高値づかみは報われたか バブル投資31年目の検証 前田 昌孝 コラム 編集委員 株式 1月20日 日経平均株価は1月14日に付けた1990年8月以来の高値に再び接近してきた。この勢いが続くとは限らないが、すでにバブル崩壊後の下げ幅の3分の2戻しを達成したため、89年末に付けた過去最高値の3万8915円がみえてきたとの声もある。配当込み日経平均は2020年11月25日にいち早く当時の最高値を上回った。31年前のバブルの頂点で高値づかみした投資家も、配当を含めれば、ようやく報われたことになる。実 高値づかみは報われたか バブル投資31年目の検証
投信成績10年で3倍に 「追い風参考」過信は禁物 コラム 株式 1月13日 東京株式相場は「株高異変」ともいえる状況だが、この流れに乗り、株式投資信託の運用成績が上向いている。2020年末までの10年間の国内株投信のリターンは、運用中の428本の単純平均で190.5%になった。10年前がリーマン・ショックの余波で株価水準が低かったとはいえ、元本が2.9倍にもなる好成績。特にプロが銘柄を選ぶアクティブ運用の平均は10年で3倍弱になった。 内外の株式型、債券型、バランス型の 投信成績10年で3倍に 「追い風参考」過信は禁物
テスラ・ネパール・BTC 宝物、21年も見つかるか コラム 株式 1月6日 新型コロナウイルスの感染拡大をよそに、首都圏の日中の人出は相変わらずだ。2020年は感染者の急増が政策対応を迫り、株高をもたらした。日銀の金融政策は限界が近いから、21年もこの傾向が続くとは限らない。ただ、どんなときにも「大化け」する投資対象はある。20年は米テスラ株、ネパール市場、ビットコイン(BTC)だった。共通するのは意外感。21年も宝探しの知恵比べが始まっている。 米ナスダック市場で取引 テスラ・ネパール・BTC 宝物、21年も見つかるか
株高は歓迎されているのか 「赤信号」無視、格差も拡大 コラム 株式 12月30日 日経平均株価は12月29日に約30年4カ月ぶりの高値を更新したが、この強さが本物かどうかは異論があるかもしれない。多くの個人投資家が保有する22銘柄の株価水準はまだ2019年末水準を9.4%も下回っているからだ。感染者数の増加が生み出した緩和マネーは割高銘柄をより高く、割安銘柄をより安く導いた。貧富の格差は広がり、バブル崩壊懸念も募るなど、いびつな株高は問題含みだ。 日経平均の年初来上昇率は16 株高は歓迎されているのか 「赤信号」無視、格差も拡大
技術者よりもデザイナー デジタル化成功のカギ コラム 株式 12月23日 波乱の幕開けで始まった2020年の株式相場も、あと1週間となった。国内的に予想外だったのは首相の交代だ。乱暴な金融政策に頼る時代が終わり、デジタル化など地道な努力の積み重ねで成長を目指す方向になった。ただ、株式相場の格言では、21年の丑(うし)年は「つまずく」だ。デフレへの逆戻り懸念もくすぶるなか、菅義偉首相には旗振りだけでなく、具体的な実行を望みたい。 経験則では丑年の株式相場は期待できない。 技術者よりもデザイナー デジタル化成功のカギ
日銀は何をしたかったのか ETF買い10年の混迷 前田 昌孝 コラム 株式 12月16日 2010年12月15日に日銀が株価指数連動型の上場投資信託(ETF)を買い始めて10年が経過した。筆者の試算では14日現在、残高が時価ベースで45兆円強に達し、含み益は初めて10兆円を超えた。しかし、いまだに日銀が何のためにこんなことをしているのか、関係者の見方はバラバラだ。データを見る限りでは株価の押し上げには貢献したようだが、手腕を評価する声はあまりない。 本論に入る前に時節ものから。証券大 日銀は何をしたかったのか ETF買い10年の混迷
ジャポニズム論の虚実 株高シナリオ冷静に点検 前田 昌孝 コラム 株式 12月9日 テクニカルアナリストの大御所に1冊の本をいただいた。「ウィズコロナ 日本株にビッグウェーブがやって来る!」(かや書房、2020年)と題する対談本で、日経平均株価は2050年に何と30万円になるという。キワモノ本の感じもするが、30年間で11倍ならば年率では8.3%と、米ダウ平均の過去30年間の上昇率と同じだ。荒唐無稽なのか、あり得るシナリオなのか冷静に考えてみた。 日本テクニカルアナリスト協会の ジャポニズム論の虚実 株高シナリオ冷静に点検
GPIF、テスラ株急騰でホクホク 貸株停止1年の現実 前田 昌孝 編集委員 12月2日更新 「株価が下がるのは空売りのせいだ」。米テスラの株価急騰ぶりをみると、こんな発言をするのはひ弱な経営者だけではないかとの思いを新たにする。1年前、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が空売り用に外国株を貸すのを突如、停止した。この結果、年120億円の貸株料収入を失ったが、他方テスラ株だけで運用益を3000億円もかさ上げでき、差し引きでは大幅なプラスになった。それでもGPIFの貸株停止には疑問 GPIF、テスラ株急騰でホクホク 貸株停止1年の現実
目隠しシールと法務省令 株主総会「いいね」への道 11月25日 シンガポールの投資ファンドが郵送した東芝の議決権行使書が集計から漏れた問題は、株主総会の実務に絡む様々な課題をあぶり出した。なかでも書面投票のはがきに貼られた目隠しシールをはがす膨大な作業は、効率的な票の集計の障害になっており、法務省令を改正してでも解消した方が良さそうだ。新型コロナウイルス下で今後増えそうなオンライン(バーチャル)総会でも、議決権行使を巡って多種多様な問題が浮上する可能性がある 目隠しシールと法務省令 株主総会「いいね」への道
バフェット氏と日銀の差 市場を生かすかそれとも 前田 昌孝 編集委員 11月18日更新 筆者の手元の試算では、日銀が保有する上場投資信託(ETF)の含み益は11月17日現在で8兆5000億円を超え、過去最高を更新中だ。米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハザウェイの3月末以降の投資収益も約8兆9000億円に達した。アクティブ運用の投資家の選別投資は企業の優勝劣敗を促し、市場を活性化させる。近く満10年を迎える日銀のETF買いは、成功か失敗かも判然とし バフェット氏と日銀の差 市場を生かすかそれとも