カーボンゼロ特集ページ

新型コロナ危機は経済のデジタル化をうながし、脱炭素社会への流れを加速させた。深まる米国と中国の対立は世界のエネルギー転換にどのような影響をおよぼすのか。エネルギー問題の権威であるダニエル・ヤーギン氏に聞いた。 ――「新冷戦」ともいわれる米中の対立は気候変動対策にもおよびますか。 「米当局者は気候変動問題では中国と協力すると聞いているが、他の分野の協力はきわめて難しくなった。米バイデン政権のスター
脱炭素に米中対立の影 ダニエル・ヤーギン氏
バイデン大統領は気候変動は人道問題であり、政権が取り組むべき最重要課題の1つだと繰り返し述べている。 2017~19年だけで米国では44の異常気象により計4600億ドル(約50兆円)を超す損害があった。今年2月にも強力な寒波がテキサスを襲った。電力システムを壊し、数百万の人々が暖をとれなかった。 バイデン氏は連邦政府に気候変動問題を外交・国家安全保障の最重要施策に据えるように求める。気候変動によ
「30年削減目標、日本は早期上げを」ピート・オグデン氏
ドイツは2000年に再生可能エネルギー法を導入した。一番効果があったのは、再生エネの買取額を運営開始から20年間保証する固定価格買取制度(FIT)だった。送配電事業者は再生エネの発電所を送電線につながなければならないと法律で定められ、優先的に再生エネの電気を買い取るようにもなった。 およそ4年ごとに制度は見直されてきたが、発電事業者を支援する基本的な設計は変わらない。太陽光発電への補助額は当初の
「ドイツ石炭火力、廃止前倒しも」ドミニク・ムースト氏
新型コロナウイルスは世界経済に打撃を与えた。ただコロナ禍が再生可能エネルギーの普及に与えた影響は比較的小さかった。再生エネの価格は下がり続け、最も便利な発電方法となっている。 今は新型コロナへの短期的な対応と、持続可能な開発や地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」の長期的な目標を結びつける好機だ。各国政府の公共投資はこれまでに見たことのないほどの規模になっている。民間資金も生かし、送電網や電
「再生エネの地政学リスク、技術で克服」ラ・カメラ氏
菅義偉首相が2020年10月、50年までのカーボンニュートラルを宣言した。それに先駆け7月に、梶山弘志経済産業相が非効率な石炭火力発電からのフェードアウト(段階的に減らす)方針を示して口火を切った。経産省は当初「再生エネをやってもいい」と言っていたが、付録のような位置づけだった。あの方針が再生エネ推進を前提とする環境省ではなく、経産省から出たというのは大きい。 というのも、再生エネを普及させる上
「再生エネ普及、起業家精神が必要」千本倖生氏
世界の車載向け電池市場は2025年に年間500ギガ(ギガは10億)ワット時になると予想している。プラグインハイブリッド車分も含む数字だが、電気自動車(EV)で換算すると1千万台に相当する。現状の百数十ギガワット時から市場が伸びることは明らかだが、中韓の電池産業がシェアを伸ばしている。半導体や液晶、太陽電池と同じ道を歩まないように、日系各社が戦略を練っている。 電池を考える上で重要なことが2つ。1
「電池、製造工程から脱炭素必要」岩田圭一氏
オーステッド(デンマーク)が洋上風力発電で世界首位の地位を築けたのは、早くから取り組んでいたからだ。1991年にデンマーク沖に建設した最初の洋上風力発電所から参画した。規模は5千キロワットと非常に小さかったがコンセプトの実証から関わってきた。 私が2008年に入社したとき、オーステッドの社名はDONGエナジーで「デンマークの石油と天然ガス」を表していた。北海での石油・ガス生産が一つの足で、もう一
「洋上風力、規模がすべて」マルティン・ノイベルト氏
刺激臭のある液体のイメージが強いアンモニアは、すでに肥料の原料として世界中で利用されている。生産や運搬のインフラは確立しているため、仮に燃料として使う場合でも追加の投資が少なくて済む。カーボンゼロ社会の実現をめざすうえで、このコストの低さは魅力。火力発電で石炭と混ぜて燃やす場合、バーナーなど一部設備を変えるだけで使える。 発電部門は日本の二酸化炭素(CO2)排出量の4割弱を占める。同部門の脱炭素
アンモニア、低コストに魅力 生成時のCO2排出が課題
国土の狭い日本で再生可能エネルギーをかき集めても限界がある。ならば国境を越え、世界の力を借りる。輸入がカーボンゼロのカギを握る。 2020年秋、サウジアラビアを出た貨物船が日本に到着した。積み荷は40トンのアンモニア。国営石油会社サウジアラムコの関連設備で、天然ガスから作った。国内3カ所の施設に運び込み、火力発電での燃焼実験をした。石炭や天然ガスに混ぜても、アンモニアだけでも燃やせた。 「既存の
サウジからアンモニア 再生エネ輸入に熱視線
2050年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンゼロ社会」に向けて世界が走り始めた。再生可能エネルギーや電気自動車の利用が前提となり、蓄電池の普及が命運を握る。主力のリチウムイオン電池は中国や韓国の企業が市場を席巻するが、大電化時代にはコスト低下や安全確保、蓄電能力の向上と、さらなるイノベーションが必要になる。日本企業にも商機はある。 世界に先駆けてリチウムイオン電池を商品化した日本
蓄電池で競う世界 日本勢、技術力で商機