「勝利」しかない専制主義 進む中国の現実離れ 中国・台湾 コラム 政治 5月14日 5月初めの連休が明けてすぐ、中国でまたタガがはずれた音がした気がした。 新型コロナウイルスのゼロコロナ対策で混乱が続くなか、様々な省や市、区で相次ぎ緊急会議が開かれた。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席が5日に共産党最高指導部の会議で演説し「わが国の防疫政策を疑い、否定するあらゆる言動と断固戦う」と厳命したことを受けたものだ。 事実上の都市封鎖(ロックダウン)下にある上海市でも急きょ市や区で 「勝利」しかない専制主義 進む中国の現実離れ
日本のガラパゴス投票は変わるか 兵庫 コラム 政治 5月7日 夏の参院選で「民主党」と書かれた票が立憲民主、国民民主の2党に振り分けられる公算が大きくなった。両党がともに「民主党」を略称として用いようとしている。有権者がどちらに入れたか判別できず、得票割合で票を割り振る「案分」になるとみられる。 この問題は日本の投票方式と不可分だ。日本の国政選挙は投票用紙の空欄に政党や候補者の名前を手書きする「自書式」を採用する。名前の記述を有権者に委ねるため、投票先が判 日本のガラパゴス投票は変わるか
対ロシア、融和の後遺症 赤川 省吾 ウクライナ侵攻 編集委員 コラム 政治 4月30日更新 遅すぎた謝罪だった。「私はロシアを見誤った。これほどプーチン大統領が帝国主義的な妄想にとりつかれているとは思わなかった」。4月上旬、ドイツのシュタインマイヤー大統領は独メディアとの懇談で後悔を口にした。 対ロシアで警戒心に欠け、対話偏重だったドイツ。その政策をけん引したのがシュタインマイヤー氏だ。プーチン氏と蜜月のシュレーダー政権で要となる首相府長官。その後のメルケル政権では政策通の外相としてロ 対ロシア、融和の後遺症
「新常識」へ欠かせぬ想像力 アジアの中の日本に重責 G7首脳会議 政治 4月23日 以前に担当した自動車メーカーのトップに「経営における戦略的思考はどう磨いているのですか」と尋ねたことがある。「『あり得ない』と思うことをひたすら考え続けることだ」というのが答えだった。 国際社会は今、あからさまな武力による侵略という予想だにしなかった悲劇を目の当たりにしている。欧州諸国のそれへの反応もこれまでなら「あり得ない」ものばかりだ。 中立国の立場を破るようなスイスなどによるウクライナ支援 「新常識」へ欠かせぬ想像力 アジアの中の日本に重責
時代が要請する「日韓同舟」 北朝鮮 政治 4月16日 「アリの一穴」の格言が頭をよぎる事例が続く。 3月24日に北朝鮮が日本海に飛ばした大陸間弾道ミサイル(ICBM)を、韓国国防省が既存の「火星15」だったと結論づけた同じ日、岸信夫防衛相は新型との分析を崩さなかった。 昨年10月の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射も、防衛省の「2発」と米韓両当局の「1発」で食い違った。「日韓の情報共有がうまくいっていない」のが専門家の見立てだ。 安全保障のアリ 時代が要請する「日韓同舟」
ロシア侵攻、2014年の教訓 「専制主義」結集どう防ぐ ウクライナ侵攻 政治 4月9日 ロシアのウクライナ侵攻を食い止めるのに一役買っているのが、米国が提供した「ジャベリン」と呼ばれる対戦車ミサイルだ。全長1・2㍍で携行でき、多くの訓練を要しない。最大2・5㌔㍍ほど先の標的を自動的に追尾し、戦車の装甲を貫く。 欧州諸国もウクライナに類似の武器を供与した。ロシアは戦車を数百両失ったとされ、首都キーウ(キエフ)陥落をめざす戦術の修正を余儀なくされる一因になった。 2014年におきたロシ ロシア侵攻、2014年の教訓 「専制主義」結集どう防ぐ
サイバー「専守防衛」の穴 ウクライナ侵攻が映す脅威 ウクライナ侵攻 政治 4月2日 ペリー来航で知られる神奈川県横須賀市は幕末から海軍の街として繁栄してきた。戦後も米海軍の第7艦隊が横須賀港を拠点とする。そんな歴史ある海の街にも新たな息吹がふき込む。サイバーの風だ。 国際社会がウクライナの戦火を目の当たりにした3月1日。市内の陸上自衛隊通信学校が多国間のサイバー競技会を初開催した。 米豪仏比など7カ国が3人一組のチームをつくり、仮想空間でサイバー攻撃に対処した。実戦さながらの共 サイバー「専守防衛」の穴 ウクライナ侵攻が映す脅威
自民、政策新地図の深層 成長分野の「目利き力」示す コラム 政治 3月26日 2022年度予算が成立し、自民党で早くも次の予算を想定した議員活動が活発になってきた。成長の見込める分野に入り込んでかゆいところに手の届く政策支援を唱える。 「サプライチェーン(供給網)づくりでの世界トップ企業との連携、人材育成などやるべきことが山ほどある」。半導体戦略推進議員連盟の関芳弘事務局長は力説する。 菅政権時代の21年5月に議連を立ち上げた。前月の日米首脳会談で共同声明に半導体を含む供 自民、政策新地図の深層 成長分野の「目利き力」示す
運河に並んだロシア国旗 30年後の東西断裂 ウクライナ侵攻 坂本 英二 編集委員 コラム 3月19日 ロシア大統領の執務室があるクレムリンの建物を訪れたことがある。「赤の広場」に面した通用口から歩いて数分。1998年9月、首相を退いたばかりの橋本龍太郎氏に同行し、当時のエリツィン大統領がにこやかに出迎えた。 今年に入ってプーチン大統領は、白い美しい柱が印象的なその部屋で各国要人と相次いで会談した。平和への訴えを冷徹な表情で拒む姿は、旧ソ連時代への先祖返りを思わせた。 ロシア軍のウクライナへの全面 運河に並んだロシア国旗 30年後の東西断裂
不条理と不正義、暴力の世界 日本に必要な現実主義 ウクライナ侵攻 北朝鮮 米中衝突 岸田政権 3月12日 正義とは「強者がいかに大をなしえ、弱者がいかに小なる譲歩をしうるかの可能性しか問題にならない」。古代ギリシャの歴史家・トゥキディデスの書にはこんな言葉がある。 ロシアが強大な軍でウクライナに侵攻した。ある日を境に生活は崩壊し死の恐怖が迫る。民間人も銃をとり、倒れていく。圧倒的な不条理と不正義、暴力に戦慄した人も多いはずだ。 ゼレンスキー大統領は9日、産科病院が空爆を受けたと指摘し「大人や子供が残 不条理と不正義、暴力の世界 日本に必要な現実主義