務省、覚悟にじむ人事
財務省陰謀論が映す迷走 政策論議なき「10万円」 底流 コラム(経済・金融) 経済 5月1日 「財務省が仕組んだワナだったのではないか」。新型コロナウイルスの感染拡大を受けた緊急経済対策を巡り、こんな疑惑が一部で持ち上がっている。財務省は一律10万円の家計向け給付金について「支給までに3カ月かかる」と官邸に説明し、一度諦めさせた経緯がある。これが歳出拡大を嫌がる財務省の裏工作だったのではないかという見立てだ。 財務省幹部は「当初は本当に分からなかった」と否定する。現金給付は2009年の麻 財務省陰謀論が映す迷走 政策論議なき「10万円」
東京五輪と銀行を脅かすもう1つの「ウイルス」 金融最前線 Tokyo2020 金融コンフィデンシャル 金融機関 ネット・IT 3月30日 東京五輪・パラリンピックの延期にまで発展した新型コロナウイルスの感染拡大。いま、水面下ではこの混乱に乗じてもう一つの「ウイルス」が拡散している。金融機関のサイバーセキュリティーを脅かすコンピューターウイルスだ。サイバー犯罪の被害が増える五輪を控え、課題は山積している。 「緊急入荷!数量限定!サージカルマスク 1箱600円」。送料も良心的で、商品説明の下には「梱包、配送ともに満足です」と感謝する口 東京五輪と銀行を脅かすもう1つの「ウイルス」
銀行の送金手数料にメス 公取委「半世紀不変」を問題視 金融最前線 金融コンフィデンシャル 経済 金融機関 2月17日 長く変わってこなかった銀行の振込手数料にメスが入る公算が大きくなってきた。銀行とフィンテック企業の対立を発端として2019年から金融インフラの調査に入った公正取引委員会は、振込手数料のコスト構造を問題の核心だとみているもようだ。3月に予定される公取委の報告を受け、今春から舞台は未来投資会議(議長・安倍晋三首相)に移る。日本の金融インフラは転機を迎えつつある。 「第4次産業革命の進展に伴う決済イン 銀行の送金手数料にメス 公取委「半世紀不変」を問題視
銀行インフラ握るNTTデータ 公取委、コストに照準 金融最前線 金融コンフィデンシャル 金融機関 12月16日 銀行と公正取引委員会の対立の構図が鮮明になってきた。銀行が「全銀システム」を含む決済インフラを「独占」していることが、フィンテック企業の新規参入を阻んでいるのではないかと疑う公取委に対し、銀行業界が反発を強めている。この問題は根っこをたどると決済インフラのコスト構造に行き着く。浮かび上がるのは、システムベンダーの巨人、NTTデータの存在だ。公取委の動きは銀行とNTTデータの蜜月関係にメスを入れる 銀行インフラ握るNTTデータ 公取委、コストに照準
銀行が踏んだ公取委の虎の尾 フィンテック企業と不信 金融最前線 金融コンフィデンシャル コラム(経済・金融) 11月5日 金融技術革新の本丸で、起きてはならないはずの対立が生まれている。銀行の基幹システムを外部企業と連携させる「オープンバンキング」のスローガンのもとで手を取り合うはずだった銀行とフィンテック企業。相互不信に陥り、立ちすくんでいる。利用者不在の対立に陥りかねない状況を放置すれば、日本の金融は国際的な競争力を失いかねない。そんな状況の是正に向けて公正取引委員会が動き始めた。 「世界のスピードから見れば、 銀行が踏んだ公取委の虎の尾 フィンテック企業と不信
金融API騒動が促す「データの民主化」 底流 経済 金融機関 9月27日 金融業界の技術革新に黄信号がともっている。障壁となっているのは、銀行がフィンテック企業にシステム接続を認める「オープンAPI」。新しいサービスを生むための目玉の取り組みだが、銀行側の消極姿勢が目立ち、金融庁が警鐘を鳴らす事態に発展した。単なる銀行の怠慢にも映るが、そうとは言い切れない。「データは誰のモノか」が曖昧なことが最大の問題として横たわる。 APIには顧客の銀行口座情報を家計簿アプリなどに 金融API騒動が促す「データの民主化」
早期解散で薄らぐ円高リスク 「日本素通り」警戒も 9月19日 10月の衆院選は、円高リスクの後退――。安倍晋三首相の早期解散方針が伝わり、市場では早くもこんな見方が広がりつつある。アベノミクス全体の功罪は今後の検証を待たねばならないが、日銀の黒田東彦総裁が就任とともに発動した大規模な金融緩和が円の対ドル相場を大きく押し下げるのに貢献した点に疑問を挟む余地は少ない。市場は与党に有利なタイミングでの解散により、こうした路線が維持される可能性が高まるとみている。 早期解散で薄らぐ円高リスク 「日本素通り」警戒も