新冷戦・安保と日本の知財戦略 渋谷 高弘 国際法・ルールと日本 知的財産権 5月24日 2023年5月19〜21日に広島市で開催された日米英など主要7カ国(G7)の首脳会議(サミット)。後から振り返って、人々が「日本が『失われた30年』から立ち直った転機は、あの広島サミットだった」と思い起こすかもしれません。 そう思ったのは、同サミットで議長を務める日本の岸田文雄首相が、広島の平和記念公園で米国のバイデン大統領らG7首脳を出迎え、各首脳に被爆の実相を訴えたからではなく、またウクライ 新冷戦・安保と日本の知財戦略
東洋建設の改心 5月17日 セブン&アイ・ホールディングスの株主総会が25日に迫っています。総会はアクティビスト(物言う株主)ファンドの米バリューアクト・キャピタルとの委任状闘争(プロキシーファイト)の様相を呈しています。米議決権助言会社が会社提案の5人の取締役候補について反対推奨を決め、バリューアクトが提示する取締役人事案を支持したため、僅差での勝負になりそうです。本日は物言う株主の動向が注目される、もう一つの争い、東洋 東洋建設の改心
知財・無形資産開示は時価総額増への道 渋谷 高弘 5月10日 東京証券取引所がPBR(株価純資産倍率)1倍割れ(つまり企業の収益性、成長性が市場から評価されていない)の上場企業に厳しい姿勢を打ち出し、慌てている会社も多いと思います。「業績も悪くないし、研究開発や営業努力をしているのになぜ」と思う企業人は、自社の「知財・無形資産への投資に関する開示は十分か」と問いかけてみましょう。民間による興味深い報告が今年3月、公表されました。 報告は「東京プライム市場上 知財・無形資産開示は時価総額増への道
「PBR1倍割れ」を非難する前に 4月26日 東京証券取引所が低PBR(株価純資産倍率)の企業に対し、その改善に向けた要請を行いました。東証がこうした要請をしたのはガバナンス改革が2015年に始まって8年が経過したのにその成果があまり見えないからです。社外取締役が増えて取締役会の独立性は高まったものの、企業価値の向上による経済の持続的成長を実現するに至らず、不採算部門を抱え続けて事業ポートフォリオ上の課題を解消できないでいる企業がいまだ多く 「PBR1倍割れ」を非難する前に
「シン・知財指針」企業と投資家のズレ指摘 知的財産権 4月19日 内閣府知的財産戦略推進事務局は3月27日、企業が知的財産や無形資産への投資や活用を通じて成長することを促す「知財・無形資産ガバナンスガイドラインVer.2.0」を公表しました。2022年1月に出した第1弾が、知財・無形資産の活用で欧米や中国に後れを取った企業に「喝」を入れることが主眼だったのに対し、第2弾である「シン・知財指針」は、企業と投資家との思考のズレを指摘、対話を促したのが特徴といえます 「シン・知財指針」企業と投資家のズレ指摘
あなたの会社のエシカル度は? 4月12日 地球温暖化対策や人権問題などがシェアホルダー・アクティビズム(株主行動主義)の有力テーマとして取り上げられることが珍しくなくなりました。背景には環境や社会問題解決に目を向けるESG(環境・社会・ガバナンス)投資の隆盛があります。その意味で、次の株主アクティビズムのヒントになりそうなイベントが先月開かれました。 3月17日、企業の社会課題への対応を市民団体やNPO(非営利組織)が採点する「企業のエ あなたの会社のエシカル度は?
トヨタ、お前もか?「日本型不正」の闇 4月5日 トヨタグループの「本家」といえる豊田自動織機が3月17日、国が求める評価試験でフォークリフト向けのエンジンについて排出ガスのデータを差し替えるなどの不正があったと発表しました。トヨタ自動車の子会社である日野自動車による類似の不正が発覚したのは約1年前。相次ぐ日本の大手メーカーの不正には共通の特徴があり、その闇の深さに、暗澹(あんたん)とした気持ちになります。 「トヨタ、お前もか?」。日野自が不正 トヨタ、お前もか?「日本型不正」の闇
社外取締役にも責任追及の時代 3月29日 深刻な不祥事や経営上の懸案を抱えている問題企業が出るたびにいつも疑問に感じるのは社外取締役の責任の取り方です。不祥事が発覚すると彼らは決まって「何も知らなかった」「社内から情報を得られなかった」などと説明するだけで、次の株主総会で取締役選任候補から外れて静かに去っていきました。株主代表として監督役を期待されて選ばれたにも関わらず、責任追及が曖昧なまま退場する社外取締役が多いことに釈然としなかった 社外取締役にも責任追及の時代
日本流 「戦略法務」探る研究会 国際法・ルールと日本 3月22日 先日、200人を超える企業法務関係者らがユニークな組織を立ち上げました。「戦略法務・ガバナンス研究会」です。同研究会のウェブサイトによると「日本企業の成長のためには、戦略法務の機能を含むコーポレートファンクション(社内機能)の強化が急務であり、その担い手となる戦略法務人財を育成・輩出する」としています。 研究会の第1回会合がオンライン方式で開催されたのは3月10日です。企業の法務、経営企画、IR 日本流 「戦略法務」探る研究会
多様性、国際女性デーに考えた 3月15日 先週3月8日は国際女性デーでした。各報道機関はそれぞれの切り口で女性問題を取り上げました。日本経済新聞は企業統治助言会社プロネッド(東京・港)と共同で、上場企業で社内役員を務めている女性を対象に意識調査を行いました。 回答からは、とかく男性中心の企業社会の中で働いてきた女性たちの本音が伝わってきました。 「女性社内役員調査」で最も印象的だったのは、女性の昇進を阻む理由についての回答です。女性は「 多様性、国際女性デーに考えた