紺のパンツスーツで 後藤佐恵子・はごろもフーズ社長 1月27日 澄んだ青い海と富士山の眺望が間近に美しい静岡市内の清水港。陸のほうへ目を移すと、中心辺りに白い4階建てのビルがある。創業は1931年で、50年代から「シーチキン」の商品名で知られるようになったマグロやカツオのフレーク缶詰などの製造元、はごろもフーズの主要工場だ。 社長の後藤佐恵子さん(48)は2019年に就任した6代目にして同社初の女性社長で、静岡市内の中心部に構える本社に毎朝8時に出社する。夫 紺のパンツスーツで 後藤佐恵子・はごろもフーズ社長
永遠なる着物 感性くすぐる生地に転生、着こなし自由に 1月27日 着物が息を吹き返している。テキスタイルとして新たなものに生まれ変わりさりげなく日常に溶け込んでいたり、洋服と並んで無理なくワードローブのひとつになっていたり。海外でも、その価値が再定義され始めた。模様に織り込まれる美意識や着こなす楽しさは、誰もが着ていた時代から途絶えることなく、永遠(とわ)なる着物はあすへと紡がれている。 37センチ幅の生地が生む 新たな美 美しいフォルムの洗練されたワンピース 永遠なる着物 感性くすぐる生地に転生、着こなし自由に
黒い服を生み出し10年 ノワールケイニノミヤ 1月22日 冒頭に登場したのは、黒い樹脂の板を編み込んだドレス。ややマットな質感の棒状の板を、竹かごのような要領で手作業で編んだものだ。格子模様のようにも見え、体から筒状にあふれ出しているかのよう。正面からは、ハート形にも思える。 「ノワールケイニノミヤ(ノワール)」が2022年10月、パリコレクションで発表した23年春夏のコレクション。デザイナーの二宮啓さんが手がけるコムデギャルソン(東京・港)のブランド 黒い服を生み出し10年 ノワールケイニノミヤ
希少な国産漆 国宝も器も魅せられて 篠山 正幸 1月20日 朱に塗れば、過ぎない程度に華やぎ、黒に塗れば、宇宙空間の深さを醸し出す漆。樹木、樹液としての漆はひねた性質で、掻(か)き手や塗師(ぬし)をほんろうする。おてんばでクセがあるからこそ、いざ固まったときの強さ、あでやかさは無双に。どこか人と似ていないか。 自由奔放 神秘の樹液 三内丸山遺跡(青森県)などとともに世界遺産を構成する岩手県の御所野(ごしょの)遺跡(一戸町)の出土品に、漆を施した縄文期の土 希少な国産漆 国宝も器も魅せられて
デュカスの教え、胸に秘め 受け継がれる帝王の遺伝子 1月15日 「デュカスの味を食べ歩くのが楽しみなんです」。京都・嵐山に2020年夏にオープンしたホテル「MUNI(ムニ)KYOTO」のダイニング「ムニ アラン・デュカス」で、隣のテーブルから弾んだ声が聞こえてきた。ムニはアラン・デュカスさん(66)が世界11カ国で統括する約30のレストランのひとつ。この顧客は「東京のパレスホテル、ベージュ、ブノワにも行きました」とデュカス・グループのレストランの名前を次々と デュカスの教え、胸に秘め 受け継がれる帝王の遺伝子
スモールジュエラーの愉悦 わたしだけの逸品を求めて 1月13日 個人規模でジュエリーを作り、販売する「スモールジュエラー」が注目されている。 顧客となるのは既製品には飽き足りず「わたしだけの逸品」を求める人々だ。新型コロナウイルス下でもジュエリー市場は堅調に成長し、世界的にも年率5%超の成長が続くと見込まれている。顧客との丁寧な会話と高い技術から生まれる、大人ならではの楽しみを探った。 わがままを心ゆくまで JR芦屋駅の目の前、ビルのワンフロアに、ジュ スモールジュエラーの愉悦 わたしだけの逸品を求めて
狩猟・放牧から料理まで一手に 十勝のおいしさ極める 1月8日 野菜やハーブを栽培したり生産者の近くに店を構えたりすることで、自分にしかできない味の実現を目指す料理人が増えている。なかでも北海道豊頃町を拠点とするエレゾ社社長の佐々木章太さん(41)は、肉にこだわり自分で生産した肉を洗練された美食に仕上げる稀有(けう)な料理人だ。 ジビエの狩猟から豚の放牧、家禽(かきん)の飼育や供給、レストラン経営まで手がけ、2022年10月には、本拠地に「エレゾ エスプリ」 狩猟・放牧から料理まで一手に 十勝のおいしさ極める
2022年、福沢諭吉と大隈重信が節目の年に贈る言葉 芹川 洋一 12月30日 慶応義塾大学と早稲田大学の創設者である福沢諭吉と大隈重信。過ぎゆこうとしている2022年は、2人にとって節目の年である。「学問のすゝめ」から150年、大隈の死去から100年だからだ。自らの意思と判断で前へと進めと促した福沢。失敗しても決してくじけるなと説いた大隈。23年という新しい年を迎えるにあたり、2人の声にいまいちど耳を傾けてみたい。 自らの意思と判断で「前へ進め」 今からちょうど150年前 2022年、福沢諭吉と大隈重信が節目の年に贈る言葉
米国ワイン造りの新潮流 「持たざる者」の夢かなえる 12月25日 ワインを愛し、米国・ナパやフランス・ボルドーなどの産地を訪れたことがある人なら、一度は「こんな美しい場所でいつかワインを造ってみたい」と思ったことがあるのではないだろうか。 実際、米国では富を築いた人がワイナリーを買い、第二の人生をワインの造り手として過ごすという例がある。だが一方で、畑も施設も持たず、まったく経験がなくともワインが造れる仕組みが存在し、ここ10年ほどで需要を増してワイン産業の一 米国ワイン造りの新潮流 「持たざる者」の夢かなえる
革靴の王国・日本 欧州伝来の職人技、本場で称賛 12月23日 日本で西洋式の靴作りが始まったのは明治時代の初め。それから約150年を経て、日本のものづくりは存在感が薄れたように思えるが、伝統的な手作り靴では日本旋風が吹き荒れる。欧州の世界的コンクールで1~3位を日本人が独占し、海外から職人修業に訪れる人も出てきた。日本は今や「革靴の王国」だ。 国際コンクール、1~3位を日本人が独占 今年5月、英国ロンドンのイベント会場に集まった紳士靴愛好家らに衝撃が走った 革靴の王国・日本 欧州伝来の職人技、本場で称賛