公益重視の理念、上場でより強く マット・オヘア氏 12月11日 株主利益より公益を重視するとの方針を掲げる企業が増えている。7月にナスダック市場で新規株式公開(IPO)した米バイタル・ファームズもその一社だ。創業者のマット・オヘア会長に経営理念などについて聞いた。 ――起業の経緯を教えてください。 「かつて創業した旅行会社でIPOを経験したが、2001年9月の米同時多発テロ後に事業が行き詰まり、売却を迫られた。その後、自分を振り返った。私は起業初日から株式上 公益重視の理念、上場でより強く マット・オヘア氏
脱・株主偏重が市場を守る マーティン・リプトン氏 12月10日 新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、企業の存在意義が問われている。買収防衛策の生みの親で、約40年にわたり「短期的な株主利益の追求(株主第一主義)」からの脱却を訴えてきた企業法務の大家、マーティン・リプトン弁護士に企業や政府の役割などについて聞いた。 ――地域社会や従業員など全ての利害関係者に配慮する「ステークホルダー資本主義」が世界的な潮流になりつつあります。 「米経営者団体『ビジネス・ラ 脱・株主偏重が市場を守る マーティン・リプトン氏
起業家精神、安全網で育む イアン・ゴールディン氏 12月9日 新型コロナウイルスの流行に伴う急速な景気悪化を受け、欧米を中心にベーシックインカム(最低所得保障)制度の導入論議が沸き起こっている。資本主義の枠組みの中で失業者らをどう救済すべきか。英オックスフォード大学教授のイアン・ゴールディン氏に聞いた。 ――ベーシックインカムに賛同しますか。 「無条件にすべての人々に支給するしくみには反対だ。政府は強力なセーフティーネット(安全網)を持つべきだが、それを必 起業家精神、安全網で育む イアン・ゴールディン氏
「賢い」政策は持続性生む 東大教授・福田慎一氏 12月8日 新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、世界各国の政府・中央銀行による大規模な財政出動と金融緩和策も出口が見えない状況だ。資本主義の活力を保ちながら、どのように持続可能な政策を講じていくべきか。マクロ経済が専門の東京大学・福田慎一教授に聞いた。 ――今後の経済政策に必要な視点は何でしょうか。 「欧州では再び行動規制が広がり、日本などでも飲食店や娯楽産業といった対面型のサービス業は厳しい環境が続く 「賢い」政策は持続性生む 東大教授・福田慎一氏
移民排斥は長続きしない パラグ・カンナ氏 12月6日 新型コロナウイルスの感染拡大で世界の移民労働者の動きは止まった。国境を越える働き手は資本主義にどう貢献してきたのか。ポストコロナ時代に彼らの往来はどうなるのか。シンガポールを拠点とする国際政治学者パラグ・カンナ氏に聞いた。 ――移民労働者は資本主義社会でどんな役割を担ってきたのでしょうか。 「戦後の欧米では移民が経済成長を支えた。旧植民地から来た労働者が欧州を再建し、巨大産業を前進させた。米国の 移民排斥は長続きしない パラグ・カンナ氏
感染症薬を国際公共財に 山形辰史氏 12月5日 新型コロナウイルスの流行は、人類が感染症と戦う手立てとして資本主義が万全ではないことをあらわにした。立て直しに向けた論点は何か。経済学の視点で感染症を研究する立命館アジア太平洋大学の山形辰史教授に聞いた。 ――世界各国の新型コロナ対策をどのように評価しますか。 「官民ともにワクチン開発や検査体制の拡充に投資を積み増している点は評価できる。従来、感染症は『(購買力が低い)新興国の問題』と受け止めら 感染症薬を国際公共財に 山形辰史氏
新しい社会契約を描くとき 公益重視、企業が歩む難路 12月4日更新 「株主利益の最大化につながらない行動をとる場合がある」。投資家向けの書類で「株主よりも公益」と異例の宣言をした企業が7月、米株式市場に上場した。環境配慮型の養鶏所を運営する米食品会社、バイタル・ファームズだ。 設備投資や買収提案を判断する際、短期的な株主利益だけではなく協力する農家や従業員の立場も考えると具体的な事例を挙げた。こんな経営方針が投資家の共感を呼び、バイタルは上場時に2億ドル(約21 新しい社会契約を描くとき 公益重視、企業が歩む難路
所得保障は最適解か 支えるのは新たな学び 12月3日 「働いても働いても貧困から抜け出せない人々が新型コロナの影響を受けている。我々は彼らのために団結する」。6月末、ロサンゼルスなど米11都市の市長らが「所得保障のための市長連合」を結成し、市民に現金を定期給付する実証実験をすると宣言した。 ■経済弱者に痛手 職業の有無や給与水準に関係なく一律の金額を支給するベーシックインカム(最低所得保障)制度。コロナ危機で若者や非正規雇用など経済的な弱者が深刻な痛 所得保障は最適解か 支えるのは新たな学び
大きな政府より賢い政府 進化する政策、次代に布石 12月2日更新 データ解析技術を駆使して地域や所得階層の違いを勘案した最適な景気下支え策を割り出す――。米ハーバード大学のラジ・チェティ教授らは新型コロナウイルスの感染拡大後に公表した論文で、経済政策の新たな枠組みを提言した。 米企業の経営データを幅広く収集して、売上高や個人の雇用・消費などがどのように変化したかを日次で調べ、郵便番号など地理的な情報も加味して分析した。その結果、「富裕層が他人との接触を控えて消 大きな政府より賢い政府 進化する政策、次代に布石
成長回帰へ移民開国再び グローバル化、ワクチン生む 12月1日 新型コロナが封鎖させた国境が世界各地で再び開くとき、何が起こるのか。 8月以降、米シリコンバレーに近い高速道路やニューヨークの繁華街に巨大な求人広告が登場した。「もしビザ(査証)を取り消されたら?」「仕事や健康保険を失ったら?」。広告主はカナダでIT(情報技術)企業への人材紹介などを手がける企業、コミュニテックだった。 ■技術革新を育む ターゲットは世界から米国に集まる技術者たちだ。反移民のトラン 成長回帰へ移民開国再び グローバル化、ワクチン生む