実験で考える労働生産性(1) 信頼性の高い証拠を得る 5月17日 労働生産性の向上は、労働者個人にとっても、組織にとっても重要な問題です。先輩・上司・管理職といった他人の労働生産性を引き出すことが求められる立場になると、その問題はより重要になるでしょう。 労働生産性の向上には、報酬制度の設計や目標管理など多くの手法があります。どのような方法が労働生産性向上に役立つかは、人的資源管理・産業心理学・労働経済学などの分野で研究が進んでいます。しかし、現実には様々な要 実験で考える労働生産性(1) 信頼性の高い証拠を得る
人口減少社会と移民政策(10) 受け入れに不可欠な統合政策 5月16日 人口減少社会・日本にとって、還流型受け入れによる労働力供給は、持続可能ではありません。 加えて、還流型受け入れは、妊娠・出産など人間として当然の営みを想定していません。法務省や厚生労働省などは、雇用主に妊娠・出産を理由とした不利益な取り扱いを禁ずる文書を発出していますが、問題の根幹は人間を「労働力」として扱う受け入れ制度ではないでしょうか。 さらに、「移民」という言葉を避け、移民(定住型外国人) 人口減少社会と移民政策(10) 受け入れに不可欠な統合政策
人口減少社会と移民政策(9) 実態に追いついていない政策 5月13日 政府はなぜ、「移民政策ではない」と強調するのでしょうか。 2018年の党首討論で、「移民」の定義を問われた安倍晋三首相(当時)は、「国民の人口に比して一定程度のスケールの外国人、およびその家族を、期限を設けることなく受け入れることによって、国家を維持していこうとする政策」が、政府としての移民政策だと答えました。確かに日本は、永住を前提に一定規模の外国人を受け入れる政策をとっていません。 新規に来 人口減少社会と移民政策(9) 実態に追いついていない政策
人口減少社会と移民政策(8) 移民を避ける政策の問題点 5月12日 近年、日本でも「移民」という言葉に接することが多くなりました。しかし、国際的に共通する移民の定義はありません。 2008年6月、自民党の「日本型移民国家への道プロジェクトチーム」は、50年間で1千万人規模の移民受け入れを提言しました。そこでは国連の定義を参照して、通常の居住地以外の国に移動し、少なくとも12カ月間居住する人を移民とし、「日本の人口危機を救う効果的な治療法は、海外からの移民受け入れ 人口減少社会と移民政策(8) 移民を避ける政策の問題点
人口減少社会と移民政策(7) 「還流型」受け入れの限界 5月11日 「外国人材の活用」というかけ声のもと受け入れが拡大しているのは、通算滞在期間が設定され、家族帯同が認められていない「還流型」外国人です。その代表が技能実習生と、創設された特定技能1号です。 一見効率的な還流型の受け入れは、常に国境が開いていることが前提です。新型コロナウイルスの感染拡大は、労働力供給源を国外におき、必要に応じて「調達」することのリスクを顕在化させました。 事実上の国境封鎖で技能実 人口減少社会と移民政策(7) 「還流型」受け入れの限界
人口減少社会と移民政策(6) 「特定技能」創設の思惑 5月10日 2018年12月、深刻な労働力不足を解消するため、入管法が改定され(19年4月施行)、新たな在留資格「特定技能」が創設されました。東京五輪開催準備や震災復興での建設・造船分野における緊急措置を例外とすれば、日本政府は初めて、労働力不足への対応としてフロントドアから外国人労働者を受け入れる決断をしました。サイドドアからの供給だけでは、労働力需要を満たせなくなったためともいえます。 ただし、どのよう 人口減少社会と移民政策(6) 「特定技能」創設の思惑
人口減少社会と移民政策(5) 技能実習生急増の背景と課題 5月6日 フロントドアからの専門的・技術的労働者以外では、どのような外国人が、どのような職種で働いているのでしょうか。 入管政策における「90年体制」のもと、増加したのは南米からの「出稼ぎ」外国人です。かつての日本人移民の子孫が、就労に制限のない「定住者」などの身分系在留資格で来日するようになりました。日系南米人は自動車や電気機器、近年では食料品などの製造業で、間接雇用で働くケースが多いことが特徴です。家 人口減少社会と移民政策(5) 技能実習生急増の背景と課題
人口減少社会と移民政策(4) 「単純労働」を支え続けた外国人 5月5日 日本で働く外国人労働者数は2008年以降、毎年10月末現在の雇用状況届け出数が公表されています。届け出の対象は、雇用されているニューカマー外国人で、08年の48.6万人から、16年には100万人を超えました。新型コロナウイルスの感染拡大で増加率は鈍化したものの、21年には172.7万人と過去最高を記録しています。 この制度が導入された当初は、雇用主からの届け出が徹底されず、実態よりも公表数値がか 人口減少社会と移民政策(4) 「単純労働」を支え続けた外国人
人口減少社会と移民政策(3) 労働力不足と外国人労働者 5月4日 日本はかつて移民送り出し国でしたが、1980年代後半に外国人労働者受け入れ国へと転換しました。バブル景気の労働力不足の時代、生産現場や建設現場で働く外国人を見かけるようになりましたが、そのほとんどは正規の就労資格のない外国人でした。 実態としての増加を受けて、外国人労働者受け入れの是非が議論されました。88年には専門的・技術的労働者は受け入れる一方、いわゆる「単純労働者」は十分慎重に対応するとい 人口減少社会と移民政策(3) 労働力不足と外国人労働者
人口減少社会と移民政策(2) 増える外国人と減る日本人 5月3日 国立社会保障・人口問題研究所は、2017年公表の将来推計人口で、初めて外国人の受け入れ規模に応じた条件付き推計を公表しました。00年の国連報告書では、日本の総人口を維持する補充移民数は毎年34万人でした。しかし、15年の国勢調査をもとにした推計では、毎年50万人の外国人を受け入れても、総人口は減少するというのです。 こうした推計が公表された意図は何でしょうか。外国人を受け入れても、人口問題は容易 人口減少社会と移民政策(2) 増える外国人と減る日本人