「正義」の陰に産業競争 人権尊重、対中で米欧足並み SDGs 米中衝突 カーボンゼロ ミャンマークーデター 北米 中国・台湾 編集委員 ヨーロッパ 4月4日 ドイツ企業は肝を冷やしたに違いない。メルケル政権が3月3日、企業に人権の尊重を義務づける「サプライチェーン法案」を閣議決定したからだ。 取引先に強制労働の実態はないか。企業は外国のサプライヤーにまで責任を負う。監査と情報開示を怠れば、厳しい罰則が科される。狙いは中国である。 中国とドイツ産業界の縁は深い。フォルクスワーゲンは、新疆ウイグル自治区に工場を持つ。アディダスやプーマは、中国産の綿糸を大 「正義」の陰に産業競争 人権尊重、対中で米欧足並み
引き裂かれる半導体技術圏 台湾囲い込みで米中が攻防 米中衝突 貿易摩擦 編集委員 Nikkei Views 12月22日 「中国が主張する九段線の中に宝が囲い込まれている。力ずくて奪取される前に救い上げなくてはならない」――。ワシントンの元米外交官はこう熱弁をふるった。 「宝」とは半導体受託生産(ファウンドリー)で世界最大の台湾積体電路製造(TSMC)のこと。アップル、クアルコム、エヌビディアをはじめ米国の半導体企業は、その製造の大半をTSMCに委ねる。 台湾は中国が独自に設定した境界線である九段線の内側にある。T 引き裂かれる半導体技術圏 台湾囲い込みで米中が攻防
異形のグローバリゼーション台頭 日本の論点2021 編集委員 12月19日 新型コロナウイルスの感染拡大で2021年は非常に不透明感が強い。日本の経済・政治はどう変化するのか。世界情勢の行方は。日本経済新聞の編集委員、コメンテーターらの見通しを、このほど出版した『これからの日本の論点2021 日経大予測』(日本経済新聞出版)から紹介する。 1990年代から30年以上にわたって続いてきたグローバリゼーションが、たったひとつの新型ウイルスによって、いま崩壊の瀬戸際にある。世界 異形のグローバリゼーション台頭 日本の論点2021
中国が突く自由貿易の空白 長引く米国不在 編集委員 Nikkei Views 12月12日 「国内で重要な投資を達成するまでは、いかなる相手国とも通商交渉に入らない」。バイデン米次期大統領が今月1日に発したひと言が各国の外交当局に波紋を呼んでいる。 国内への投資とは、米企業の競争力を高めるための様々な措置を意味する。バイデン氏は貿易を自由化する通商政策より国内の産業政策を優先し、雇用、教育、技術開発の助成などに注力する姿勢を鮮明にした。 トランプ大統領は米国第一主義を掲げ保護主義に走り 中国が突く自由貿易の空白 長引く米国不在
AI開発でも世界に亀裂 異なる道を行く中国 新型コロナ 中国・台湾 AI Nikkei Views 編集委員 8月17日 人工知能(AI)にも「お国柄」がある。判断の基準をマシンに教える側の人間社会に考え方の違いがあるからだ。同じ問題を解くのでも、開発した国や組織が異なれば別々の答えを導き出すことがある。 6月末、米政府の独立機関であるAI国家安全保障委員会が「コロナ危機対応とAI技術の役割」と題する白書を公表した。全米の病院や企業が臨床データを共有し、AIでワクチン開発を急ぐ案など10項目の提言からなる。 同委員 AI開発でも世界に亀裂 異なる道を行く中国
自由貿易 続けられるか(複眼) ビラハリ・カウシカン氏/鈴木一人氏/ルーファス・ヨークサ氏/ジャレッド・ラグランド氏 時論・創論・複眼 7月2日 「自由貿易」に逆風が吹き続けている。新型コロナウイルスの感染拡大で米中関係は新たな冷戦に例えられるほど悪化し、国際経済の環境は厳しさを増している。日本を含む一部の国は経済安全保障などを理由に、規制強化や生産拠点の見直しを図る。国内外の識者に自由貿易体制はまだ維持可能なのか聞いた。 ◇ ◇ ◇ ■米中、経済では別れられず 元シンガポール外務次官 ビラハリ・カウシカン氏 米中の政権は国内支持の維持が最大 自由貿易 続けられるか(複眼)
人事に映るWTOの落日 後任選びに米中欧の思惑 経済 コラム(国際) Nikkei Views 編集委員 6月1日更新 新型コロナウイルスの危機で絶好の辞任の機会が訪れた……。5月14日に辞意を表明した世界貿易機関(WTO)のロベルト・アゼベド事務局長(62)は、心中ほっとしていたに違いない。ビデオでの会見では、心なしか口元に笑みが見えた。 WTOは自由貿易の番人ともいわれてきた国際機関。同氏は任期を全うできず、8月末にトップの座から降りる。 「重責を投げ出したい気持ちに耐えてきたが、コロナが背中を押したのだろう 人事に映るWTOの落日 後任選びに米中欧の思惑
日本に迫る中国「コロナテック」の足音 新型コロナ 中国・台湾 Nikkei Views 編集委員 5月7日 農村から都市を囲い込む――。人民解放軍を率いた毛沢東の「人民戦争理論」の要諦は、まず地方を支配下に置き、そこから中央に攻め上がるゲリラ戦術にあった。 習近平(シー・ジンピン)政権に意図があるかどうかは別にして、地方や中小・中堅企業から、中国の影響力がじわじわと日本列島に染み込んでいるのは間違いない。 「コロナテック」と呼ばれる技術のリストが、東京・霞が関の経済官庁の間に出回っている。感染拡大を防 日本に迫る中国「コロナテック」の足音
ウイルスが引き裂く世界 鎖国への誘惑を断てるか 新型コロナ コラム(ビジネス) 中国・台湾 北米 編集委員 4月5日 マスクが足りなければ、中国からの供給に頼るほかない。その中国は人道支援の名を借りて、マスク外交で他国に貸しをつくろうとしている。マスクのようなありふれた製品ですら国家戦略の武器となる。 新型コロナウイルスがあぶり出したのは「つくる側が買う側に勝る」という不条理な力学だ。感染の拡大が止まらなければ、人工呼吸器や医薬品は奪い合いとなるかもしれない。それらの製品を生産して輸出できる国や企業は、地政学的 ウイルスが引き裂く世界 鎖国への誘惑を断てるか
ファーウェイ外しの帰結は 大きすぎるガラパゴス コラム(ビジネス) 中国・台湾 9月29日 次世代通信規格「5G」で、中国・華為技術(ファーウェイ)製のスマートフォンを採用しない――。そんなNTTドコモの方針が明らかになった直後、ファーウェイは新製品に米グーグルのアプリを搭載しない方針を発表した。 世界の分断がいよいよ鮮明になった感がある。トランプ米政権がファーウェイへの制裁を明示したのが今年5月。このままではグーグルマップやGメールが使えなくなるのだから、ドコモの企業判断は合理的だ。 ファーウェイ外しの帰結は 大きすぎるガラパゴス