「ゆるふわ立憲主義」の国 改正コロナ特措法の本質 菅内閣 新型コロナ 清水 真人 編集委員 コラム 2月16日 新型コロナウイルスに対応する改正特別措置法が13日に施行された。緊急事態宣言に準じる「まん延防止等重点措置」を新設。どちらでも事業者の営業時間短縮などに命令と行政罰を導入したが、政府の補償は義務化しない。機動的な対策へ行政の裁量を広げるが、国会や司法などによる統制は緩い「ゆるふわ立憲主義」が続く。権限が分散する国と地方の調整も変わらず難題だ。 ■付帯決議は「国会のラブレター」 「まん延防止等重点 「ゆるふわ立憲主義」の国 改正コロナ特措法の本質
首相主導が逆回転するとき 小選挙区制の天国と地獄 菅内閣 清水 真人 編集委員 コラム 2月2日 二大勢力が政権を争う想定の小選挙区中心の衆院選。公認権や政党交付金の配分権を握り、「選挙の顔」となる党首の求心力が増す。与党党首=首相は「顔」であり続けるため、政権運営で首相主導の演出に腐心する――。平成の統治構造改革がもたらしたこの首相主導のセオリーが逆回転し、一気に遠心力が働き始める瞬間がある。首相の菅義偉はその岐路に立つ。 ■政治改革の「逆説的な帰結」 「『官邸主導』や『首相支配』のように 首相主導が逆回転するとき 小選挙区制の天国と地獄
財務省主計局は目を覚ますか 日経ヴェリタス 日経ヴェリタスセレクト 清水 真人 編集委員 1月31日 国会で2021年度予算案の審議が始まる。新型コロナウイルス感染症対策や経済危機への対応が最優先で、一般会計総額は3年連続で100兆円を突破。財政規律は置き去りになりがちだ。そんな予算編成から、近ごろ珍しい話が聞こえてきた。財務省の責任者である矢野康治主計局長が、菅義偉首相から何度も怒鳴られていたというのだ。 看板政策への予算増、首相が迫る 「そんな話など聞かないぞ!」 暮れの12月上旬の首相官邸 財務省主計局は目を覚ますか
「補正後予備費5兆円」の皮肉 見せ金が一転切り札に 菅内閣 新型コロナ 税・予算 編集委員 コラム 1月19日 菅義偉内閣は年末年始を挟んで、新型コロナウイルス感染症対策予備費を1兆円超、急きょ追加投入した。財務省は2020年度第3次補正予算案の編成で、年度末を控えて同予備費を5兆円も積み残していた。総合経済対策の財政支出を大きく演出する狙いで、できる限り「見せ金」として温存するつもりだった。それが緊急事態の再宣言で一転、コロナ対策の切り札として頼られる皮肉な展開だが、国会はカヤの外だ。 ■財政民主主義の 「補正後予備費5兆円」の皮肉 見せ金が一転切り札に
データ基本権とは何か 「新しい中世」の憲法改正案 菅内閣発足 清水 真人 編集委員 政治 コラム 12月22日 憲法の「個人の尊厳」の原理を、デジタル時代を迎えてサイバー空間にも広げる。自分に関する情報の扱いは自分が決める「データ基本権」を明記。言論の流れや経済活動を左右し、国家に対抗しうる力を持つグーグル、フェイスブックなど巨大プラットフォーマーの責務も書き込む――。憲法改正に向けた論点整理の一環で、野党の国民民主党がこんな論争的な条文イメージ素案を打ち出した。菅義偉内閣が推進するデジタル改革にも一石を データ基本権とは何か 「新しい中世」の憲法改正案
小泉環境相が見た首相決断 「脱炭素」へのルビコン SDGs 菅内閣発足 清水 真人 政治 コラム 12月8日 首相の菅義偉が掲げた2050年までに温暖化ガスの排出量を実質ゼロにする脱炭素社会の実現。企業の技術革新を支援する2兆円基金の創設、30年代半ばに自動車の新車販売を電動車に限る新目標など次々に手を打つ。環境相の小泉進次郎が孤軍奮闘した安倍晋三前内閣とは様変わりだ。原子力発電の扱いやカーボンプライシング(炭素の価格付け)などで攻防も始まった。 ■二階派が仕切る原発活用論 「産業構造や経済社会の変革に 小泉環境相が見た首相決断 「脱炭素」へのルビコン
憲法改正の転機 安倍流迷走の本質と議論の作法 清水 真人 菅内閣発足 編集委員 コラム(政治) 政治 11月24日 衆院憲法審査会で19日、今国会で初めて自由討議があった。首相は理念型の安倍晋三から実務型の菅義偉に代わった。野党陣営は再編途上で隊列が乱れがち。憲法改正の潮目も変わるかもしれない。ただ、「安倍1強」の下で改憲論議が迷走に終わったのはなぜだったのか。特に推進側の自民党にここで議論の作法の検証と新たな工夫がなければ、空回りが続きかねない。 ■改憲が自己目的化しがちな自民 19日の衆院憲法審。自民党と最 憲法改正の転機 安倍流迷走の本質と議論の作法
小選挙区世代のスガノミクス 消費者目線と政治主導 携帯料金見直し 清水 真人 菅内閣発足 編集委員 コラム(政治) 政治 11月10日 ビジョンを掲げるより、個別の課題で一つ一つ結果を出していく一点突破型の首相の菅義偉。経済政策は規制改革の重視で新自由主義に傾くようでいて、携帯電話料金の引き下げなどは政府介入色も強く、読み解きづらい。そんなスガノミクスに引くべき補助線は自ら名乗る「小選挙区世代」だ。定数1の戦いで当選を狙うのに特定業界の支持では不十分で、幅広い集票には一般消費者目線が必須だ、との意識が政策展開の底流にある。 ■大都 小選挙区世代のスガノミクス 消費者目線と政治主導
菅官邸の政策会議再編 ちらつく竹中平蔵氏の影 清水 真人 菅内閣発足 編集委員 コラム(政治) 政治 10月29日更新 首相の菅義偉が指揮する政策推進体制が見えてきた。経済財政諮問会議を「司令塔」に首相官邸の政策会議を再編。目玉のデジタル改革の全体像を閣僚級で議論する場が複数あるなどなお試行錯誤も続く。実務者として前内閣で主導権を握った経産官僚グループが失速し、首相補佐官の和泉洋人(国土交通省出身)らが重みを増す。東洋大教授の竹中平蔵の影もちらつく。 ■組閣翌々日の朝食会 「首相がど真ん中の司令塔と位置づけるのは経 菅官邸の政策会議再編 ちらつく竹中平蔵氏の影
菅首相と「学問の自由」の激突 学術会議の任命拒否 清水 真人 菅内閣発足 編集委員 コラム(政治) 政治 10月13日 日本学術会議の会員任命問題が憲法論争にまで発展してきた。首相の菅義偉は憲法23条が保障する「学問の自由」とは「全く関係ない」と断じ、15条の国民の公務員の選定・罷免権に首相は責任を負うべき立場にあるとして、任命拒否を根拠づける。これに憲法学者らから「専門分野の自律性への人事介入で、学問の自由に直結する」(東大教授の石川健治)と真っ向から反論が相次ぎ、激突の様相だ。 ■首相の人事権を実質化 「これは 菅首相と「学問の自由」の激突 学術会議の任命拒否