ジンクスも無縁か DeNA佐野の一歩先をいく力 コラム プロ野球 3月5日 5年間の監督生活で最高の決断を問われれば、迷わず答えられる。昨季、米大リーグに移籍した筒香嘉智の後釜として、佐野恵太を主将兼4番打者に指名したことだ。「日本の4番」の後継が控え選手に務まるのか。多くの人は疑いの目でみていたはずだが、佐野は首位打者に輝く活躍で応えてくれた。 3人の外国人など強打者はほかにもいたが、佐野の4番は早くから決めていた。私が着目したのは、彼の「一歩先をいく力」だ。 201 ジンクスも無縁か DeNA佐野の一歩先をいく力
プロ野球監督5年 育てたコミュニケーションの芽 コラム プロ野球 1月29日 昨年までの5年間、DeNAの指揮を執った。日本のプロ野球で監督になるのは巨人でプレーしていた頃からの夢だった。しかし就任して最初に感じたのは、思い描いていた仕事と現実のギャップだ。 何より驚いたのは、監督はすべて自分の好きなようにチームを動かせるとは限らないということだ。就任前、自分が監督になったらこうしたいという様々な構想を抱いていた。だがそれらの実現には、予想以上に多くのハードルがあった。 プロ野球監督5年 育てたコミュニケーションの芽
木内監督の「ごじゃっぺが」 心の中でいつまでも 12月11日 11月24日午後7時すぎ。携帯電話の画面を見ると、茨城・常総学院高の先生の名前が表示されている。聞かずとも話の内容は分かっていた。恩師である木内幸男監督は別れも告げず、逝ってしまった。 とうとうこの時が来てしまった。高校野球に人生を捧げ、名将と呼ばれた89年の人生に恐らく悔いはないだろう。もう年だからと、人生が終わることを本人は恐れてはいなかった。最後まで木内監督らしい生き方である。悲しいわけで 木内監督の「ごじゃっぺが」 心の中でいつまでも
毎日一緒に素振り100回超 情の人、武上さんの教え 11月8日 「監督、仁志を使ってやってください」。ベンチ裏で代打の準備をしていると、武上四郎さんの野太い声が聞こえてきた。即座に聞こえてきたのは長嶋茂雄監督の甲高い声。 「よし、仁志でいこう!」 私は勢いよくベンチを飛び出した。満員の東京ドーム。照明の光と響き渡る歓声はベンチ裏とは別世界である。 マウンドには広島・山内泰幸投手。1球、2球とボールを選び、4球目でカウントは3ボール1ストライクとなった。次は恐 毎日一緒に素振り100回超 情の人、武上さんの教え
忘れられない熱血指導 守備の魅力教えてくれた師匠 10月2日 恩師の一人、土井正三さんが亡くなって10年以上がたつ。私自身の日本でのプレーも土井さんが亡くなった2009年が最後。長らくプロ野球選手としてプレーできたのも、二塁手というポジションをこなせるようになったのも、土井さんの存在は非常に大きい。亡くなられたのは9月。この季節になると、土井さんとの思い出がよみがえる。 亡くなる直前、試合前にご自宅へお見舞いに行った。ベッドに横たわる土井さんは、私に熱血指 忘れられない熱血指導 守備の魅力教えてくれた師匠
真摯に寄り添う 米若手キャンプで学んだ指導の極意 8月28日 もう4年ほど前になる。2016年9月、メジャーリーグ、アリゾナ・ダイヤモンドバックスの若手マイナー選手のキャンプに2週間ほど参加させてもらった。もちろん、選手ではなくコーチとして学ぶためにである。 ダイヤモンドバックスのキャンプ地はアリゾナ州スコッツデール。フェニックス・スカイ・ハーバー国際空港から23キロほどの場所にロッキーズと共有のメイン球場と、いくつもの練習用球場などが敷き詰まった広大な施 真摯に寄り添う 米若手キャンプで学んだ指導の極意
長嶋監督のプラス思考 言葉に人を引き付ける魅力 7月24日 「野球というスポーツは人生そのものだ」 長嶋茂雄読売巨人軍終身名誉監督はサインと一緒にいつもこう書く。野球を愛し、野球に愛される人が感じる人生観。言葉以上に深い意味が込められているのだろうと思っていたが、若い頃の私には実感することができなかった。 しかし、引退してから10年。過去やこれからのことを客観的に考えるようになり、ようやくわかったような気がする。最近、長嶋監督の言葉がよく頭を駆け巡る。 長嶋監督のプラス思考 言葉に人を引き付ける魅力
懐かしの独立リーグ 野球の楽しさを教えてくれた 6月19日 2010年6月、米ペンシルベニア州ランカスターという小さな田舎町で引退を迎えてから、ちょうど10年になる。 ランカスターは日本でいえば秋田県あたりの北緯。ニューヨークから西に、車で3~4時間ほど走る。町には自給自足で生活するアーミッシュというドイツ系移民が生活している。買い物に行くと、駐車場に馬車が止まっていることもあり、観光地としても知られる。 15年間のプロ生活の最後に、私が在籍したランカス 懐かしの独立リーグ 野球の楽しさを教えてくれた
泣ける子供は強くなる だから負けず嫌いのすすめ 5月15日 「侍ジャパンU12」に関わって、今年で7年目になる。1期目の子供たちは今年高校3年生。高校最後の年であり、ドラフトに関わる年でもある。子供たちの成長も、指導する楽しみだといえる。 U12は、国際大会のために毎年つくられる12歳以下の日本代表チームだ。軟式球で行うアジア選手権と、硬式球で行うワールドカップが、隔年で交互に開催され、昨年はワールドカップが台湾で開催された。 3度目の挑戦。過去2回は6 泣ける子供は強くなる だから負けず嫌いのすすめ
センバツ中止 今を乗り越え、次の目標を 4月10日 センバツ高校野球が開催中止となってしまった。球児たちには無念で残酷な決断となった。世の中の状況を鑑みれば妥当な判断だが、一生にそうあるチャンスではない。泣き崩れる気持ちは手に取るように理解できる。ただ、次なる目標がまたやってくる。今を乗り越えて立ち上がってほしい。 球児たちの姿を見て、現役時代の2002、03年ごろ、ケガと不振にあえぎ、目標を見失いかけて弱気になっていた時期をふと思い出した。球児 センバツ中止 今を乗り越え、次の目標を