東芝を救えない霞が関の誤算 企業統治か経済安保か 日経ヴェリタスセレクト 日経ヴェリタス Think! コラム 編集委員 4月4日 3月24日に開かれた臨時株主総会で会社2分割の経営側提案を否決された東芝。一方で、株式非公開化を主張した株主側提案も否決され、企業価値向上策を巡る経営陣とアクティビスト(物言う株主)との対立は結局解消されないままだ。米投資ファンドのベインキャピタルが東芝の株式の非公開化を前提とした買収を検討していることも判明。再生の道筋が視界不良の中で、漂流状態の経営が続く。 漂流の始まりは2015年に発覚した 東芝を救えない霞が関の誤算 企業統治か経済安保か
東芝・みずほ・三菱電機、刷新力なき引責辞任の軽さ 日経ヴェリタスセレクト 日経ヴェリタス コラム 編集委員 3月26日 東芝、みずほフィナンシャルグループ、三菱電機――。危機的状況に直面した経営トップが、事実上の引責辞任に追い込まれる事例が相次いでいる。不祥事や大規模なトラブルなど会社の信用を揺るがす問題の責任を負い、けじめを付けるのが主眼のはずだが、決断の遅れや中途半端な後継体制によって「人心の一新」に結びついていない。前任者の影響力を一掃できないのであれば、悪(あ)しき体質の改善が果たせないのも無理はない。投 東芝・みずほ・三菱電機、刷新力なき引責辞任の軽さ
翻弄されるエネルギー産業 政策実現の「打ち出の小槌」 Think! コラム エレクトロニクス 環境エネ・素材 ヨーロッパ Nikkei Views 編集委員 3月3日 東芝が会社3分割の再建計画を2分割へ修正すると発表したのが2月7日。併せて、従来の3倍となる3000億円規模の株主還元方針も公表したにもかかわらず、大株主の評価は芳しくなく、3月1日には綱川智社長兼最高経営責任者(CEO)の事実上の辞任に発展した。関係筋では、かねて政府系ファンドを巻き込んだ株式買収と非上場化、さらに今年7月で国営化から10年となる東京電力ホールディングス(HD)との統合構想まで 翻弄されるエネルギー産業 政策実現の「打ち出の小槌」
東芝の病根「政治色」 技術者トップ不在がもろさに 日経ヴェリタスセレクト 日経ヴェリタス コラム 編集委員 1月22日 東芝がグループを3分割する計画を公表して2カ月。会社解体ともいえる再建案は危機的状況を如実に反映するが、大株主の投資ファンドが反対を表明するなど先行きは不透明だ。歴代トップの足跡から追い詰められた根本の理由を検証する。(敬称略) ■佐波正一 海軍時代は対潜水艦レーダーを研究し、東芝入社後は発電機など重電分野の技術者。社長に就任した80年当時、半導体事業は64キロビットDRAMで苦戦中。佐波は次世 東芝の病根「政治色」 技術者トップ不在がもろさに
四半世紀の重電不況 きのうの優等生、あすの「負け組」 編集委員 11月21日 重電産業は国家と不可分の関係にある。自然界のエネルギーを機械の動力に変える装置は約150年間、世界の富の源泉となり、巨大メーカーの盛衰は政治や国際情勢に大きく左右されてきた。その意味で、第26回国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)の開催中に米ゼネラル・エレクトリック(GE)や東芝の会社分割が明らかになったのは象徴的だった。 タービンなどの原動機や変圧器、整流器などを製造する重電メーカー 四半世紀の重電不況 きのうの優等生、あすの「負け組」
TSMC誘致、巨額支援に潜む「内需不足」の懸念 Think! 熊本 広島 エレクトロニクス 中国・台湾 北米 Nikkei Views 編集委員 10月28日 岸田文雄新内閣の目玉政策の1つである「経済安全保障」。専任閣僚の経済安全保障相が新設され、岸田首相は就任初日の4日の記者会見で「戦略技術や物資の確保、技術流出の防止に向けた取り組みを進める」と力説した。 タイミングを計ったかのように、世界最大の半導体生産受託会社である台湾積体電路製造(TSMC)が14日に新工場を建設すると発表。これにソニーグループやデンソーが参画する方向だ。総投資額の約半分の4 TSMC誘致、巨額支援に潜む「内需不足」の懸念
宴の後に「負の遺産」 五輪、有名無実のコンパクト開催 Tokyoオリパラ Nikkei Views 編集委員 8月24日 今月8日に閉会した東京五輪。開催国・日本は過去最多の58個のメダルを獲得したものの、新型コロナウイルス禍での無観客開催が強く印象づけられた大会は過去の五輪の華やかなムードとはほど遠かった。一方、感染対策などが加わり、開催費用は当初見通しの3倍規模に膨らむ見通し。24日から開かれるパラリンピックも首都圏1都3県の全会場で無観客開催が決まった。政府や東京都は今後、宴(うたげ)の後の「負のレガシー(遺 宴の後に「負の遺産」 五輪、有名無実のコンパクト開催
経団連、ESGで軽い存在感 空虚に響く公器宣言 みんなのESG 日経ヴェリタス 編集委員 学ぶ 7月28日 「財界総本山」と呼ばれてきた日本経済団体連合会(経団連)の求心力が一段と低下している。前会長の中西宏明氏(6月27日に死去)の闘病生活が長引く中、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で日本経済は深刻な経済危機に遭遇したが、政府への提言など発信力が乏しく存在感を発揮できなかった。前任者からポストを引き継ぐ例も目立ち、ビジョンを語るよりポジションの職務を黙々とこなす「お役所化」を嘆く声も 経団連、ESGで軽い存在感 空虚に響く公器宣言
色あせた「KEIDANREN」 求心力回復に高いハードル 編集委員 5月30日 「経済界のことだけでなく、社会全体のことを考えて行動する経団連でありたい」。10日の経団連トップ人事の記者会見。次期会長(15代)に内定した十倉雅和・住友化学会長の口から飛び出した「行動する経団連」というフレーズが懐かしく耳に響いた。 最初にこれを掲げたのは4代会長の土光敏夫氏。第1次オイルショック渦中の1974年5月、当時「財界総理」と呼ばれた経団連会長の座についた土光氏は、就任直後の半年間を 色あせた「KEIDANREN」 求心力回復に高いハードル
「ゆでガエル」は目覚めるか 環境激変が迫る改革 新型コロナ 編集委員 環境エネ・素材 1月17日 「衝撃的な出来事を利用する市場原理主義政策」をカナダ出身のジャーナリスト、ナオミ・クライン氏は「ショック・ドクトリン」と命名。日本での翻訳書出版は東日本大震災の半年後だった。戦争や自然災害などの危機に際し、茫然(ぼうぜん)自失の人々が覚醒する前にそれまで不可能と思われた過度な改革を強行する。クライン氏はその動機や行為を批判した。 新型コロナウイルスの感染拡大が世界に広がったこの1年。「惨事便乗型 「ゆでガエル」は目覚めるか 環境激変が迫る改革