「伝家の宝刀」は機械を切れるか 経済 1月14日 「為替をはじめ金融市場急変のリスクには注意が必要だ」。日銀が2020年12月に開いた金融政策決定会合で円高が議論になった。21年に入ると外国為替市場で一時1ドル=102円台半ばまでドルに対して円高が進み、警戒感はさらに高まった。米国の長期金利上昇に伴い、いったん1ドル=104円台まで戻したもののドル安懸念は強い。 円相場の節目と意識されるのは1ドル=100円。近づくたびに大量の円売り・ドル買いで 「伝家の宝刀」は機械を切れるか
「法王超え」見据える黒田総裁 そのレガシーは 経済 金融機関 為替・金利 1月7日 「1本のオペ(公開市場操作)が政策変更を示唆したり、先取りしたりすることはない」。日銀関係者が口にする常とう句の一つだ。それでも年明け早々の4日のオペは、市場に思惑を広げるものとなった。 新型コロナウイルスの感染再拡大で菅義偉首相が緊急事態宣言の再発令を検討すると伝わったこの日、株安進行を踏まえ日銀は上場投資信託(ETF)の購入に動いた。サプライズは購入額を500億円強と従来の700億円強から引 「法王超え」見据える黒田総裁 そのレガシーは
脱炭素、黒田総裁は「本音」を明かせるか 経済 為替・金利 12月24日 「来年にかけて、より真剣に考えていくべきテーマであることは分かるんですけどね」。年の瀬が迫るなか、日銀内で戸惑いの声が上がる。国内外で議論が急速に盛り上がる気候変動への対応についてだ。 日銀の使命は物価と金融システムの安定にあり、金融政策には中立性が求められる。中央銀行として環境分野に絞った支援は適切か。そもそも気候変動は物価にどんな影響を与えるか。明確な答えはなく、これまで日銀は半身の姿勢で情 脱炭素、黒田総裁は「本音」を明かせるか
コロナ長期戦、「ゾンビ」増殖に身構え 経済 金融機関 為替・金利 12月10日 「そろそろ『じゃぶじゃぶ』の点検に取りかからなければならない」。日銀内では最近、こんな声が上がり始めている。 「じゃぶじゃぶ」とは、新型コロナウイルスで打撃を受けた企業への資金繰り支援策のことだ。日銀は3月以降、融資を促すため金融機関に有利な条件で資金を供給する政策を導入・拡充してきた。11月下旬時点の残高は51兆円と国内総生産(GDP)の1割にあたる水準まで膨らんだ。 政府による給付金などもあ コロナ長期戦、「ゾンビ」増殖に身構え
強まる日銀の「孤独」 最大の日本株保有者に 経済 12月3日 ついにトップ交代か――。株式市場で国内最大の株主を巡る臆測が広がっている。首位の座がこれまでの年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)から、日銀に移った可能性があるからだ。 日銀が11月26日に公表した2020年4~9月期決算によると、日銀の保有する上場投資信託(ETF)は9月末の時価で40兆4733億円。GPIFは41兆5010億円で日銀との差は約1兆円あった。 日経平均株価が29年ぶりの高 強まる日銀の「孤独」 最大の日本株保有者に
異例の地銀支援策、もつれ合う悲願と打算 経済 11月19日 「要するに、金融機構局が悲願を果たしたということだ」。日銀による地域金融機関の経営改善や再編を促す新制度について、行内ではこんな受け止めが広がった。 新制度は景気や物価の安定をめざす金融政策と異なり、地方銀行などの経営体力の強化を通じて金融システムの安定を図るプルーデンス政策の位置づけだ。制度設計は金融政策担当の企画局ではなく、銀行経営を監視する金融機構局が担った。 制度の肝は経費削減や経営統合 異例の地銀支援策、もつれ合う悲願と打算
日銀、自縄自縛の「脱LIBOR」 11月5日 「日銀や金融庁から『取引を盛り上げろ』と金融機関にムチが入っているのではないか」。ある証券会社幹部は金融市場の一角で起きている異変に強い関心を寄せる。 舞台となったのは投資家が政策金利の変更を見越し、固定金利と変動金利を交換する翌日物金利スワップ(OIS)と呼ぶ取引。日本証券クリアリング機構によると、月1兆~3兆円程度が続いた取引高は10月に6兆4千億円と急増した。米連邦準備理事会(FRB)をは 日銀、自縄自縛の「脱LIBOR」
賃上げ7年ぶりの壁、日銀職員にも募る不安 経済 10月22日 「今年の給料は下がるのだろうな」「コロナだから仕方ないけど」。最近、日銀内からこんな声が聞こえてくる。 日銀職員にとって例年秋は年に1回の給与改定の時期。公益性の高い業務に従事する「みなし公務員」にあたり、日銀法は給与水準を「社会一般の情勢に適合したもの」と規定。役職員の給与の改定時は主な民間金融機関や民間企業の年収動向を調査し「平均的な給与改定を主な判断材料とする」としている。 日銀職員の給与 賃上げ7年ぶりの壁、日銀職員にも募る不安
隠しきれぬFRBへの賛意 経済 10月15日更新 「米連邦準備理事会(FRB)はよくあそこまで言えるね」。日銀幹部の間で、FRBがぶち上げた財政出動要求が話題になっている。 FRBのパウエル議長は米国の景気回復に「追加の財政支援が必要である可能性が高い」などと政府や米議会に繰り返し対応を求めている。金融政策の運営について、トランプ米大統領にツイッターで責められることが多かったFRBの強気の姿勢に日銀幹部は驚く。 米国では経済対策法案をめぐって与 隠しきれぬFRBへの賛意
首相ブレーンも交代、日銀リフレ派に渦巻く不安 経済 10月8日 「首相は最近、誰に会っているのか」――。菅義偉首相が官房長官時代と同じく朝昼夜と各界有識者との会合を重ねることに、ある日銀幹部は関心を寄せる。とりわけ注視しているのは、相手が経済政策の知恵袋になりそうなケースだ。 例えば9月下旬に会った小西美術工芸社社長のデービッド・アトキンソン氏は最低賃金の引き上げや中小企業の再編を主張し、菅首相も意欲を示す。菅政権が掲げる構造改革や規制改革の具体策に経済ブレ 首相ブレーンも交代、日銀リフレ派に渦巻く不安