大草原の小さなサウナ 沸き立つブームがもたらすもの 7月1日 忙しい毎日の中でたまったストレスを解消し、心身をリフレッシュできるサウナが人気だ。外界とは隔絶された空間で、じっくり汗を流して疲れを癒やす。ではその空間が、広大な農場の中にあったらどうだろう。身も心も自然と一体化できる「大草原の小さなサウナ」の世界へようこそ。 醍醐味を共有 土と牛と草と そのサウナは、緑の草原が一面に広がる牧場の中にある。 北海道・十勝地方にある上士幌町。十勝しんむら牧場が運営 大草原の小さなサウナ 沸き立つブームがもたらすもの
巨石は待っている 出雲と熊野、神話と自然の驚異巡る 6月24日 世の中には多くの巨石・奇岩がある。大きさも形もいろいろ。海岸にそそり立つものもあれば、山中にひそまるものもある。自然回帰や聖地巡り人気も手伝ってか、訪ねる人が増えている。出合えば話しかけたくなるのは、何やら力を貸してくれそうな気がするからか。不安定な世の中、巨石はずっしりとそこで待っている。 出雲 神話ゆかりの気高い姿 道の脇に巨石がたたずんでいた。高さ10メートルを優に超え、草木やコケをまと 巨石は待っている 出雲と熊野、神話と自然の驚異巡る
バベルの教訓はどこに 天空目指した塔の未来 6月17日 バベルの塔の昔から、塔は人とともにそびえ、時代を見下ろしてきた。天の高みを目指すその姿に人は素朴な畏敬の念を抱き、夢と希望を重ねた。いつしか塔は、人が世界を見晴らす舞台に変わり、より上を目指す競争が加速した。新型コロナウイルス禍を経た今、高さに優越を、集積に効率を求める発想は揺らぎ、塔にかわるシンボルを模索する動きが始まっている。塔の未来を見つめた。 風雪という名の鑿が刻む 札幌市にある2つの塔 バベルの教訓はどこに 天空目指した塔の未来
変わりゆく動物園 生誕140年のメッセージ 6月10日 東京・上野に日本最初の動物園が誕生して今年で140年。いま動物園は大きく変化を遂げている。「狭い檻(おり)の中に動物がとじ込められてかわいそう」――。そんなふうに思う人は実際に足を運んでみてほしい。動物福祉の観点から飼育環境の改善が進んだ園内でのびのびと過ごす動物を見つめるうちに、思いは自然や地球全体へと至るはずだ。現代の動物園が語りかけるメッセージに耳を傾けてみませんか。 都市に開く 大自然へ 変わりゆく動物園 生誕140年のメッセージ
浴衣の夏ふたたび 色・デザイン自由に、伝統粋に 坂井 光 編集委員 6月3日 夏祭り、縁日、花火大会――。コロナ禍は日本の夏の風物詩に欠かせないイベントとともに浴衣姿を街から消し去った。でも、出番を縛る必要はないのかもしれない。伝統と革新。そのバランスのなかで自分らしいスタイルを見つけ、表現する人が増えている。今年こそ浴衣を着てみてはいかが? ブーツをコーデ 自由な色に染めて 5月8日、東京・渋谷区で音楽イベントが開かれた。ひとり客、友人同士、母娘、夫婦などさまざまだが、 浴衣の夏ふたたび 色・デザイン自由に、伝統粋に
学び、育む歴史遺産 重要文化財の校舎で紡ぐ新たな物語 5月27日 重要文化財建造物と聞くと「日常生活とは縁遠い」と感じるかもしれない。ところが重文に指定された木造校舎に子どもたちが日々通い、学んでいる小学校が全国に3校ある。地域の至宝を「過去の遺物」とはせず、未来を目指し新たな物語を紡ぎ続ける「生きている歴史遺産(リビングヘリテージ)」として保全継承する現場を訪ねた。 使い続ける先に文化財 「日本のへそ」。こうPRする自治体は幾つかある。その一つ、兵庫県西脇市 学び、育む歴史遺産 重要文化財の校舎で紡ぐ新たな物語
おかえり、デニム 古着やドレスでファッションに新風 5月20日 このところ鳴りを潜めていたデニムの人気が戻ってきた。カジュアルな日常着として捉えられがちなジーンズだが、コーディネートの主役になるものが登場したり、どこまでもこだわって自分好みのものを仕立てることができたり。いまやテキスタイルの名前で「デニム」と呼ばれ、深化したジーンズ。19世紀に労働着として誕生してから、なぜ今もなお私たちを魅了し続けているのだろう。 時代を織り込むファブリック とりあえずデニ おかえり、デニム 古着やドレスでファッションに新風
情熱の宮殿 私設博物館という愉楽 5月13日 個人の関心や趣味で集めた物を、博物館として広く公開する。そうした私設博物館が各地に誕生している。独自の視点と過剰にも見える熱意が、捨てられ、忘れられていく物に価値と命を吹き込み、時に人々の見る目も変えていく。国や自治体の権威ある博物館とはひと味違う、私的コレクションの世界に分け入ってみた。 忘れ去られる物に 魂を吹き込む 喫茶店、バー、ホテル、銀行、菓子会社……。「たるみ燐寸(マッチ)博物館」( 情熱の宮殿 私設博物館という愉楽
生きるアートBONSAI 世界をめぐり新たな美の域へ 5月6日 モダンな空間にもなじみ、現代の作家の感性を生かした盆栽が次々と生まれている。日本の歴史のなかで独自の進化を遂げた盆栽は、近年、海外での評価がますます高まっている。その世界的なBONSAI人気は還流し、今、新たなアートとして身近になり始めた。 中国から日本へ、さらに世界へ 盆栽の中でも別格の人気を誇るマツ。高松は戦前から続く、日本一のマツの産地だ。街を歩けば、盆栽園がそこここに広がる。 自然の 生きるアートBONSAI 世界をめぐり新たな美の域へ
宮尾登美子46歳の背水の陣 果敢に挑んだ自費出版作戦 4月29日 多額の借金を抱えた39歳の女性は、再婚した夫とともに高知から東京に逃げて小説家を目指す。どん底の窮乏生活に耐えること7年。自伝的小説「櫂(かい)」の自費出版をきっかけに、女性読者の心をわしづかみにする人気作家にのぼりつめる。「陽暉楼(ようきろう)」「一絃(げん)の琴」「天璋院(てんしょういん)篤姫」などの著者、宮尾登美子(1926~2014)だ。彼女の残した日記をたどっていくと「46歳の背水の陣 宮尾登美子46歳の背水の陣 果敢に挑んだ自費出版作戦