IoTとプラットフォームビジネス(1) 「CPS」が生む新しい価値 2月26日 すべてのモノがインターネットにつながる「IoT」という技術トレンドの中で、プラットフォームビジネスが注目されています。この連載ではその構造的特徴や成長メカニズムなどをわかりやすく論じます。 プラットフォームは「GAFA」と呼ばれる米IT(情報技術)大手に代表される企業・消費者間のBtoCや消費者間のCtoCだけでなく、今では企業間のBtoBにも存在します。しかし、プラットフォームは実に多義的です IoTとプラットフォームビジネス(1) 「CPS」が生む新しい価値
世界の変化と国際分業(10) 自由貿易はどこへ向かうか 2月25日 2020年11月、日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など15カ国が、地域包括的経済連携(RCEP)に署名しました。 その後、中国は環太平洋経済連携協定(TPP11)への参加意欲を示し世界を驚かせました。高い次元の自由化を掲げるTPPへの加盟には、産業補助金や国家による企業統制を改めるなど、抜本的な構造改革が必須です。中国を自由貿易で包囲し、中国の構造改革を促す意図もあったTPPですが、中国 世界の変化と国際分業(10) 自由貿易はどこへ向かうか
世界の変化と国際分業(9) 「地産地消」体制は可能か 2月24日 国際経済論では生産企業が海外展開する動機の一つに、輸出先市場との貿易摩擦の回避をあげています。中国で売るものは中国で、米国で売るものは米国で作れば、貿易摩擦のリスクを回避できます。 中立的なグローバルサプライチェーン(GSC)を目指すと同時に地産地消化もまた戦略の一つとなるのです。保護主義下にあっては、自由貿易に基づく経済合理性は横に置き、リスクが少ない地産地消の立地戦略が有効となります。 既に 世界の変化と国際分業(9) 「地産地消」体制は可能か
世界の変化と国際分業(8) サプライチェーンの中立化 2月23日 米中対立による技術分断で米国フリー、中国フリー、あるいは中立的なグローバルサプライチェーン(GSC)がどの程度必要となるかは分かりません。ただし、不確実性が高まれば、企業はその政策リスクに備える必要があります。 政策リスクが高いのは①GSCに参加する企業数が多く、生産立地の範囲と生産規模が大きい産業②米中が囲い込もうとする核心的技術を使用する産業③代替品を見つけにくい産業――でしょう。自動車、情 世界の変化と国際分業(8) サプライチェーンの中立化
世界の変化と国際分業(7) 米中覇権争いの結末 2月22日 米中のデカップリング(分断)が世界経済の新たな秩序になれば、世界経済は東西冷戦以来、再び対立の時代に戻ってしまいます。自由貿易の原則によって企業の自由な生産活動が保証され、高い経済合理性の下で完成したグローバルサプライチェーン(GSC)も再編が必要となります。 米国は中国通信大手の華為技術(ファーウェイ)への米国技術の供給を禁じ、同社と取引をする第三国の企業にも制裁をかける措置を発動しました。一 世界の変化と国際分業(7) 米中覇権争いの結末
世界の変化と国際分業(6) ベトナムが直面する懸念 2月19日 米中対立によって中国からベトナムへの生産転換の動きは加速しています。2019年末以降、韓国のサムスン電子が中国でのスマートフォンとノート型PCの生産を順次、ベトナムに移管していることが象徴的な動きです。 こうしたグローバルサプライチェーン(GSC)の再編によって、米国の貿易赤字の相手国も変化しています。18年の米国の貿易赤字上位国は中国、メキシコ、ドイツ、日本、アイルランドで、ベトナムは4%超を 世界の変化と国際分業(6) ベトナムが直面する懸念
世界の変化と国際分業(5) 付加価値で見る貿易の実態 2月18日 米国のトランプ政権は2018年から段階的に対中制裁関税を発動しました。中国もやり返し、制裁と報復の応酬となりました。 18年の米国の貿易赤字総額に占める対中赤字額のシェアは47%になります。19年には対中シェアは約7ポイント減り、代わりにメキシコ、日本、ドイツ、ベトナムなどのシェアが軒並み上昇しました。これは貿易転換効果によるもので、関税率が不利となる(なりそうな)中国生産品が他国生産によって代 世界の変化と国際分業(5) 付加価値で見る貿易の実態
世界の変化と国際分業(4) ベトナムが選ばれる理由 2月17日 新型コロナの感染拡大を受け、日本政府は強靱(きょうじん)な経済構造の構築を目的に、企業のサプライチェーン再編を支援しています。海外生産の日本回帰に加え、グローバルサプライチェーン(GSC)を多元化し、日本と東南アジア諸国連合(ASEAN)との生産ネットワークを強靭化するのが狙いです。 中国を名指ししていないものの事実上のチャイナプラスワンを政策支援する初めての事業となります。設備導入補助型とされ 世界の変化と国際分業(4) ベトナムが選ばれる理由
世界の変化と国際分業(3) 中国依存が抱えるリスク 2月16日 2000年代後半から中国の労務コストが上昇し、輸出企業はより賃金の安い国へ生産拠点を移すようになりました。また、中国に過度に集中した自社の生産体制をリスクと捉え、生産分散を行う動きも見られるようになりました。 中国生産に伴うリスクには①四川大地震や重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行といった自然災害・感染症②賃金上昇や社会保険の負担増、労働法制変更による労務管理の厳格化など、高度化に伴う社会変 世界の変化と国際分業(3) 中国依存が抱えるリスク
世界の変化と国際分業(2) 世界の工場となった中国 2月12日 国内生産で十分な価格競争力を保持できた日本の輸出企業は、1985年のプラザ合意による円高で低コスト生産のための海外進出を余儀なくされました。日本の製造業はタイ、マレーシアなどの東南アジアに進出し、少し遅れて中国へも海外生産の場を広げるようになりました。 中国は比較生産費で見れば安価で良質な労働力が最大の魅力です。しかし、投資保護や経済関連法制の不備、共産党支配下の政治体制などは大きな不確実性でし 世界の変化と国際分業(2) 世界の工場となった中国