難航する最低賃金引き上げ 雇用減、地域事情にどう配慮 米大統領選 新型コロナ 編集委員 Global Economics Trends 3月21日 欧米で最低賃金の引き上げが難航している。米国ではバイデン政権が最低賃金の1時間当たり15ドルへの段階引き上げ案を新型コロナウイルス対策の経済対策法案に盛り込むことに失敗した。欧州連合(EU)では欧州委員会の最低賃金確保の指令案にスウェーデンなどが反対している。賃金コストの上昇による雇用の減少や企業競争力の低下を招く恐れがあることに加え、欧州ではEUによる最低賃金の枠組み設定が、加盟国の賃金政策へ 難航する最低賃金引き上げ 雇用減、地域事情にどう配慮
増えるゾンビ企業 問われる淘汰のあり方 新型コロナ 編集委員 Global Economics Trends 2月14日 かつて不良債権問題で揺れた日本で話題になったような経営再建の見込みが乏しい「ゾンビ企業」が、欧米でも増えている。世界的な低金利で企業の借り入れコストが下がり経営不振でも存続しやすくなっていたのに加え、新型コロナウイルスの感染拡大後は各国政府が経済対策として経営が悪化した企業への支援を強化したためだ。ゾンビ企業への支援を続ければ、新しい企業の参入を妨げることで経済の生産性が落ちる恐れがあり、ポスト 増えるゾンビ企業 問われる淘汰のあり方
ポストコロナの回復戦略 日本は競争力で劣後も 新型コロナ 編集委員 Global Economics Trends 1月10日 2021年の世界は、コロナ禍からの回復をめざす。自粛で抑えられた消費、悪化した雇用情勢、劣化した財政構造をどう立て直していくのか。回復戦略を探る議論が活発になっているが、正常化にはかなりの時間がかかりそうだ。日本は新型コロナウイルスでの死者数を欧米より少なく抑えているものの、回復に向けての競争力では北欧や米国に劣後しているとの見方もある。 米政権交代でG20国際協調に注目 新型コロナの世界的な感 ポストコロナの回復戦略 日本は競争力で劣後も
デジタル化のダークサイド 排除より包摂の論理で Global Economics Trends 編集委員 11月29日 欧米でデジタル化に関して、負の側面の議論が盛んになっている。貧しい人や高齢者など対応できない人を置き去りにして、格差を広げることになるからだ。デジタルトランスフォーメーション(DX)を加速するといわれる高速通信規格「5G」についても、その消費電力の多さや、健康に与える影響などが問題として提起されている。デジタル化が政府や企業の効率化に役立つのは間違いないが、副作用を点検し、一部の業者のためでなく デジタル化のダークサイド 排除より包摂の論理で
ESGが変える金融政策 環境・格差で緩和に傾斜も Global Economics Trends 編集委員 10月25日 ESG(環境・社会・統治)を重視する動きが、金融政策を変えようとしている。環境を重視する欧州中央銀行(ECB)は、2021年から資産購入プログラムの対象に、金利が環境などの成果目標に連動する債券を加えることを決め、将来の「グリーンQE(量的金融緩和)」への道を開いた。米連邦準備理事会(FRB)は「格差」への配慮から長期目標を修正し、最大雇用を「幅広く、インクルーシブ(包摂的)な目標」と位置付けた ESGが変える金融政策 環境・格差で緩和に傾斜も
米経済戦略 対中冷戦モードで再構築 米中衝突 Global Economics Trends 9月13日 中国との関係悪化を受けて、米国が経済戦略の見直しを加速している。新型コロナウイルスの感染拡大を機に中国依存の危うさが浮き彫りになったのに加え、香港や南シナ海をめぐる問題で中国への警戒が強まったためだ。輸出規制の強化や、サプライチェーン(供給網)の組み直し、サイバー対策強化など目先の課題だけでなく、研究開発の大幅強化、同盟国と協力しての新しい戦略産業分野での国際基準作りなど、新冷戦とまでいわれる中 米経済戦略 対中冷戦モードで再構築
コロナで揺れる銀行の将来 問われる社会的責任 新型コロナ Global Economics Trends 8月9日 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、銀行が揺れている。超低金利の長期化による利ザヤ縮小と、経済の悪化に伴う不良債権の増加が見込まれるためだ。危機脱却に向けて融資の役割は高まっているが、その機能維持のため、配当、自社株買い、ボーナスの制限を求められ、株価に下落圧力が強まっている。経費節減を狙った支店削減、キャッシュレス促進に対しては、弱者切り捨てになりかねないとの指摘も出ている。社会的責任を果たし コロナで揺れる銀行の将来 問われる社会的責任
コロナが招く新興国の複合債務危機 新型コロナ Global Economics Trends 7月5日 新興国で新型コロナウイルスの感染が急速に広がっている。多くの国で景気後退と財政悪化が進み、借り入れ依存で高い成長をめざしてきた経済戦略が行き詰まっている。中央銀行による量的金融緩和など新しい対策も打ち出されているが、債務は膨れ上がる一方だ。国だけでなく、近年借り入れを増やしてきた企業でも債務不履行(デフォルト)が増加する見通しだ。企業も絡む新しい債務危機によって、金融システムの動揺が懸念されてい コロナが招く新興国の複合債務危機
コロナが変える都市の姿 社会的距離、新たな基準に 新型コロナ Global Economics Trends 5月31日 日米欧が新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための都市封鎖や緊急事態宣言の段階的な解除に動き始めている。解除に際して感染の再拡大を防ぐために社会的距離(ソーシャルディスタンス)など健康に配慮した基準が示されつつあるが、大都市の地下鉄や、高層ビルのエレベーターなどでは十分な社会的距離を取るのが難しい。新しい基準を踏まえて不動産などの資産価値が再評価されることになり、経済効率最優先で高層ビル群を生み出 コロナが変える都市の姿 社会的距離、新たな基準に
コロナ後の世界経済 「日本化」まん延も 新型コロナ Global Economics Trends 4月26日 新型コロナウイルスの世界的な大流行(パンデミック)で、世界経済は大恐慌以来最悪の景気後退に直面している。危機回避をめざす大規模な経済対策は短期的には景気底割れを食い止める効果が見込めるが、中長期的には政府財政や中央銀行財務の悪化、企業の借金依存の深まり、銀行資産の劣化などをもたらす公算が大きい。感染拡大が収束に向かっても、世界経済は長期的に深刻な後遺症を引きずり長期停滞が続く「日本化」のまん延リ コロナ後の世界経済 「日本化」まん延も