供給過剰の半導体、24年に成長軌道回復 ディスコ社長 コラム 経済 1月30日 戦略技術としての半導体の重要性は高まるばかりだが、足元の市場環境は供給過剰感が強く、今年はマイナス成長も予測される。半導体製造に欠かせないウエハー切断装置で世界シェア7割以上を占めるディスコの関家一馬社長に今後の見通しを聞いた。 ――半導体市場の軟化の要因は何でしょう。 「シリコンサイクルという言葉が示すように、半導体の歴史は供給の不足と過剰の繰り返しだ。過去3年はコロナ禍によるテレワークの普及 供給過剰の半導体、24年に成長軌道回復 ディスコ社長
文化は戦略にまさる VUCA時代の企業経営 編集委員 12月18日 2023年はどんな年になるのか。日本経済新聞のコメンテーターや編集委員がさまざまな分野から2023年を展望し、分析するための視座をこのほど出版した「これからの日本の論点2023 日経大予測」(日本経済新聞出版)から紹介する。 ■VUCAワールドにさらされる日本 経営の世界で「VUCA(ブーカ)」というキーワードが注目されて久しい。これは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不 文化は戦略にまさる VUCA時代の企業経営
故・稲盛和夫さん(京セラ創業者) 反骨の魂 追想録 編集委員 12月16日 稲盛さんに取材する度に好んで話してくれたエピソードがある。1980年代半ばに通信事業への参入を決めた稲盛さんが、国鉄総裁を訪問した時のことだ。 「京都の部品会社が何用か」といぶかる相手に、「国鉄の資産は国民の財産。通信自由化を成功させ、国民に利益を還元するためにも国鉄の管路を開放し、私たちに光ファイバーを敷設させてほしい」と願い出たのだ。だが相手は今でいう完全な塩対応。「なんて非常識なことを言い 故・稲盛和夫さん(京セラ創業者) 反骨の魂
世界秩序、鉄からシリコンへ 恐るべき半導体のパワー 核心 編集委員 11月20日 驚きの証言が飛び出したのは今年5月の米上院公聴会だ。ジーナ・レモンド商務長官が「ウクライナがろ獲したロシア軍の戦車を調べると、冷蔵庫から取り出した中古の半導体が使われていた」と言明。エレクトロニクス技術に劣るロシアは西側の制裁で十分な半導体を入手できず、窮余の策として家電の半導体を使い回していたという。 長官は半導体の種類には触れなかったが、多分パワー半導体だろう。戦車は内部に自前の発電機を持つ 世界秩序、鉄からシリコンへ 恐るべき半導体のパワー
「弱いつながり」が生む革新 四半世紀でソニー進化 経営の視点 エレクトロニクス 編集委員 10月30日 1995年から10年間、ソニー(現ソニーグループ)のトップを務めた出井伸之氏の「お別れの会」が先週、都内のホテルで開かれた。会場には出井ソニーの生んだ「VAIO」が展示され、監督と執行を分ける執行役員制の導入など故人の事績も紹介された。 執行役員は今は当たり前の存在だが、25年前に出井氏が発案するまでそんなものは日本になかった。米ハイテク見本市やメディア界の大物が集まるサンバレー会議で活躍する出 「弱いつながり」が生む革新 四半世紀でソニー進化
日野の不正が映す組織の闇 「建設的ノー」言える職場に 核心 編集委員 10月2日 日本経済の基盤である製造業の不祥事が止まらない。昨年は三菱電機の社長が品質不正で辞任に追い込まれ、今年はトヨタグループの一角の日野自動車のエンジン不正が発覚した。名門企業はなぜつまずくのか。組織の奥底に潜む構造要因に迫ってみよう。 日野の特別調査委員会が8月に公表した報告書をひもとくと、浮かび上がるのは昭和の慣習や価値観を引きずる古色蒼然(そうぜん)とした組織風土だ。それを言葉で表すと、閉じた企 日野の不正が映す組織の闇 「建設的ノー」言える職場に
ローカル線は維持できるか JR東日本社長らに聞く 谷 隆徳 ローカル線 Think! 時論・創論・複眼 編集委員 9月5日更新 人口減少が進むなかでローカル鉄道が苦境に立っている。JR東日本などが公表した収支で地方路線は軒並み赤字だ。国土交通省は国主導で協議する仕組みを設ける方針だが、地域の足は守れるのか。持続可能な公共交通のあり方などについて事業者や自治体のトップ、識者に聞いた。 ◇ ◇ ◇ 鉄道の強み生かしきれず JR東日本社長 深沢祐二氏 「鉄道の再生」を掲げた旧国鉄の分割民営化が成功し、過去35年間、日本の鉄道ネ ローカル線は維持できるか JR東日本社長らに聞く
半導体市場、革新で成長途切れず 東京エレクトロン社長 コラム 経済 編集委員 9月5日 高成長を続けてきた半導体市場に一服感が出ている。関連銘柄の株価にも若干の調整が入った。世界3位の半導体製造装置メーカーである東京エレクトロンの河合利樹社長に半導体市場の見通しを聞いた。 ――メモリーなど一部品目では需給逼迫がピークを越し、市況が軟化しているという見方があります。 「半導体の成長力は依然きわめて強いと感じている。それはメモリーやロジック、CMOSセンサーといった品目によらない。もし 半導体市場、革新で成長途切れず 東京エレクトロン社長
「世界標準経営」がやって来た TSMC熊本上陸の衝撃 Think! エレクトロニクス 核心 編集委員 8月14日 先端半導体の量産技術で世界の先頭を走る台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県にやって来る。同県菊陽町に約1兆円を投じて量産拠点をつくり、2024年末には初出荷する計画で、地元の盛り上がりは尋常ではない。8月初めに現地を訪ねると、巨大プロジェクトのもたらす期待と不安が地域の各層に浸透しているさまが実感された。 「工場誘致による経済振興はもう古い」という声もあるが、TSMCについては当たらない。同社の 「世界標準経営」がやって来た TSMC熊本上陸の衝撃
周縁からのデジタル革命 仮想バス停やマイクロ工場 経営の視点 Think! コラム 編集委員 6月19日 日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)の遅れが言われて久しいが、悲観するばかりが能ではない。政府や巨大銀行のデジタル化が滞る一方で、逆に中心から遠い周縁部のDXには目を見張るような例がある。生活と産業を変えるDXの現場を訪ねた。 東京からJR常磐線で約2時間。茨城県北部に位置する人口3万人弱の高萩市で、モビリティーをめぐる実証実験が始まったのは2021年7月だ。 この地でバス事業を営むみ 周縁からのデジタル革命 仮想バス停やマイクロ工場