不忍・昌平橋通り(東京・文京など) 神話と歴史たどる道 東京 2月27日 東京都文京区の不忍通りから千代田区の通称・昌平橋通りを歩く。下町の住宅街とオフィス街をつなぐ舗道は日本の神話と文化をたどる「歴史街道」でもある。 不忍通り北側の根津神社(文京区)は1900年余前、日本武尊が創建したと伝わる都内屈指の古社だ。代表的な祭神は須佐之男命(すさのおのみこと)。古事記にも度々登場し、三種の神器の一つ、草薙剣の出現につながる「八岐大蛇(やまたのおろち)退治」を果たした。 不忍・昌平橋通り(東京・文京など) 神話と歴史たどる道
農村保健館(埼玉・所沢) 感染症と闘う保健所のルーツ コラム 2月20日 新型コロナウイルス対応の最前線で、検査・入院の調整、感染経路調査などを担う保健所。その先駆けの「農村保健館」は1937年、現在の埼玉県所沢市で活動を始めた。西武線の所沢駅前ロータリーの一角に記念碑が残る。周辺は大型商業施設が並ぶが、開設当時はまだ田園地帯だった。 関東大震災の復興支援の一環で、30年に米ロックフェラー財団が公衆衛生の担い手育成の援助を申し出たことが発端という。財団からの寄付が遅れ 農村保健館(埼玉・所沢) 感染症と闘う保健所のルーツ
小石川植物園(東京・文京) 江戸の医療支えた養生所 2月13日 ウメの花にスマートフォンのカメラを向けた男性がシャッターを切る音が聞こえた。樹林からは野鳥が飛び立つ羽音。東京の騒々しさを感じさせない静けさが漂う。 都心にある「小石川植物園」は、東大大学院理学系研究科に付属する研究施設。16万平方㍍の広大な敷地に約1500種の植物が生い茂り、温室でも約1100種が栽培されているという。月に1度訪れている近所の男性(72)は「ここに来れば、四季の移ろいを感じられ 小石川植物園(東京・文京) 江戸の医療支えた養生所
嵩山蛇穴(愛知・豊橋) 大蛇に埋蔵金…伝説が潜む闇 愛知 中部 2月6日 上りの新幹線に飛び乗り名古屋駅から30分。戦国の世に徳川家康によって治められた愛知県豊橋市は、江戸幕府下で三河吉田藩が置かれ、譜代大名が代々藩主を務める幕閣への登竜門となる。明治維新後は陸軍師団が駐屯する軍都として栄えた、今に続く東三河地方の中心地だ。 「『なにしろ豪勢なもんじゃ。駅へ着けば、人力車ですうっと家まで行っちまう。一足も歩かんと家の前へ横付けじゃ』次から次へと豊橋の町で見聞きしてきた 嵩山蛇穴(愛知・豊橋) 大蛇に埋蔵金…伝説が潜む闇
高島平(東京・板橋) マンモス団地に再生の兆し 1月30日 高架を走る都営三田線が東京都板橋区側の終点に近づくころ、車窓から高層の建物群が見えてくる。64棟、1万170戸からなる「高島平団地」は1972年の入居開始から来年で50年。日本のマンモス団地の代表的な存在だ。 水田が広がっていた一帯は1960年代から大規模開発が始まった。人口集中による市街地の無秩序な拡大が危惧され、大量の住宅を確保する狙いだったという。「高島平」は69年に定められた新しい地名。 高島平(東京・板橋) マンモス団地に再生の兆し
鬼の宿(東京・小平) 「鬼は内」節分の夜に歓待 1月23日 毎年2月初旬、節分の日の夕方になると、東京都小平市に住む小山喜彬さん(78)は鬼を迎え入れる準備を始める。5代前の江戸時代から続く風習で、豆をまいて追い出された鬼たちを歓待するその家は、いつしか「鬼の宿」と呼ばれるようになった。 鬼を迎えるのは台所の一角に設けられた神棚だ。近所で豆まきが始まる前に、小山さんは赤飯やお神酒を供える。「鬼は外」という掛け声が聞こえないように戸締まりをしてテレビやラジ 鬼の宿(東京・小平) 「鬼は内」節分の夜に歓待
和泉明店街(東京・杉並) 「東京で出合う」リトル沖縄 1月16日 東京都杉並区にこぢんまりとした「沖縄タウン」が誕生して15年が過ぎた。 京王線・代田橋駅の北、甲州街道に面した赤く塗られた街路灯が目印だ。その奥の通りを進むと、赤瓦やシーサーの置物のほか、伝統のミンサー織の柄を施した日よけテントが沖縄情緒を演出する。物産店には島とうがらしにさんぴん茶、モズクなどが所狭しと並んでいた。 ここ和泉明店街は飲食店や三線(さんしん)専門店など沖縄関連の店が10軒ほど点在 和泉明店街(東京・杉並) 「東京で出合う」リトル沖縄
押絵羽子板(埼玉・春日部) 新春彩る伝統の職人芸 コラム 1月9日 350年以上続く浅草寺(東京・台東)の「浅草寺歳の市(羽子板市)」。2020年末は新型コロナウイルスの影響で規模を縮小したが、境内には色とりどりの「押絵羽子板」が並んだ。その一大産地が埼玉県春日部市だ。 羽根つきには厄払いの意味が込められている。江戸時代に日の出や七福神、松竹梅など縁起物を描くようになり、町人文化が栄華を極めた元禄文化で歌舞伎役者の図柄が登場。その後、押絵の技術を取り入れ、明治時 押絵羽子板(埼玉・春日部) 新春彩る伝統の職人芸
ICU本館(東京・三鷹)今を生きる戦前建築 東京 コラム 12月26日 東京都三鷹市の国際基督教大学(ICU)は、広大で緑豊かな敷地で知られる。キャンパスの象徴的な建物「大学本館」の屋上の四隅には、見慣れない170センチ四方のコンクリート製の台がある。「戦闘機の来襲に備えた機銃台と思われます」と解説してくれたのは、地元の歴史に詳しい同大学高等学校教諭の高柳昌久さんだ。 大学本館はかつて、国内有数の航空機メーカー、中島飛行機が建設した三鷹研究所の設計本館だった。中島飛 ICU本館(東京・三鷹)今を生きる戦前建築
横浜赤レンガ倉庫(横浜市) レンガに詰まる港町の歴史 12月19日 みなとみらい線馬車道駅(横浜市)から海に向かって6分ほど歩くと、レトロな面影を残す2棟の赤レンガ造りの倉庫が姿を現す。全長約150メートルの2号館とその半分の長さの1号館に挟まれた広場で、今年もクリスマスマーケットが開催されている。 イルミネーションで飾られた一帯に幻想的な風景が広がり、新型コロナウイルス下でも多くの人でにぎわう。毎年訪れるという横浜市の40代女性会社員は「横浜港のシンボルを見な 横浜赤レンガ倉庫(横浜市) レンガに詰まる港町の歴史