カーボンゼロ特集ページ

脱炭素に不可欠な燃料となってきた水素(元素記号H)。最大の課題は膨らむ需要に対応する量をどうつくるかだ。 水素の生産手法は主に2つある。天然ガスから分離するか、電力で水を分解して得る。二酸化炭素(CO2)が出ないよう再生可能エネルギーの電力で水素をつくるには、2050年まで毎年8億キロワットの太陽光・風力発電の導入が必要と英エネルギー大手BPはみる。 国際再生可能エネルギー機関(IRENA)によ
砂漠で「ソーラー水素」 日本発で狙う資源革命
化学コンビナートから副産物として水素(元素記号H)が出る山口県周南市。燃料に活用しようと2015年度に水素活用計画を策定した。 水素はセ氏マイナス253度に冷却して液化し、タンクローリーで市内にある水素ステーションに運ぶ。真空断熱のタンクに蓄えられ燃料電池車(FCV)に充塡できる。隣接する卸売市場には燃料電池を置き、場内の電気や熱をまかなう。 一連の水素供給網を整えるには数億円の費用がかかる。地
バラバラの水素政策 求む、脱炭素の司令塔
スウェーデン北部イェリバレ。3月、1300億円かけて画期的な製鉄のプラントをここに建設することが決まった。同国鉄鋼大手SSAB、鉱山大手LKAB、電力大手バッテンファルの3社が共同で取り組む「HYBRIT(ハイブリット)」プロジェクトだ。 プラントでは、再生可能エネルギーの電気でつくった水素(元素記号H)で鉄を生産する。小型の高炉1基分に相当する年130万トンの鉄を2026年までにつくる。 これ
鉄・飛行機も水素に転換 世界の産業勢力図を左右
水素(元素記号H)の普及を阻むのはコストや技術だけではない。規制も高いハードルとなる。 「車検を通ったのに水素を充塡できない」。奇妙な出来事が日本の燃料電池車(FCV)で起きている。ガソリン車や電気自動車(EV)は通常の車検のみで利用できる。FCVの水素を貯蔵するタンクは車検の対象外だ。国土交通省とは別に経済産業省所管の検査が要る。車検との間隔があわない場合があり、空白期間が生まれる。 「タンク
水素阻む縦割り規制 新ルールで市場創造
中国南部の広東省仏山市高明区。経済発展に伴って立ち並ぶ高層マンションの間を縫うように路面電車が静かに走る。よく見ると給電に必要な架線がない。燃料電池を載せて水素(元素記号H)で走る「高明有軌電車」だ。 15分間の水素充塡で100キロメートル走り料金は路線バス並みの2元(30円強)。地元に住む徐さんは「子どもと公園に行くのに使う。音が静かで快適だよ」と話す。2019年11月から運行を始め、20年の
水素都市へ走る中韓 見えてきた新・生態系
原子番号1番、元素記号H。「水素」が温暖化ガス排出を実質的になくすカーボンゼロの切り札に浮上した。宇宙の元素で最も多い水素は枯渇せず、燃やしても水になるだけ。究極の資源Hを制する競争が始まった。 オーストラリア南東部のビクトリア州ラトローブバレー。日本の発電量240年分に当たる大量の低品位石炭、褐炭が眠るこの地で1月、水素の製造が始まった。 採掘したての褐炭を乾燥させて砕き、酸素を注入して水素を
水素、緑も青も総力戦 50年に全エネルギーの16%に
政府は、日本企業による水素やアンモニアなどの生産を促すため資金支援に乗り出す。経済産業省所管の石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)を通じ、商社などが主に海外で展開する事業に対して出資や債務保証を可能にする。これらは二酸化炭素(CO2)を排出しない燃料として注目されており、公的な支援で国内での安定調達につなげる。 JOGMECはこれまで、日本企業による石油や天然ガス、鉱物資源の開発や調達
インドネシアのアンモニア製造工場=共同
水素・アンモニア生産に資金支援 脱炭素目標へ政府検討
トヨタ自動車は22日、水素を燃焼させて動く「水素エンジン」の開発に取り組むと発表した。搭載車両を5月に静岡県で開かれる「スーパー耐久」のレースに投入する。モータースポーツで二酸化炭素(CO2)排出量を引き下げる。水素エンジンはCO2をほぼ排出しない一方で、レース車に特有の爆音や振動を感じることができる。走行の楽しさと脱炭素を両立する技術として開発を急ぐ。 「カローラスポーツ」をベースにした競技車
トヨタは水素を燃やして動力を得る「水素エンジン」を開発する(イメージ)
トヨタ、CO2ゼロの水素エンジン開発 耐久レースに参戦
【フランクフルト=深尾幸生】商用車世界大手の独ダイムラー・トラックとボルボ(スウェーデン)は29日、燃料電池の合弁会社で2025年からトラック向け燃料電池システムの生産を始めると発表した。両社はそれぞれ20年代後半に合弁会社で生産する燃料電池を搭載したトラックを量産する。 両社は20年4月に燃料電池の開発・生産を統合することで合意、21年3月に折半出資の合弁会社「セルセントリック」を設立した。長
ダイムラー・トラックとボルボの合弁会社「セルセントリック」が開発中の燃料電池システム=ダイムラー・トラック提供
ダイムラーとボルボ、トラックの燃料電池 25年に生産
脱炭素時代の「夢の燃料」と期待される水素。サプライチェーン(供給網)を世界各地に張り巡らせるには「運ぶ・ためる」技術の確立が欠かせない。体積が大きくて一度に運べる量が少なく、可燃性で爆発の危険もある難点をどう克服するか。効率輸送に向け有効な解を見つけた海外企業はなく、技術で先行する日本勢にはチャンスだ。 圧縮して運びやすく 水素を気体のまま運ぼうとすれば、入れ物は膨大な容積が必要となる。現時点で
「究極の資源」水素、課題の輸送で5つの手法争う