カーボンゼロ特集ページ

化学コンビナートから副産物として水素(元素記号H)が出る山口県周南市。燃料に活用しようと2015年度に水素活用計画を策定した。 水素はセ氏マイナス253度に冷却して液化し、タンクローリーで市内にある水素ステーションに運ぶ。真空断熱のタンクに蓄えられ燃料電池車(FCV)に充塡できる。隣接する卸売市場には燃料電池を置き、場内の電気や熱をまかなう。 一連の水素供給網を整えるには数億円の費用がかかる。地
バラバラの水素政策 求む、脱炭素の司令塔
スウェーデン北部イェリバレ。3月、1300億円かけて画期的な製鉄のプラントをここに建設することが決まった。同国鉄鋼大手SSAB、鉱山大手LKAB、電力大手バッテンファルの3社が共同で取り組む「HYBRIT(ハイブリット)」プロジェクトだ。 プラントでは、再生可能エネルギーの電気でつくった水素(元素記号H)で鉄を生産する。小型の高炉1基分に相当する年130万トンの鉄を2026年までにつくる。 これ
鉄・飛行機も水素に転換 世界の産業勢力図を左右
水素(元素記号H)の普及を阻むのはコストや技術だけではない。規制も高いハードルとなる。 「車検を通ったのに水素を充塡できない」。奇妙な出来事が日本の燃料電池車(FCV)で起きている。ガソリン車や電気自動車(EV)は通常の車検のみで利用できる。FCVの水素を貯蔵するタンクは車検の対象外だ。国土交通省とは別に経済産業省所管の検査が要る。車検との間隔があわない場合があり、空白期間が生まれる。 「タンク
水素阻む縦割り規制 新ルールで市場創造
中国南部の広東省仏山市高明区。経済発展に伴って立ち並ぶ高層マンションの間を縫うように路面電車が静かに走る。よく見ると給電に必要な架線がない。燃料電池を載せて水素(元素記号H)で走る「高明有軌電車」だ。 15分間の水素充塡で100キロメートル走り料金は路線バス並みの2元(30円強)。地元に住む徐さんは「子どもと公園に行くのに使う。音が静かで快適だよ」と話す。2019年11月から運行を始め、20年の
水素都市へ走る中韓 見えてきた新・生態系
原子番号1番、元素記号H。「水素」が温暖化ガス排出を実質的になくすカーボンゼロの切り札に浮上した。宇宙の元素で最も多い水素は枯渇せず、燃やしても水になるだけ。究極の資源Hを制する競争が始まった。 オーストラリア南東部のビクトリア州ラトローブバレー。日本の発電量240年分に当たる大量の低品位石炭、褐炭が眠るこの地で1月、水素の製造が始まった。 採掘したての褐炭を乾燥させて砕き、酸素を注入して水素を
水素、緑も青も総力戦 50年に全エネルギーの16%に
新型コロナ危機は経済のデジタル化をうながし、脱炭素社会への流れを加速させた。深まる米国と中国の対立は世界のエネルギー転換にどのような影響をおよぼすのか。エネルギー問題の権威であるダニエル・ヤーギン氏に聞いた。 ――「新冷戦」ともいわれる米中の対立は気候変動対策にもおよびますか。 「米当局者は気候変動問題では中国と協力すると聞いているが、他の分野の協力はきわめて難しくなった。米バイデン政権のスター
脱炭素に米中対立の影 ダニエル・ヤーギン氏
バイデン大統領は気候変動は人道問題であり、政権が取り組むべき最重要課題の1つだと繰り返し述べている。 2017~19年だけで米国では44の異常気象により計4600億ドル(約50兆円)を超す損害があった。今年2月にも強力な寒波がテキサスを襲った。電力システムを壊し、数百万の人々が暖をとれなかった。 バイデン氏は連邦政府に気候変動問題を外交・国家安全保障の最重要施策に据えるように求める。気候変動によ
「30年削減目標、日本は早期上げを」ピート・オグデン氏
ドイツは2000年に再生可能エネルギー法を導入した。一番効果があったのは、再生エネの買取額を運営開始から20年間保証する固定価格買取制度(FIT)だった。送配電事業者は再生エネの発電所を送電線につながなければならないと法律で定められ、優先的に再生エネの電気を買い取るようにもなった。 およそ4年ごとに制度は見直されてきたが、発電事業者を支援する基本的な設計は変わらない。太陽光発電への補助額は当初の
「ドイツ石炭火力、廃止前倒しも」ドミニク・ムースト氏
新型コロナウイルスは世界経済に打撃を与えた。ただコロナ禍が再生可能エネルギーの普及に与えた影響は比較的小さかった。再生エネの価格は下がり続け、最も便利な発電方法となっている。 今は新型コロナへの短期的な対応と、持続可能な開発や地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の長期的な目標を結びつける好機だ。各国政府の公共投資はこれまでに見たことのないほどの規模になっている。民間資金も生かし、送電網や電
「再生エネの地政学リスク、技術で克服」ラ・カメラ氏
菅義偉首相が2020年10月、50年までのカーボンニュートラルを宣言した。それに先駆け7月に、梶山弘志経済産業相が非効率な石炭火力発電からのフェードアウト(段階的に減らす)方針を示して口火を切った。経産省は当初「再生エネをやってもいい」と言っていたが、付録のような位置づけだった。あの方針が再生エネ推進を前提とする環境省ではなく、経産省から出たというのは大きい。 というのも、再生エネを普及させる上
「再生エネ普及、起業家精神が必要」千本倖生氏