空き家、空き地を農園に 人口減社会の市街地再生 関西 大阪 4月4日 大阪市の南西部、住之江区の北加賀屋はかつて造船の街だった。約40年前に造船所が閉鎖し、関連工場も次々と姿を消し人口も減ったが、2000年代半ば以降、アーティストやクリエーターが集まる「アートの街」として再生してきた。 工場跡などにアトリエやギャラリーが入り、街角には色鮮やかな壁画の数々。風景になじんで見えるのは、SNS(交流サイト)で写真が拡散された成果だけでなく、日常の息づかいが感じられるから 空き家、空き地を農園に 人口減社会の市街地再生
「被災弱者」今もなお 東日本大震災10年、届かぬ支援 3月28日 東日本大震災から10年が経過した。この間、被災者の生活再建や産業再生を目的に巨額の復興資金が投入されたが、被災地には今も、公的な支援制度から外れ、厳しい生活を余儀なくされる「被災弱者」がいる。 宮城県石巻市貞山。旧北上川につながる北上運河の近くで一人暮らしをする佐藤悦一郎さん(76)の自宅を外から見ると、被災の痕跡はない。しかし、1階の台所下や風呂場などは津波が運んできた泥などが残り、腐った柱に 「被災弱者」今もなお 東日本大震災10年、届かぬ支援
「日本のいちばん長い日」余話、千葉で零戦の機体発見 和歌山 章彦 コラム 編集委員 3月21日 本土決戦か、無条件降伏か――。半藤一利さんの著書「日本のいちばん長い日」は、1945年8月15日正午の昭和天皇の玉音放送に至るまでの激動の24時間を、関係者の証言で浮き彫りにした。 クーデターを画策する陸軍の一派は、阿南惟幾陸相の決断に期待した。が、ポツダム宣言受諾の方針に抗議の辞職をせず自刃した。「聖断」に従ったのだ。本書は映画化され、三船敏郎が阿南を演じた。 一方、終戦の詔書が放送される数時 「日本のいちばん長い日」余話、千葉で零戦の機体発見
広がるナラ枯れ被害、放置巨木化で「負のサイクル」 3月7日 ナラ類やシイ・カシ類などのブナ科の広葉樹が集団で枯死する「ナラ枯れ」の被害が近年広がっている。カシノナガキクイムシ(カシナガ)が媒介する糸状菌(カビ)が引き起こす伝染病で、樹木は根から水を吸い上げる機能を失って枯死する。 ナラ枯れは夏から秋にかけて山腹の広葉樹林が突然赤や褐色になって景観を一変させる。1980年代以降、被害拡大が続き、林野庁の集計によると、2020年度は42都府県で確認。被害材量 広がるナラ枯れ被害、放置巨木化で「負のサイクル」
震災10年、既存集落への高台移転に見る生活再建 東日本大震災10年 2月28日更新 東日本大震災の発生からまもなく10年。津波被害で生活の基本である住まいを失った人々を対象にした市街地復興は事業に時間を要したりコミュニティーを考慮しなかったりした結果、土地が利用されない事例が少なくないが、岩手県大船渡市での高台移転では既存集落の空き地を活用、コミュニティーを維持した短期間の住宅再建を成就した。 越喜来湾を前にする同市越喜来地区。死者・行方不明者88人、全半壊など533戸の被害が 震災10年、既存集落への高台移転に見る生活再建
闇バイトが映す犯罪の変質、「半グレ」が新たな脅威に 坂口 祐一 編集委員 2月21日 「もうかる仕事、あります。たたくか、かけるか、書くか。どれがいいですか」――。こんな誘いの文句が、スマートフォンの画面に浮かび上がる。 ちょっとしたアルバイトの募集、といった軽いノリ。だがこのSNS(交流サイト)上での闇バイトの勧誘こそが、いまの犯罪のありようを象徴している。 「たたく」は電話で資産状況を探ったうえで押し入るアポ電強盗。「かける」はオレオレ詐欺などで被害者宅に電話をする「かけ子」 闇バイトが映す犯罪の変質、「半グレ」が新たな脅威に
雨森芳洲に見る日韓関係、「欺かず、争わず」今こそ 毛糠 秀樹 コラム 編集委員 2月7日 「人間という存在に対する限りない優しさであるといえるだろう」。江戸時代、対馬藩に仕えた雨森芳洲(あめのもり・ほうしゅう、1668~1755)の人柄の特徴を司馬遼太郎は、こう残した。将軍の代替わりに訪れた500人の外交団「朝鮮通信使」の応接役として、堪能な語学を操り、友好を旨として職務にあたった。今の日韓関係へも多くの示唆を与える。 芳洲は滋賀県長浜市高月の生まれ。今も「雨森」の名を冠した集落が残 雨森芳洲に見る日韓関係、「欺かず、争わず」今こそ
立ち往生する夫婦別姓論議、「伝統」の呪縛いつまで 大島 三緒 1月31日 民俗学者の柳田国男が昭和初期に書いた「明治大正史世相篇」は、目からウロコの名著だ。この本を読むと、人々が古くから受け継いできたはずの風習や制度の多くが、じつは近代の所産であることがわかる。 一例を挙げれば、明治以降の日本の食物はそれまでより温かく、柔らかく、そして甘くなった――という指摘が興味深い。鍋料理など「僅々五六十年内の発明であり、また普及である」と柳田は看破した。 およそ日本の「伝統」な 立ち往生する夫婦別姓論議、「伝統」の呪縛いつまで
絵本の読み聞かせは今 遠隔でも思い伝わる コラム 1月24日 絵本を通じて子どもの心を豊かにする読み聞かせ活動。全国各地で営まれ、本離れの防止に貢献してきた。新型コロナウイルス禍で対面では難しくなった今、「対面が本来」という葛藤を越え、オンラインで開催する試みが芽吹いている。 「うまれるまえ わたし くものうえにいたの……」。ひだのかな代さんの絵本「うまれるまえのおはなし」を、読み手の佐賀のり子さんがパソコンを前に朗読する。2020年に行われた「オンライン 絵本の読み聞かせは今 遠隔でも思い伝わる
国税当局で相次ぐ不祥事、国民からの信頼を失うな 1月17日 国税当局で職員の不祥事が相次いでいる。現職の税務署職員が新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったとして詐欺容疑で逮捕されたほか、消費税の不正還付や大麻関連の事案も起きている。 人事院の資料によると、在職者数が約5万8千人いる国税庁では年間50件前後の懲戒処分がある。懲戒処分数を在職者数で割った比率は0.09%(2019年)で、他の省庁と同程度。20年は1~9月で28件と処分数が突出して 国税当局で相次ぐ不祥事、国民からの信頼を失うな